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なろうラジオ大賞用 超短編集

『妖怪・120パーセントの雨女』

作者: 風柳

私は雨女だ。

私が出かけると、必ずと言っていいほど。

そう、まず間違いなくと言っていいほど雨が降る。

どんなに晴れの予報が出ていても、某テレビ局の森さんが晴れだと言っていても雨が降る。

私が出かけると、そこには必ず雨がついて回るのだ。


そんな私についたあだ名は『妖怪・120パーセントの雨女』。

はぁ……なんて理不尽なあだ名なんだろう。

私が天気を雨にしてるわけじゃないのに。

天気が悪いんだ、天気が。

私が好きで雨にしてるわけじゃないのにいいいい!!!


友達から今度の日曜おでかけしようか?と誘われても。



「あ。あんた雨女だもんね。傘の準備しとかないとね」



なーんて言われる始末。

はぁ。

何で私はこんなに雨女なんだろう。


そんなある日のこと。

私は通学路である少年に出会った。

少年は傘もささずに雨の中、空を見上げている。



「どうしたの?風邪ひいちゃうよ?」



私は少年に声をかける。

余計なお世話だったのかもしれない。

けれど、空を見上げる少年の横顔はどこか私を引き付けて。

どうしてだろう。

声をかけずにはいられなかった。



「雨、好き?」



少年は唐突に私にそう問いかけてくる。



「……嫌い。私が出かけるといつも雨なんだもの。ほら、今日も雨だし」



その言葉に少年はクスリと笑うと。

満面の笑顔で私を見つめてこういった。



「僕は雨が大好きだよ。だって雨は全てを洗い流してくれるから。大気中のゴミや塵だけじゃない。僕の体の汚れや、心まで洗い流してくれるから」



そう微笑む彼の顔を見て。

私は顔が沸騰したように熱くなるのを感じる。



「キミも傘なんてささずにこうしてごらんよ?とても気持ちが良いよ?」



私は彼に勧められ、さしていた空色柄の傘を閉じ降りしきる雨の中に身を晒す。

しとしとしとと、服に雨がしみ込んでゆく。

夏の蒸し暑さを吹き飛ばすような冷たい雨の感触。

雨が、私の体を。心を洗い流していく。

薄い制服の上着が透けていくのも気にせずにただただ雨の中に身を晒す。



「ね、気持ちいいでしょ?」



私に向かってそう問いかけてくる彼の笑顔はとても無邪気で。

けれどどこか引き付けられるような。

そんな笑顔だった。


これが。

私と彼との出会い。

私はこの日から、『妖怪・120%の雨女』と言われることが少し嫌いではなくなった。

『天気の子』面白かったです、はい。

という訳で、『天気の子』にでてくる『100%の晴れ女』というキャッチコピーを雨女にしてみました。

内容は全然違いますよ、もちろん。

ご感想レビューなど頂けたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 天気の子を見てから検索してたどり着きました。小説が既に投稿されているとは、小説より奇なりとは、良く言ったもんですね
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