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44話 自分に出来ること

「レイ。起きているか?」


 ノックの主はマリッサだった。


「マリッサか? どうした?」


「少し話したいことがあるのだが入っても良いか?」


「ああ。入ってもらって構わないぞ」


 扉を開けてマリッサが入ってきた。鎧を脱ぎ、服装も先程までとは違い寝間着だろうか。ネグリジェのような衣装を着ている。鎧姿のマリッサも美しかったが、今のマリッサの姿はそれを越えるものだった。


「疲れているところをすまんな。何かしていたのか?」


「いや。少し色々と考えていただけだ」


「その考え事の中に私は入っているか?」

 

「ん?」


「いや。なんでもない!」


 マリッサは少し拗ねたように見えた。


「それで俺に何のようだ?」


「いや。改めてお前にお礼が言いたくてな。私とクルトを助けてもらい本当にありがとう」


 そう言うとマリッサはレイに頭を下げた。


「気にするな。俺はただ依頼でやっただけのことだ。お前の父親からきっちり報酬を頂く」


「そうか・・・だとしてもありがとう」


 マリッサは再び頭を下げた。


「高々それを言う為だけに、ここまで来たのか?」


「いや。お前に相談がしたくてな。お前は今日の私のしたことをどう思う?」


「婚約破棄のことか? 別に結婚をしたくないのなら、しなければ良いだけだろう?」


「それが国に取って不利益になるとしてもか?」


 マリッサはレイの目を真っ直ぐに見つめている。こんな瞳で真っ直ぐに見つめられたら、普通の男ならどんな男でもイチコロだろう。


「もしそれが不利益になるならそれ以上の利益を与えれば良いだけだ。聖騎士であるお前ならそれも出来るだろう」


「そうか! そうだな! やはりお前に話を聞いてもらい良かったよ! 胸がスッキリとしたぞ」


「お前は色々と考え過ぎなんだ。もっと楽に生きろ」


「ああ、そうするよ。お前は見た目は無愛想な割にちゃんと人のことを考えていて良い奴だな!」


「何を言うんだ!」


 レイの表情が少し変わった。照れているのだろうか。


「お前となら結婚してやっても良いぞ?」


「結構だ・・・」


「何故だ? 私はスタイルもそれなりに良いし、顔だって自慢ではないが良い方だと思うぞ?」


 良い方どころの騒ぎではない。確かに鎧を脱いだマリッサは、スタイルもかなり良いのが分かり、何より顔に関して言えば、マリッサ以上に美人な顔をした女性など世界中を探してもいない可能性すらある。


「俺は傭兵だ。家族など作るべきではない・・・」


「家族はいないのか?」


 マリッサの問い掛けにレイは少し時間を置いてから答えた。


「妹が1人いる」


「お前の妹のことだから、どうせ妹も無愛想で可愛げがないんだろうなぁー」


 レイは殺気をみなぎらせた目でマリッサを睨んだ。マリッサは一瞬背筋がゾッと冷たくなった。


「すまん。冗談だ・・・今度機会があればお前の妹に会わせてくれ」


「もし機会があればな」


「約束だぞ。それじゃあ私は部屋へ戻るよ。こんな時間まで悪かったな」


「いや・・・構わない」


 マリッサはレイの部屋を出ようと、部屋のドアノブを手に握ったが、その場で立ち止まり後ろを振り返った。


「ん? どうかしたのか?」


「レイ! もし私が・・・・いや。なんでもない。それでは私は部屋へ帰るよ。おやすみ」


 そう言いマリッサは部屋を出た。レイに何か伝えたいことがあったようだが、結局言わなかったようだ。マリッサがレイの部屋を出て、自分の部屋へ戻ろうとしたところをメルンと鉢合わせた。


「あ、メルン様」


「マリッサ? こんな時間にどうしたんだい?」


「いえ。少しレイに聞きたいことがあったので聞いてたんです」


「そうか。あの人は色々なことに詳しいからね」


「はい。それでは私は部屋に戻りますので失礼しますね。メルン様。おやすみなさい」


「ああ。おやすみ」


 メルンと別れたマリッサは自分の部屋へと帰って行った。その様子を途中まで見送っていたメルンもマリッサの姿が視界から消えると自分の客間へと戻った。


 そして一晩が過ぎ、日付は次の日の朝へと変わった。


 朝になりレイ達一行が全員起きると、4人は昨日の大広間へと向かった。ディアスの頬には赤い跡があった。どうやって起こされたのが想像出来るようだ。


 広間にはレイ達以外にハーランド侯爵、マリッサ、ティゴールの3人がいた。入り口から見て、右側にレイ達4人。左側にハーランド達3人が腰を掛けるとメルンがここに来た経緯を話し出した。


 メルンはリデウスのしたことや、現在の状況など全てハーランドに話し、反乱が起こった時の増援を頼んだ。


「リデウス様がそんなことを・・・」


「頼むハーランド侯爵! 私と父上に力を貸してくれ!」


「・・・・・・わかりました! このハーランド。陛下とメルン様の為にお力になるとお約束します!」


「ありがとう! ハーランド侯爵!」


「!?」


 その時レイは何かを感じていたようだ。


「それでメルン様はこの後はどうする予定ですか?」


「ああ。私達は父上に報告をする為にフェルークへ戻るよ」


 メルンがそう言い終わった時だった。ティゴールが剣を抜き、ハーランドに向けている

 

「父上!!」


 マリッサが剣を抜くが、ティゴールの剣には間に合わない。ティゴールの剣がハーランドの目の前まで迫る。


 ハーランドに向けられた剣を受け止めたのはレイだった。ティゴールの殺気を感じたレイはテーブルの上を走り、最短距離でハーランドの元へ向かったのだ。


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