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ep.8 ついに俺は宇宙へ

なんだ最後の女子みたいな誘い方。


 前の文末にこのように口走ってしまったが、こんなことを言うと口上でもネット上でも炎上するるらしい。訂正。訂正をいたします。


なんだこの可愛らしい誘い方は。


潤ませた瞳で見つめるなんて言う少女漫画的手法はとっくのとうにブームは過ぎ去っていたと思っていたが、まさかここに隠れてたなんて。俺はなんて”幸せモノ”なんだ。誰か、お願いだからここらで一つツッコんでくれないだろうか。やはり俺の他にももう一人ツッコミができる役割は欲しいものだ。


 ところで俺はこの返事を”NO”で返してやりたかったものだが、このガキんちょの家はこの俺の異世界転移のことについてなにかヒントを得れそうだから、行ってみたい。生姜ない、しょうがない。望み通りの返事をして差し上げようじゃないか。

 俺はルオの手を握り返し、


「あゝ、貴方の仰せのままに、、、。」

「うげ、気色わりい。こんなやつ、家に上げたくないんだけど。」


なんだよ、ルオとキョンとかいつもこんなことやってんだろ。


「、、、僕ドキッとしちゃった。、、でも冗談だよね?」


こちとらこれからBL小説など書きたいわけじゃない。俺は手を投げ捨て、


「まあな。ということで、メッツー、家行っていいか?」

「なんだ、冗談か。なら上げてやってもいいだろう。」

「やったー。楽しみだね!」

「おいらんちもモノがすごく多いけど、メッツーの家も色々転がってそうだな!」

「別に大したもんはねえよ。あんま家の中にあるもんいじんじゃねえよ?」


俺たちはメッツーの家へ向かった。俺たちがさっきまでいたところからは少し距離があるみたいだ。


「なあ、俺んちこっからだと割と遠目だからキックボード使っていい?」

「そうなんだ。それなら僕たちもチャリでついていこう。」


こいつらはどうやらゲームでは使うことのできない、チャリやキックボードをポッケから出して使おうとしてた。だが俺はなんも持ってないので全力で止めに入った。知らんもん。


「みんな悪いんだが、俺来たばっかでなんも持ってないだ。徒歩でお願いしたいのだが、、、。」「飛べよ。」


、、、???ホッピングでも貸してくれるのだろうか。まさかとは思うが、、、。


「え?固まっちゃってるけど、まさか飛べないわけじゃないよな?」


やっぱそっちだったんだ。飛ぶって俺自身が?やっぱスマホが古いとされるこの世界では自分自身も飛べるようになるのか。みんな、未来は見捨てないほうがいいぞ。と言ってもここは別に俺が住んでいた世界の延長ではないのか。てかどうやって飛ぶんだよ。できないとは俺の今のプライドが許さん。ああ、めんどくさい奴だよ。しょうがない。また小芝居を一つ。


「俺が教えてもらったやり方じゃできないらしくってな。たぶんアップデートするのを予想して作られたか新しめな方法だからここでは展開できないかもしれない。」

「さっき言ってた開発者に聞けば?」

「新しい様式なら確かに僕たちもわからないかも。」


え、お願い。飛ぶのめっちゃ楽しそうだから、取得させてよ。ツケが回ってきたとはこのことだな。開発者とやりとりしてないです。素直にどうやんのって聞くか。


「旧式ってどうやって飛んでるの?とりあえずその方法で飛べるかもしれないから、教えて欲しいな。」


『旧式』なんて言葉をつけた俺は、やはり素直に聞ける人間ではなかった。


「おう、そうだな。ルオ教えてやれ。」


こいつじゃないんかい。


「この合図だよ。」


そう言うと両手を横にパタパタの擬音でお馴染みのジェスチャーを2秒くらいすると、急に浮遊した。


「たぶん同じだと思うけど、前に進むときはそのまま体傾ける、で、普通に戻るときは、こう。」


そうすると足をバタバタとさせて、まるで駄々をこねている子供みたいになって降りてきた。おい、メッツー、お前だからこいつにやらせただろ。やれやれ。こんなんだから、みんなわざわざ道具を使って移動してるのも頷ける。まあ少しメッツーの肩をもった俺ではあるが、しょうがないから使うしかなさそうだ。


「そうか。じゃあやってみるよ。」

「その前にさ、教えてもらった方法ってどんななの?今後俺らも使うかもしれないし、教えてよ。」

「べつに大したこともないぜ?」

「他の奴らにマウントとりてえんだよ俺。いいじゃん、ねー。大したこともないなら減るもんないだろ?」


しつこそうだなこれは。本来本当にマウントが取りたい奴は、マウントとりたいと口にはしないものである。適当がままに俺は、


「変えられてると思うよ。」


と一言をわざわざ添えて、二の腕を交互に叩いた。意外なことに、意外なんてもんじゃない、なんでだよとツッコミが入れたくなることに体が前転宙返りをした。


「お前それ、ボケか?」


とメッツーにつっこまれたあと、爆笑の嵐が巻き起こった。


「ワッサン面白いなー。」

「お前ホントばかで好き。」


特大サービスで仕方なくもう一度やると、またも爆笑だった。こいつらのツボ、つまんない。


「勘弁してくれよー。お前はほんっと懲りねえな〜」

「も〜。早く行こうよ。暮れちゃうよー。」


劇場はここまでにして、さあ、いざ、、


「さあ、気を取り直して、いざ行こう!!」


言われてしまった。気を取り直してなどと言われるのはこちとら心外である。


「じゃ、ついてこいよ?またな。」


他のやつらはカッコ良さそうなやつで移動し始めている。俺だけは少し高く飛ぶためこいつらと離れる。


 俺はさっきのルオのやっていたジェスチャーをする。飛べた。案外飛べるんだな。俺ってここの住人じゃないし、普通に生身の人間だし、いきなり飛べるとかの能力自体ないと思って少々不安に思ってたが。もしかしてメッツーがフォーマットを変えるだかなんやらした時に、全てそなわったのか?てかまじで心地いいな。飛行機やヘリとは違って機械を通して空を飛ぶわけじゃないから楽だし。こんなことができるんだったらキックボードやチャリなんて必要ないじゃないか。あの少し幼稚なジェスチャーだって気にならん。


 街が見えてきた。ここら辺は役場とか服屋とかが並んでる都会の方。メッツーの家はこの街を抜けた先の森の中だという。さっきいたとこからここまでで、ゲームだと割と近くに感じるんだけど、実際遠いのな。これは設計ミスか?まあ設計側からしたらこんな自由にこいつらが活動している事実なんて知らないであろう。大手企業がそんなところまでこだわって製作してたら大したもんよ。なんの儲けもならないのに。


 下にいるあいつらを高みの見物とでもいうように眺めてたら、額になんだか液体がかかった。


「うっわ、なんだよこれ。」


 視線を前へ向けると猛烈デカイ見たことない鳥がこっちを睨んでいた。


 なんか緑の液体かけられてるし、俺、この鳥と戦わなきゃなの?


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