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2話 異国の地に到着&妹の婚約

私は馬車に揺られながらヴァルイリス王国を目指していた。

ヴァルイリス王国は険しい山の中にあり、鉱山で生計を立てているらしい。


だが作物が殆ど取れないせいで国力は低いという。

その為最近になって大国であるカリンルカ王国の属国になったのだ。




カリンルカ王国から出発して約二十日後。

私はようやくヴァルイリス王国の王都であるクゼリッカの街に辿り着いた。

王都では盛大に歓迎され、馬車でパレードを行いながら城に向かった。


城の前に辿り着くと、一人の男性が出迎えてくれた。

「ようこそおいでくださいました。私はこの国の大臣のリカルドと申します」

そう言って頭を下げてきた。


私も馬車から降り、頭を下げて挨拶をした。

すると大臣はこう言った。

「では城の中にお入りください。私が案内致します」


私は大臣に案内されて城の中に入った。

大勢の騎士も護衛としてついてきてくれた。


城の中を歩いていると、大臣がこんな事を言い出した。

「宗主国様の第一王女殿下が我が国に来てくださった事を、誠にありがたく存じます」


その言葉を聞いた私は心の中で呆れていた。

(この人も私の事を王女という駒として見ているのだな)と。


私はパーティー会場らしき場所に案内された。

どうやら私を出迎える為のパーティーを開くようだ。

会場は王族や貴族らしき人達で賑わっていた。


そしてパーティーが始まった。

国王陛下のスピーチが始まったが、

イマイチ内容が頭に入ってこない。


私は作り笑顔を浮かべながら料理を食べた。

王族も参列されるパーティーの料理なだけあって、

とても豪華で美味しかった。


私は色々な人に話しかけられた。

私はいつも通りに王女らしいと思われるであろう受け答えをした。

それはとても虚しい時間だったが、もう慣れていた。




パーティーが終わった直後に

一人の男性が話しかけてきた。


その男性はヴァルイリス王国の第一王子で、

私の婚約者でもあるウラジーミル王子だった。

彼は炎の様な赤い髪と赤い瞳をしていた。


彼はこう言った。

「君に見せたいものがあるんだ。一緒に来てくれないか?」

私はこう答えた。

「はい分かりました。是非お願いします」


私達は今、城の中を歩いている。

勿論、護衛の騎士達も一緒だ。


私はこう思った。

(見せたいもの……。宝石か武具かしら?どちらにも興味がないけれど、素っ気ない反応を見せる訳にも行かないわよね……)


だが案内されたのは意外な場所だった。

そこは城の中庭らしき場所だが、何故か畑があった。


私が驚いていると、ウラジーミル王子がこう言った。

「僕はここで小麦を栽培しているんだ」

私はこう答えた。

「何故この様な場所で小麦を育てているのですか?」


彼はこう言った。

「僕はこの場所で小麦の品種改良をしているんだ。我が国の土地でも育つ小麦を作りたくてね」

私はこう答えた。

「でも小麦ならば輸入をすれば良いのではありませんか?」

彼はこう続けた。

「この国には鉱山があるが、いずれは掘り尽くしてしまうだろう。その時の為に新しい産業を育てたいんだよ」


それを聞いた私は、納得すると同時に感心した。

(この人は本気でこの国の未来の事を考えているんですね)と。


そして彼はこう続けた。

「でもこれがなかなか上手く行かなくてね。だから君の知恵を貸してほしいんだ」


私はこう答えた。

「はい。勿論お手伝いさせていただきます」


こうして私は小麦の品種改良を手伝う事になった。




ーーーーーー

一方その頃。

カリンルカ王国では第二王女ローズマリーが、

隣国アンバル王国の第二王子アレックスとの婚約の儀を執り行っていた。


ローズマリーはとても幸せそうな笑顔を浮かべていた。

それは彼女の長年の夢である、アレックス王子との結婚が約束されたからだ。

その為に彼女は、実の姉である第一王女ナタリーを陰謀で貶めたのだ。


アレックス王子もとても幸せそうな笑顔を浮かべていた。

しかしその理由はローズマリーとは異なるものだった。


彼は今の婚約者であるローズマリーも、

かつての婚約者であったナタリーも愛してはいなかった。

だから婚約者が姉から妹になろうが別に構いはしなかったのである。


彼は王位にしか興味が無かった。

第二王子である彼は優秀で努力もしてきたが、

彼の父であるアンバル国王は

王位を兄である第一王子に継承するつもりだ。


彼はそれに気づいていたので絶望していた。

だがそんな彼にかつてないチャンスが転がり込んできた。

それはカリンルカ王国の第一王女ナタリーとの婚約である。


カリンルカ王国には王女が二人居たが王子が居なかった。

そこでカリンルカ国王は遠縁関係にあるアレックス王子を婿に貰い、

跡継ぎにしようとしたのだ。

その話はアレックス王子にとっては渡りに船の申し出であった。


しかしアレックス王子とナタリー王女との婚約は破棄となった。

そして今度は第二王女のローズマリーと婚約する事になった。


だがカリンルカ王国の跡継ぎになれるのには変わりがない。

アレックス王子はその事を心の底から喜んでいた


ローズマリーはそんな彼の真意には気づかずにただ笑っていた。


アレックス王子は金色の短い髪に青い瞳。

そして、すらっとした長身の好青年だった。

それにアレックス王子は人当たりが良かった。


彼女はそんな彼の事が大好きだった。

だが彼の内面に隠された想いには気づいていなかった。

ーーーーーー

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