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転生先は盗賊団  作者: わっぱ
3/6

魔力

初めて見たあの光景からどれ程の惨劇を目にしただろうか。俺が3歳になる頃には数え切れない程の数になっていた。

母は俺に生き延びる術を教えるためか言葉や算術、歴史などを教わった。


「デーブ生きるには知識が必要なの。だから必死に学習するのよ」

「はい、母さん」


母から教わった歴史は驚くべきものだった。

今俺がいる大陸をムートン大陸といい、400年前に魔族が侵略してきたという。そこから最近に至るまで戦争は続いていたらしい。

戦争を終わらせる原因となったのが人間の勇者ジュドーが、魔王暗殺に成功した事だ。

魔族には頭の悪い種族の方が多くそれを上手く纏めていたカリスマの魔王が死んだことにより、3年前戦争は終結したという。その際ムートン大陸にいた魔族のほとんどは人間の奴隷になりその時に母も捕まったという。

ほとんどの奴隷は貴族や傭兵に買われるが母の美しさを手離したくないゾッドはレイナを自分で買ったという。


(魔王や勇者がいるってどんだけファンタジーだよ…)


また、母には魔法を習っている。母は魔王軍の偵察飛行部隊で空から風の魔法を使い人を襲撃していたという。

こんなにも穏やかな母にこんな過去があるとは信じられないな。


「魔法を必死に覚えなさい。魔法を覚えればあんたがここに居る理由が出来る。魔法を覚えられ無ければ、そのうちどこかの貴族に売りとばされるわ」


と何とも恐ろしい脅しを食らった俺は魔法の訓練を毎日積んでいる。

母の話によると翼族の翼は風の魔法で浮いているらしい。だからこそ、翼族は魔法を習得するのが早くとんでもない値段で貴族に売られる。


「私たち翼族は人間が魔法詠唱するのとは違い、心で思うだけで使えるの。体中に風が強く暴れ回るのを想像してそれを指先から解き放つイメージで しなさい。」


「はい母さん」


何とも怪しい宗教のような話だが売り飛ばされんためにもやるしかない。

体中に風が暴れ回るイメージねえ、と疑いながらもイメージすると、今まで感じたこともないような感覚に襲われる。体中のエネルギーや熱が自分の感覚として理解出来る。それを体の中で風のイメージにする。


俺はその瞬間空に吹っ飛んでしまった。


落ちそうになった所を母が風の魔法でキャッチしてくれた。

(危ねぇー!!死ぬとこだぜ魔法の練習怖えー)


などと考えていると恐らく俺が空に飛んだ所を見たゾッドがこちらに近ずいてきた。ゾッドは恐ろしく太い大剣を背中にこさえながらニヤけた顔でこちらを見ている。


「デイブ、お前魔法が使えるのか?」


そう聞かれたまたまだと言うことを伝えようとしたその時レイラが間髪入れずに答えた。


「ええ、この子は天才よあなたの元でもきっと役に立つわ」


お前には聞いていないというような不満な顔をしたゾッドは俺の服を掴みゾッドのテントの中に連れられた。


「お前変態の貴族に弄ばれるか、俺たちと一緒に戦うかどっちがいい?」


そんな恐ろしい選択を迫られ俺は何も言えなかった。

( 俺は今3歳なんだぞ…こいつイカれてる)


俺が悩んでいると、頭の中に母の姿が浮かんだ。

母は俺生まれたばかりの時は毎日死んだような顔をしていた。最近になってようやく笑うようになったんだ。

今俺が母の元から去る訳には行かない。


「戦わせてくれ」


と言うとニヤリと笑ったゾッドが


「言ったな、どんなことがあっても後悔すんじゃねえぞ、明日から剣を教えてやる。魔法も鍛えとけ。」


なんとかゾッドのテントから出ることが出来た俺は母に物凄い勢いで抱きしめられた。


「ありがとうデーブ愛してるわ私の傍を離れないでね」


と、まるでどちらが子供か分からない程母はないて居た。


母からの愛を知らずに育った俺はどこか嬉しい様な寂しいような気持ちになった。


次の日からは地獄のような訓練が始まった。



ゾッドは俺をいたぶるのが楽しいのか俺を木刀で叩きつける。なんとか避けようとしても身長180を超えるゾッドの間合いからは逃れられなかった。

訓練はほとんど攻撃を避けるもので剣の訓練とは言えないような物だった。


夜には母から魔法の原理を教わる。

魔法には魔力というエネルギーが必要でそのエネルギーは身体能力を向上させる事も出来る事を学んだ。

そして毎夜魔力を使い切るまで体から風を出し続ける苦行を行わされた。魔力が無くなる感覚は丸で突然電源を落とされたかのように急に倒れる。


そして朝からはゾッドとの剣の訓練が始める。


(昨日みたいに嬲られないよう、今度は魔力で身体能力を上げるしかねぇ)


今まで肉体の中で風にしていたエネルギーをもっと純粋なエネルギー、筋肉に染み込ませるようなイメージをする。

ゾッドの一撃が俺の腹に当たる直前俺は空高くジャンプしていた。

ゾッドは一瞬驚いたような顔をしていたが、思った数倍飛んでいた俺は無抵抗にゾッドの木刀に向かっていった。


魔力で身体能力を上げた後体全体がつるよるな感覚になり、何も出来なくなってしまった。


俺はその日早く魔法の練習に移ることになり、空を飛ぶ方法を習うことになった。


空を飛ぶには2つの魔力の強化を使う。

1つは身体能力上昇の魔力

2つ目は魔法による風を作り出す


このふたつの魔力動作を同時にする必要があるのだ。


(くそ、頭がこんがらがる)


空を飛ぶ練習をしていると、テントにゾッドが入ってきた。

「明日お前の初陣だ。お前は戦わなくていい。

城にどれ程の人がいるか偵察してこい。」


(嘘だろぉ、明日までに飛べるように慣れってのかよぉー)

オレは緊張と恐怖で汗が滲んだ。

明日俺は殺し合いを体験するんだ。

そして俺は人殺しに加担するんだ。

いや、覚悟を決めろ母のためだ。

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