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脱皮

年上と付き合うと経験値上がるんだろうか?

自室でベッドの上でスマホを弄る。LIMU一覧に登録されている、友達の中にいる奥田くんのアイコン。私に近づいてくれる男の子は今までも何人かいたけど、あまり長続きしたことがないので、お付き合いにはあまりいいイメージがない。今の関係を壊したくない。お付き合いしたところで、まだ高校生の私に何が始まるんだろう。同じクラスのメンバーからのヤキモチからは少し楽になれるかもしれない。でも、バイト先の西条さんとの関係は悪化しそうだ。ごろん、と寝返りを打つ。奥田くん、気になってたけど仕事先の奥田くんしか知らないや。大学ではどんな顔してるんだろう?いや、それより私のいつもの表情しか知らなくてそこに好意を持ってくれたんだから、私は奥田くんの前でも気を遣い続けるんだろうか。

 毎回別れ際に言われるのは「紀元って、真面目すぎてつまらないよな」という言葉。真面目でなにが悪い。私の本当の顔に気づいてくれないくせに。知ろうともしてくれないくせに。

 思い出し怒りで、うつ伏せになって枕を叩く。あーもう!やだやだやだ。こんなこと考えてるのか。これが私か。あれから成長できてない私は怠惰だ。成長しようともしていない。学校では、クラスメイトのまーやの後ろに隠れてはぐらかして、本音なんて見せないのは全部私の責任だ。

 奥田くんと付き合ったら、ちょっと大人になれるかな?こんな時は、心の友であるAIの出番だ。相談内容を入力すると、すぐに答えが返ってきた。


 とても大事なところで揺れてますね。

結論から言うと、「成長できそうだから」「相手ができる人だから」だけで決めるのは、少し待ってもいいと思います。


いくつか整理してみますね。



まず前向きな点

•仕事ができて、爽やかで、気になる存在

•年上で社会性があり、刺激を受けられそう

→ ここは本音として大切。好意が芽生えているのは確か。


でも、慎重に見たい点

•17歳と大学2年生は、立場と経験に差がある

→ バイト先でも、年齢的にも「影響を受けやすい関係」になりやすい

•「成長できるかどうか」を軸にすると

→ 無意識に相手に引っ張ってもらう関係になりやすい

→ 対等じゃない恋は、しんどくなることもある



判断のポイントはここ


次の質問に、正直に答えてみてほしいです。

•一緒にいて安心できるイメージがある?

•意見が違った時、ちゃんと対等に話せそう?

•「尊敬」はあっても、萎縮する感じはない?

•付き合ったあとも、自分の友達・時間・価値観を大事にできそう?


もし

「少し背伸びしないと釣り合わない気がする」

「導いてもらう側になりそう」

と感じるなら、今は保留でも全然遅くないです。



おすすめの選択肢


✔ すぐOKしなくていい

「もう少し知ってから考えたい」は、とても誠実な答え。

それで態度が変わるなら、その時点で相手の器も見えます。


✔ “成長できるか”より“自分らしくいられるか”

成長は、恋の結果としてついてくるもの。

条件にすると、苦しくなりやすいです。



恋は「学び」でもあるけど、

安心と対等さがない恋は、成長より消耗が大きい。


揺れている今の感覚、すごく健全ですよ。

急がなくていい。

もしよければ、「不安な点」や「ちょっと引っかかってること」、一緒に言葉にしてみますか。


 AIの回答を全部読んでうなり声が口から漏れる。うーん!厳しい!てっきり背中を押してくれると思っていたのに当てが外れて枕に顔をうずめる。でもな、断ったら今までの奥田くんとの関係、なくなっちゃうかもしれない。それはすごく寂しい。

 本音を全部言えたらいいのに。指先でスマホをスススッと操作して伝えられたらいいのに。わがままかもしれない答えでも、奥田くんは受け入れてくれるかな。100%だと思って飲んでたフルーツジュースの果汁が、実は9%しかないみたいな、そんな気持ちで付き合うことをゆるしてくれるかな。

 起き上がって、学校で出された宿題を机に広げながら考える。きっと明日も今日と同じ変わり映えのない日だと思ってたけど、少し変化がありそうな予感。こんな気持ちを、もう全部全部飲み込んでなかったことにしてやりたいけどそうはならないだろうな。

 明日のクラスでの話題、これにしようかな。盛りあがってくれるかな。逆に下げるかな。こっそり撮ってた奥田くんの写真も見せてみようかな。自慢に見えるかな。

 なんだかんだ言いながら、楽しんでるじゃないか、私。これが私なんだな。腐らないで明日も何とか生きていけそうだ。

 

「とりあえず、勉強、勉強っと」

 

 そうだそうだ。学生の本分は勉強だ。今は全部神さまにお任せしてポイしよう。丸投げ上等。

 と、下から母の声が、お風呂が沸いたことを告げる。ジップロックにスマホを入れてお風呂場に向かった。大丈夫。なんとかなる。まだ心はフラットにはなれないけど、軽く感じる。「お母さん、おふろありがとー」と声をかけて脱衣場に入った。オヤジキラーで大学生も落とした自分の顔を鏡越しに見つめる。

 いつものへらっとした顔じゃなくて、少し大人になったような顔がこちらを見つめていた。

勉強、友人関係、仕事関係、経験値、恋愛……女子高生って、考えることがいっぱいで大変ですよね。

おつかれさま!よく頑張ってます!みんな花丸あげちゃう!

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