ep.7 モテそうな俺
俺はまだ手段を探していた。
こいつらに舐められない一つ何かないと戻れない気がする、、、。となぜかオタク魂みたいなものが込み上がってきていたのであった。
「てゆうかお前のフォーマット直してやんないとな。」
!!!!?『直してやんないと』だと!?俺完全に舐められてる。確ですね。まあこのままじゃ気持ちわりいのも確かだし、とりあえず今は下手に出とくか。
「すみません、お願いできますか?」
「おうよ、俺なら楽勝だ。」
「さすがだよ、メッツー!」
「彼を頼んだ。」
「メッツーはね、このゲームには欠かせないんだよ、しかもゲームがかなり進んでからじゃないと現れないレアキャラ設定なんだ。」
「だから俺、いつも暇なんだよなー。こうゆうことが毎日あればいいんだけどな。この村のプレイヤー、結構プレイ時間掛かってんのに案外進み遅くてさ、全然登場できないんだよ。もうマジ勘弁(笑)」
超側近にいますよ、おーい、ここにいますよー。
時間かけてもいいだろうがよ、世界一速く全クリしたタイムとか計ってるわけじゃないんだから。しかもこのゲームは他のゲームと違って村を作り上げるゲームだから、クリアの基準があるけれども、これが世界一すごいとは言い難いゲームなのだ。
なんなら、進み遅いのはお前たちにとってはいいことではないかー!速くクリアして、遊んでくれないとお前ら寂しいだろ?でも、俺がプレイしていない間もこいつら生活してるみたいだから別に関係ないか。忘れていた、危ない危ない。このムカつくレアキャラには見えないガキンチョのことをどうにかして沈めなきゃだ。そんなプレイヤーの俺様はこんな嘘を持ち出した。
「でも登場できるだけいいじゃんかよ。俺試用だからさ、プレイヤーというか開発者の人と時間かけて、何回も何回も連絡とり合わなきゃいけなくってさ。挙げ句の果てに登場できないけどごめんねの意味を込めてお金送られてくるけどほんと暇でたぶん使わん、マジ勘弁(笑)ちなみにこれでやり取りしてるけど、これってこの村にあんの?」
俺はここじゃなんも役には立たんスマホを取り出した。電源がつかないから俺の身の上を探られることはなさそうだ。
「なんじゃこりゃ。こんな有形電子機器がまだあったとは。これアンティークもんだよな、たぶん。」
「あーなるほど。僕にはあんまわかんないけど、まあ、メッツーが言うんなら間違いないかもね。すごいな。」
そっか。俺的には『ナニコレー。これが未来の機械かー。すごーい。さすがー。僕らは君に従います!!』的な感想を期待していたにも関わらず、忘れてた俺が一番馬鹿なようだ。確かにここで地図開くとき空中操作だったのは言うまでもない。
「こんな高くて、機能性が悪そうなものを未だに使っているということは、、、お前まさか、超富裕層なのか?」
よくこいつもそんな思考回路思いつくよな。良かったのだが。そしてこんなどうしようもない嘘をまんまとこんな短時間で信じられるよな。初めて会った”よく知らない人”の話は信じちゃいけないし、ついて行ってはいけない。俺らは小学低学年で教えてもらうもんだがな。
やはり義務教育は大いに必要である。
ま、こいつらの上位には立てた気がするがさ、こいつ『超富裕層』って言った?そう言われると、俺、ぜーんぜん超富裕層に見えなくね?
「っま、そんなところかもしれない、恥ずかしながら。」
「にしても全然富裕層には見えないなー。」
だよね?w速攻気づかれたよな。そりゃそうだ。
「でもそれがワッサンのいいところだと、僕は思うなー。」
「確かに!偉そうにしてないのがいいよね。服も面白いし。」
お!なんと好印象。いいぞ、俺。そしてありがとう、君たちよ。どうにかこの村で上手くやりこなせそうだぞ。
にしてもこの村じゃ”学生”という概念はやはりないようだな。この服はただのブレザー制服だというのに。まあこの”謎の高校生”みたいな立ち位置のやつってよくアニメとかじゃ天才的なことすんだよな。だからこのままでいっか。
「何回も忘れかけてたけど、フォーマット!いい加減目が疲れてきたから、はい、こっちきて。」
そういうとメッツーは近くにある木の側まで俺の体を誘導させ、なにやらまた空中操作の電子機器を恐ろしい指の速さで操り、最終的には、なんか要するにスキャンみたいなことをしてた。すると俺の違和感があった質感は、俺のさっきまでいた世界のような見慣れた景色へ戻っていた。
「さすがメッツー。こうゆう仕事は早いね。」
「まあ、俺暇だし。こうゆうことばっか知識が増えてく。」
「なあ、メッツーさんよお。俺の体どうやって戻した?」
「普通に設定で。自分でもできるけど、教えてもらってないんだろ?」
「俺の体なんか異常とか起きそうにないか?大丈夫か?」
「なんだよ、さっきから。うるさいなー。俺様がやったからあたり前に安全だ。てか、別にお前だけがこんな事態にあったことないわけじゃないから。他の村から移住してきた奴とかで、機械苦手な奴は俺に頼んでくるし。俺の位置付けも教えられてねえのか、未来人は。」
「メッツー、しょうがないよ、来たばっかりなんだし、あんま教えてもらってきてないわけだし。細かいことは開発者の方々には連絡できないもんね?わかんないことあったら、一番に僕に聞いて!!」
「ルオはあんま頼りにならないけど、いい奴だからな!」
「ひっどーい、キョン君!!」
俺はなんの確信かはわからないが、感覚的にもう前にいた世界には戻れない気がしてしまっている。まあこっちの世界も良い奴というものは存在するみたいだしな。
「んなことより、今みんななにしてた?俺は暇すぎて、ドットスーパーに新商品のなんか食いもんないか探りに行こうとしてたんだが。」
「僕はキョン君のお家に行って、風鈴作り教えてもらっていたよ!」
「風鈴だと!?」
「そうさ!風鈴が作れるなんて驚いたか!!アハハ。案外楽しかったよな〜!もうおいらたちは作り終わったけど、メッツーも作りにおいらの家に来るかい?」
「や、そーじゃなくて、風鈴なんてまだあんのかいっと思って。」
あるだろ、いいだろ、好きにさせてやれよ。
「いいもんだぜ、ちょいと早いけど、眺めるだけで心が弾むぞ。」
「へー。まあ確かに売れそうだしな。」
「やっぱり今日初めて作ってみたんだけど、楽しい。使わなくても、作るのが楽しい。」
いいのか、キョン。使わないやつに作らせる楽しさを知られて。ゲーム本編進まないけど、ミニゲームが好きだからミニゲームばっかやっちゃうのと同じ現象じゃないか。
「俺も作りたいなー。今度やらせてくれ!」
それたぶんやらないやつだ。
「じゃあメッツーはスーパー行くの?」
「んー。なんか寒くなってきたし、家帰ろっかな。」
「たしかに、冷えてきたな。4月の頭はまだ冷えますのー。おいらたちどうするか?」
「メッツーの家行ってみない?いい?」
「えー、なんでだよ。」
「キョン君も行ったことないよね?」
「まあ、そうだな。」
「ワッサン、メッツーってオフの時もあんま見かけないくらいレアキャラなの。」
「そんなことないぜ?お前とのタイミング合わないだけで、俺以外とそこらへんいっから。」
「いや!!そうなんだってば!!だからいまこうして仲良く話してるけど、僕たち遊んだことはないんだよねー。」
「まあそうだな。俺は友達すくねえし。」
「少ないのはともかく、だから行ってみよ?」
そう言うとルオは俺の手を両手でとり、潤ませた瞳で見つめて話しかけた。
なんだ最後の女子みたいな誘い方は。
※操作違いで前話から時が少し経ち過ぎてしまったことをお詫び申し上げます。反省しています。