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第七話 冒険者ギルドへようこそ②

「あ、あんたが……ぎ、ギルマスね……わたしは……勇者リリス。そ、そこのハルトがあんたにとーっても大切な用事があ、あぁぁるらしいわよ!」



あ、こいつ自分より強いヤツがいたらビビって逃げるタイプの人間だ。

仕方ねーな、ここは一つホスト流の交渉術とやらを見せてやる!




「すいませんしたあああああああぁぁぁぁーっ!!

いやーうちの自称勇者が、ホントにホントにご迷惑をおかけしたみたいでー。えーホントに、オレも妄想は夢の中だけにしとけよっていつも言ってるんですが。

どうも、最近は夢と現実の区別がつかない様でしてーはい。

死んだ母もこの子はホントに変わった子だから、目を離しちゃいけないよって。それは、それは何回も何回も言われましてーはい。

って言う事なので、今回はこれでー……。おい、 リリス! 行くぞっ!」



「ちょ……ちょっとー! だから、なんで毎回謝るのよ! てか、離しなさいよー!」



「……いいか、リリス。 世の中には生き方ってもんがあるんだ。死に急ぐ事はねぇ……。これは……いわゆる、戦略的撤退って言うヤツだ」



「……戦略的……てったい?」



そう言って腕を引っ張りながら、リリスにしか聞こえない位の声で喋る。

悪いが、これは相手が強すぎた。




「……待ちな! 今、勇者って言ったか?」



「そ、そうよ! わたしは代々、数多の勇者を排出してきた家系の出身よ! この間、夢で創造神イチノセ様の天命を受けて旅だったばかり! だけど、道中でお金は落としちゃうし、剣は……ちゃうし……で、大変なのよ! けど、最近勇者詐欺が横行してるのか知らないけど! あ、あたしは、紛れも無くホントに本物の勇者なんだからっ!!」



「……神に誓ってか?」



「ち、誓ってよ!」



「…………」



「…………」



はい、終了ー。

皆さん今までお世話になりました。

勇者詐欺が横行してるって事は刑罰かなんかがあるんだろ?

良くて投獄。悪くて獄門とか市中引き回しとか。

一番最悪な刑は、恐ろしくて考えたくもないな。



「ふっ……。ふははははははっ! よし、よし良いだろ! わたしの闘気を前にしても言えるとは、ホントに勇者なんだろうな! よし、ソフィーあれを持ってこい!」



ギルマスに言われて、ソフィーさんが何やら水晶の様なモノを持ってきた。



「さっきから、魔法投影のモニターで見ていたがお前達は冒険者登録がしたいんだろ?

いいか、よく聞け? この水晶みたいな形をしたやつが、いわゆるステータスの鑑定器具だ。名前は……忘れた。まぁ、使えりゃあなんだっていいだろ?

で、こっちのカードがいわゆるギルドカードだ。ステータスや冒険者ランクを書き込んだり、後は関所を通過する時の通行手形の変わりにもなる。

冒険者にとっては必需品だな。

ここまではいいか?」



「はいっ!!」



返事をしないリリスの代わりに返事をする。

きっと、訓練された犬の気持ちってこんな感じなんだろうな。



「よし、いい返事だ! 後は、この水晶見たいなヤツに手をかざしてやれば自動的にステータスを判別してギルドカードに書き込んでくれる。

じゃあ、そうだな……。勇者! 先ずはお前からやれ!」



そう言われて、リリスは歩いて水晶の所まで行き手をかざす。

すると、水晶が光だした。



「ち、ちなみになんですが……ギルマス!」



「あん? なんだ? レイナでいいぞ! ギルマスって呼ばれるのは、なんていうか……慣れてないんだ」



「えっとー……じゃあ、レイナさん! ちなみに……なんですけど……。もし、もしですよ? リリスの鑑定結果が勇者じゃ……なかったら……」



「あん? そうだなー……。本来なら笑って済ませてやる所なんだが。今は国の法律が厳しくなってなー。勇者偽装罪は良くて終身刑。運が悪くてチョンパだな」


「……チョンパと……言いますと?」



「……これだ」



そう言って、レイナさんは自分の首の前で親指を逆さに立て、横にスライドした。



「……ちょっと、お手洗いの方に……」



「おっ、鑑定が終わったようだな」



終わったのはオレの人生ですよ……。はい。

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