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75話 穴を開けたら入りたい

 レイは2人に気付かれないように、そっと近付くと2人の喉を切った。喉を切られた2人は声にならないような声を出し、その場に崩れ落ちた。倉庫の入り口から中を覗くと中には3人の男達が話し込んでいた。全身に黒いローブを着込んでいるが、顔の部分には何も身に着けていないため、人間の男性だということが確認出来る。


 男達はこの国では珍しく3人ともがシャムシールを装備している(わずかに曲がった細身の片刃刀)。

 3人から見にくい位置に移動をすると一気に近付き1人の胸を突き刺した。


「ぐはっ!」


 男は胸を押さえながらその場に倒れた。


「な、なんだテメエは!?」


 男がレイに気付き首元にシャムシールを突き付けた。

 レイは軽く首を横にそらし、シャムシールを避けると男の腹を切り裂いた。


「ぐあっ!」


 2人目の男は腹を押さえながらその場に倒れた。


「ちくしょー、これでも食らいやがれ!」


 男はシャムシールを振り回しながらレイの方へ投げ付けた。シャムシールは回転しながらレイの頭へ向かって飛んで行った。


パシッ


 回転しながら頭に飛んで来たシャムシールを、レイは左手で受け止めた。


「うっ、嘘だろ・・・」


「ほら、返すぞ!」


 レイは男にシャムシールを投げ付けると、シャムシールは男の右耳に当たり、男の右耳を落とした。そのまま飛んで行ったシャムシールは、男から離れた場所の床に突き刺さった。


「うぎゃぁぁぁ!」


 男は両手で右耳がなくなった場所を押さえている。レイは男の首元に剣を突き付けた。


「お前に聞きたいことがあるのだが?」


「い、痛てぇ~・・・聞きたいこととは・・な・・なんだ?」


「レガイアで子供をさらってる連中と言うのは、お前達のことか?」


「さ、さぁな。なんのことだか俺には・・・ぐぁぁぁぁぁ!」


 レイは男に突き付けていた剣を奥へと差し込んだ。下手をすれば男が死んでもおかしくないような深さだ。


「そ、そうだ。俺達が子供をさらい、この倉庫に監禁している! ぐっ、ううっ・・・」


「子供を直接監視している人間は何人だ?」


「さ、3人だ! そこの扉を入った所に3人がいて、奥の部屋にガキどもがいる。ガキどもの部屋では3人の仲間が直接ガキどもを監視している!」


 男は倉庫の左奥の扉を指差した。


「後の5人は何処にいる?」


 男は正確な人数を当てられて、かなり驚いている。


「ああ。他の奴らならその扉の奥の部屋で仮眠を取っている筈だ」


 男は倉庫の右奥の扉を指差した。


「そうか。ご苦労だったな」


 レイの剣が一気に男の喉を突き抜けた。


「がはぁっ!」


 男は首が横に垂れ、そのまま動かなくなった。

 

 レイは慎重だった。気配察知により、ある程度敵の居場所や子供達の居場所は確認が出来てはいるが、もちろん移動をする可能性もある。蛇眼では1人の動きしか止めれないため、多人数を相手に子供を人質に取られる訳にはいかないからだ。


 レイは如何に迅速に敵に悟られないように敵を倒していくかを考えていた。左奥の扉をそっと開けて中を覗くと中は通路になっていて、男の言った通り3人の黒いローブを身に着けた男達がいた。3人とも人間の男でシャムシールを装備している。


 一気に通路の中へ走り込むと一瞬で2人の男を切った。男達は声も出せずにその場に倒れた。


「だ、誰か!」


 残った男が大声を出し、仲間を呼ぼうとした所をレイは男の胸に剣を突き出した。


「うっ、うう・・・」


「中にいる仲間を怪しまれないように外に誘き出せ」


「くっ、ううっ」


「別にお前が呼ばなくても、お前を殺し、中の奴らも皆殺しにすれば良いだけなので、俺は構わんがな」


 レイは不気味な笑みを浮かべた。その笑みを見て、背筋がゾッとした男はレイに従うことにしたようだ。


「わ、分かった・・・おーい! ちょっと、こっちに来てくれないか?」


 男は中にいるであろう者達に呼び掛けた。男が呼び掛け終わると直ぐに、レイの剣が男の胸を貫いた。


「ぐっ・・・協力したじゃないか・・・」


 男は恨めしそうな目でレイを見ながらその場に崩れ落ちた。


「悪いな。協力をしたから助けるとは言っていないからな」


 暫くすると奥の扉が開き、2人の男達が出て来た。やはり2人とも黒いローブを身に着け、シャムシールを装備してる。


「どうしたんだ?」「!?」


 男達は通路に出ると3人の遺体を目撃し、叫び声を上げようとした。

 男達が声を上げる前にレイの剣が男達を切った。


「がはっ!」「ぐふっ!」


 男達は倒れ、通路には5人の男達の遺体が転がっている。先程の男の情報が確かな情報なら、扉の中には子供達と後1人奴らの仲間がいるはずだ。暫く待っても中から人が出て来る様子は無かった。

 

 男達が出て来た時に扉は開いたままになっている。その扉からそっと中を見ると子供達が10人と子供の直ぐ近くに、黒づくめのローブを身に着けた男が座っていた。やはり右手にはシャムシールを握っている。

 

 レイはワザと音を立てながら部屋の中に入った。


「な、なんだテメエは!?」


『蛇眼』


 男がレイを見た瞬間にレイは蛇眼を発動させた。男は全く身体を動かすことが出来なくなった。


「テ、テメェ。何をしやがった・・・」


 レイは男に近付くと男の首の骨を折った。子供達に血を見せないようにレイなりに多少は気を遣ったんだろう。

 男は無言でその場に崩れ落ちた。

 部屋の中には人間の男女の子供と、獣人の男女の子供が脅えながら中央に集まっていた。


「もう少しだけこの部屋で待っててくれ。直ぐに家に帰してやるからな」


 レイのその言葉を聞き、子供達は少し笑顔になっているようだ。


 レイは部屋から出ると男に聞いた仮眠室へ向かった。仮眠室へ入ると6台のベッドが置かれていて、5人の男達がベッドで眠っていた。

 レイは眠っている男達を1人づつ剣で突き刺していった。

 6人全員を始末した後。再び子供達の待つ部屋へと戻った。


「この辺で良いか・・・」


 レイは部屋の壁の方を見ると剣を振り上げた。


「はっ!」


 4度壁に切りつけると壁を1m程の四角形に切り抜いた。


「お前達。ここから外へ出るんだ」


 捕らわれていた子供達に壁の穴から外に出るように言った。レイが通ってきた道には多数の男達の遺体が転がっている。子供達にそれを見せない為だろう。


 10人の子供達は全員身体を丸くしながら、レイの開けた穴をくぐり抜け外に出た。


「それでは、お前達全員を家まで送って行くので家の場所を教えてくれ」


 レイは子供達からそれぞれの家を聞き、北の獣人が多く住む地域から子供達を送り届けていった。

 子供の無事に涙を流して喜ぶ親。レイにひたすら感謝をする親。子供達を家に送り届けた時の反応は様々だ。子供もレイにお礼を言う者や、ひたすら泣きじゃくる者など様々だった。


 獣人の子供達を送り届けると、今度は人間が多く住む南の地区に子供達を送り届けていった。

10人全員を送り届ける頃には時刻は20時を回っていた。


「終わったか。それでは俺はゼノンの家に戻るとするか」


 子供達を全員家まで送り届けたレイはゼノンの家へと向かった。


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