虎刈り
深海を進む魚のように空を飛ぶ俺にきずける訳もなく、
俺は虎の団の情報をゾッドに伝えた。
しかし空を飛ぶことがここまで気持ちがいいこととは思わなかった。
でも空を飛んでいると思い出すのは母の事だった。
母の首の紋章は奴隷紋といい、物や人に付与する魔法だそうだ。
奴隷紋をつけられた際に空を飛ぶことを制約として課されたそうだ。
(まあそんなことがなきゃ空飛んでどこまでも逃げられるからな)
というか俺はこのまま逃げることも出来るわけだ。
母を置いては行けないか。
まずこの世界の事を俺は全然知らない。
そんな状況で1人で逃げてどうするんだ。
そんな事を考えているとマジックアイテムから戦いがはじまる事を告げられた。
「情報を伝えた後余裕があるなら戦いを見ていろ」
そう伝えられた俺は上から戦いを眺めることにした。
俺は戦いが始まった事に気づかなかった程に戦いは静かな物だった。見張りを1人ずつ暗殺した後は、黒いマントを被った、いかにも魔女と言った見た目の女が魔法を唱え始めた。詠唱が終わっても何も起きる気配は無かったが、ゾッド達は突入しその後直ぐに城は制圧された。
恐らくあの女は、毒を作る魔法などを覚えているのだろう。
母は、風の魔法しか使えないが、俺もそうなのだろうか
違うならばあの人にも魔法を習って見たいものだ。
マジックアイテムから呼び声が聞こえ俺は制圧された城に呼ばれた。
呼ばれた先にはいかにも悪人という顔と太った男がゾッドに尋問されていた。
「おお、デイビットか。ご苦労だったな。正直期待はしていなかったがここまでやれる奴とは、流石俺の息子だ。」
「ありがとう父さん」
こんな極悪人にでも褒められる経験がほとんどない俺は少し喜んでしまう。
「俺は優秀な働きをした奴には、褒美を与えてるんだ。
何か欲しい物は?」
そう聞かれ少し悩んだが、俺は先程見た光景を思い出し要求を話た。
「新しい魔法を覚えて見たいんだ。風魔法ではない魔法を」
ゾッドは驚いたような顔をした後に笑った。
「お前本当に3歳か?俺はうれしいぞ。自分の成長を求める部下ができて」
「おい、アウラこっちに来い。頼みたい事がある」
ゾッドがそう言うと城の中から先程の黒いマントを被った目つきの悪いエルフが出てきた。
「なによ、ゾッドあんたの頼みでマシな物なんて1度も無かったから嫌な予感しかしないんだけど」
「いーや、今回は違う。こいつに魔法を教えてやって欲 しい。」
「は?ガキの面倒なんて嫌なんですけど。
というかそんな子供に魔法なんて無理に決まってるで しょ。親バカにでもなったの?」
「エルフのお前からすりゃ俺もこいつも両方ガキみたいなもんだろ。それにデイビットは賢い。授業料は俺が払うからよ」
驚いた顔をしてアウラが笑った。
「あんたが金を出す?嘘でしょ本格的に親バカになったの。まあそれなら引き受けて上げる。」
「親バカじゃねーよ。ただ単にこいつに投資した方が儲ける気がしたからさ」
アウラがこちらを向き自己紹介を始めた。
「アウラ。明日からあんたに魔法を教える。
年齢を聞いたら殺す。覚えておきなさい。」
冗談なのか分からない告白をされ驚愕したが、とりあえず自分も自己紹介をすることにした。
「デイビットです。3歳です。明日からよろしくお願いします」
「ああよろしく、それよりこの子本当にあんたの子?」
「翼族の血が濃いのかね、俺には似てねーよな」
そんな話しを聞いている最中俺は、魔力ギレを起こし倒れてしまった。