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みつけた
私は書店の中を歩いている。
めぼしい本は見当たらない。
どの本の題も見たことがなく、漫画や小説、雑誌のコーナーにも、私の知っているものはなかった。
そして書店の中をくまなく調べ、私の目的の場所はここではなかったのだと思う。
そう思うと私は書店の出口へ向かった。
すると出口のガラス扉の手前に、一冊の本が落ちているのを見つけた。
なんだろう。入ってきた時はなかったのに。
私はその本を拾い上げ、表紙を見た。
すると私は、なんとなく懐かしい気分になった。
地平線で上下を分断された表紙には、一人の人の後ろ姿が描かれたイラストが載っている。
そしてそのイラストの上に、
『プルトゥールルの旅』
と題が書かれ、作者名や出版社名は見当たらなかった。