人生は20代で決まる メグ・ジェイ
タイトルの通り、人生において20代という時期がいかに大切かを懇々と様々な角度から説明していくものであった。
本書は「仕事」「恋愛」「肉体と脳」との3分野に分けて20代の重要性を指摘しており、カウンセラーである著者とそのクライアントとの会話を反芻する形で論じられている。
・「仕事」
仕事において重要なのは現在のその仕事が「アイデンティティー・キャピタル」を構成するに役立っているのかということである。アイデンティティ・キャピタルとはよく言われる方表現に置き換えると「スキル」である。これから自分が社会において立場を確立する上で、財産となるものである。それは誰でもできるものであってはならないし、人と異なるっている必要がある。しかし、真にオンリーワンであることにこだわる必要はない。どういった経験がアイデンティティー・キャピタルに繋がるのかは今の自分には判断が難しい。しかし、私の少ない手持ちから推測してみるにそれは、「将来において有用性が予想できるもの」「挑戦を必要とするもの」である考えた。
また仕事において、人生において「緩いつながり」こそが助けになる。ここで重要なのはいわゆる恋人や家族、親友といった「強いつながり」ではなく、名前は知っているがプライベートは走らない程度の「緩いつながり」であることである。この理由は、緩いつながりの人間は自分と異なる性質を持っているからである。だからこそ、私たちの人生に変化を与えてくれる可能性を秘めているのである。緩いつながりに助けを求める際のテクニックとして重要なのは「余裕のある人間に重荷とならない頼みごとをすることである」余裕のある人間とは一般的には年長者である。彼らは潜在的に人を助けたいというモチベーションを持っていることが多い。重荷とならないとは「精神的」「物理的」の両方の側面から重荷とならないという意味である。物理的にとはそのままの意味で1000万円を欲しいと言ってくれる人間は数少ないといった意味である。精神的とは頼みの「具体性」を意味している。「悩みがあるので話を聞いてほしい」より「○○という問題を解決したい」、「○○という問題を解決したい」より「○○という問題を解決するため、××して欲しい」というほうが相手にとって負担が少ないという意味である。また、興味深い心理的効果として、一度相手に親切にしたばあい、なぜか人はその親切に世話をした人間に好意を持ち、より助けようとするというものがある。
仕事において、何かを始めるときはすぐに行動を起こすべきである。何かを始めないということは可能性を残しているのではなく、何もしないという選択肢を選んだということを理解しなければならない。みずからの人生や深層心理を振り返り、何をしたいのかを早急に見つけ、すぐに挑戦することが大事である。
・「恋愛」
近年、先進国の高学歴層では晩婚化が進んでいる。人生の幸福度に関するアンケートでは仕事の充実度よりも結婚の充実度の方があきらかに幸福度と高い相関性を持っていることが分かっている。それぐらい、結婚とは重要なことである。現代の若者は結婚は30代、人によっては40代にするものであると考えがちである。この考え方に基づき、20代の人間は結婚を遠い未来の事ととらえて先延ばしにし、30代になった時に強い焦燥感に襲われるのである。興味深いことに29歳と30歳にそれぞれアンケートをとった場合にも、上述した結果が現れる。たった一年しか違わないのにここまで差が生まれるのである。そして、30代になって慌てて結婚した場合、その後結果も悲しい結末になりやすいと言えるのである。
結婚において、自分の理想とするパートナーはどういった要素を持っている必要があるかしっかりと整理する必要がある。多少の違いはアクセントとして人生を豊かにするが、根本的な価値観の違いは結婚生活を崩壊に導くのである。人には変えることのできないパーソナリティーが存在しており、このパーソナリティーが離れた人間とは最終的ににうまくいくことは難しいということを理解しなければならない。突き放した言い方にはなるが、ここが好きという点がいかに多いかということよりも、ここだけは許せないという点がいかに少ないかを重要視すべきであるということである。
パーソナリティーの測り方としてはビッグファイブというものがある。試してみてもいいかもしれない。
(私は誠実性・開放性が高い気がする)
・「肉体と脳」
20代というのは脳が発達する最後の機会であるとともに最大の機会である。この時期に発達するのは主に前頭葉であり、これは未来を予測する機能を持った部分である。20代の脳はあらゆることに敏感に反応するため、人生において最も記憶に残る時期でもある。この時期の脳は些細なことで風に揺れる葉のように落ち込んだり、喜んだりを繰り返すのである。従って、この時期は仕事においても恋愛においても自分に自信を無くすことこそが正常であるとすらいえるのである。問題は自身がないことをネガティブに捉えるか、成長の糧としてポジティブ捉えるかということである。そのためには常に冷静の問題の本質をみつけ対処していくしかない。そして、これを言うとどうしようもないが我慢して耐えて対処し続けることも有効である。我慢して対処し続けることは正に前頭葉のトレーニングであり、自信をつける一番の薬でもあるからである。
また、肉体的にも特に女性は子供を望んだ場合、25-29が出産適齢期であることは認めなければならない。この時期を逃すと、加速度的に妊娠が難しくなり、流産や障害を持って生まれる確率が上がるのである。
観想
20代という時間がいかに貴重、しかもそれほど長くないということを知れた本であった。まさに今の自分が読むべき本であり、日々を無為に過ごす今に警鐘を鳴らされた気分であった。仕事においても、常にチャレンジをし、未来につながるスキルをどん欲に求めていく必要がある。また、恋愛においても気軽に遊ぶのではなく、真剣に選ぶ時期がもうすぐそこに来ているのだと実感させられた。