吸血姫の眷属は決して死なない

　かつて伝説の吸血姫には眷属がいた。「君、私の眷属になってよ」――それは一年前、金髪美少女の吸血姫・ベルベットとの出会いをきっかけに、普通の平民だった少年は彼女の眷属となったことから彼の物語は始まった。
「ちょっと眷属、トマトジュース買ってきてよ」
「それ眷属じゃなくてパシリだろ」
　時にバシらされ、時には吸血鬼を狩るハンターと戦い、はたまた同じ吸血鬼と戦い、果てには吸血姫の血を得て不老不死になろうと企てる闇の組織とも戦った。
　そして、一年にも及ぶ闘争の果てに眷属は吸血姫を守るために命を失った――はずだった。
　彼は生き返った――不死身となって。
　その日を境に吸血姫は姿を消し、かつての仲間からは裏切り者扱いされ、ハンターからも狙われる始末。
　そんな中、眷属は彼女が今もどこかで生きていると信じ、彼女を探すためにあの手この手で奮闘する。