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宿屋


戻ってきた女職員に依頼の受け方やこの国の金の価値を教えてもらい、冒険者登録を済ませると冒険者になりたての奴が利用するという安宿を紹介してもらった。


そして、宿に向かう途中にある道具屋による。なんと言っても、俺はこの世界では無一文なのだ。

金が無いと宿代どころか飯も食えない。


道具屋のオヤジに、遠い国の金だけど換金して欲しいと言うと疑わしそうな目で見られた。硬貨はわかるが紙が金のはずないと言われる。


まぁ、確かにそうだよな。このゲーム内通貨は全てコインだったもんな。


オヤジは、鑑定スキルを使って硬貨と札を鑑定する。

だが、鑑定スキルを使っても鑑定結果はギルドの鑑定板と同じ「???」しか出てこないようだった。


商人たちはそこそこいい鑑定スキルをもっているらしい。まぁ、鑑定スキルがないと商売はできないからな。でも、ギルドの鑑定板が一番正確というのは女職員から聞いていた。その鑑定板で鑑定不明なんだ。鑑定板より上位スキル持ちでもない限り、鑑定は難しいはずだ。


何度か試して鑑定を諦めたオヤジは、でかいルーペを取り出すと硬貨と札をじっくり見始めた。


結果、珍しさもあって、全部売れた!


オヤジは、こんなに緻密で均一な彫刻をされたコインは見たことがない。特に、ずらすと肖像が左右に回転する新札の3Dホログラムに興味を示し、かなりの高額で買い取ってくれた。


ありがとう! 日本銀行! 良い仕事しているぜ。


硬貨と札もいい値段で売れたが、結構な値がついたのが、カード類と鍵だった。


まぁ、プラスチックなんてこの世界にないもんな。鍵もこの世界では珍しい形だ。

そうやって、俺は持っていた財布の中身と鍵を売って55万ゴールドを作った。


この世界の通貨単位はゴールド。物価は日本のそれとほぼ同じだった。


オヤジがサービスでつけてくれた革袋に54万ゴールドをいれるとマジックボックスにしまう。一万ゴールドと免許証を財布にしまって歩き始めた。


すぐに宿は見つかった。前払いで素泊り3000ゴールド。トイレは共同。風呂はなし。裏の井戸は好きに使える。

鍵は部屋にあるからと二階の一番奥の部屋に向かった。部屋に入ると、三畳程の広さにベッドが1つだけ。鍵はと見回すと、入口につっかい棒があった。


鍵って、物理かよ。


ちょうどいいところにある床の凹みにつっかい棒をあて、鍵?をする。そして積んだ藁に帆布をかけただけの藁のベッドに腰かけた。


俺がドラグーンブレイブで愛用?していたベッドだ。

座るとふわっと藁のにおいがする。


こんな感じなんだな。へぇ、意外にいいじゃないか。


仕舞いかけの屋台で半額で買った、なんの肉かわからないものを挟んだサンドイッチを、包みから取り出して口に押し込んだ。


豚っぽい塩味だけの肉に、ちょっと酸っぱい黒パン。ボリュームだけはある。焼きたてならもっとうまいだろうなと頬張りながら、ベッドにごろりと横になった。


ゲームの中なら、当たり前だが食費もいらない。ここは、かなりドラグーンブレイブの世界に似通ってるが、現実世界に寄せてるところがある。


女職員の説明だと、くれぐれもモンスターに気をつけろって言っていたな。死んだらおしまいかよ。こっちの世界でも、モンスターにボコられてジ・エンドじゃ洒落にならないぜ。


謎肉のサンドイッチを食べ終わり「ファイヤ」と念じると、指先に蝋燭の明かりほどの大きさの火がぽぅと出できた。でも、3分ほどで消えた。


しょぼいよな。 まぁ最初はこんなもんだったな。明日からどうしようか。防具とか色々買ったら、金なんて「あっ」という間になくなるな。最初はギルドで薬草や石拾いのクエスト受注だな。

まずは武器屋に行って、安い武具の値段見ないとなぁ。


俺は疲れで、そのまま眠りに落ちていった。




…え…ますか?

聞こえ…ま…すか

わた…しは、今…直接…に……話しかけて…

起きてぇ……


あぁん?



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