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さんそく! ヒーローと幹部と学生と  作者: ムネミツ
第一章 偽ヒーロー登場
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第四話 普通のヒーロー

 「重・装(じゅう・そう)っ!」

 格納庫の中で雷同鉄男がキーワードを叫び、紫色のパワードスーツを身に纏う。

 その名は悪を断つ轟雷、重装刑事バイオレッド!

 その変身タイムは一ミリ秒と早い。

 

 装着を終えた重装刑事バイオレッドの瞳に黄色い光が灯る!

 これはシステムが正常に作動した証だ。

 バイオレッドは一人、専用車両のライトニングに乗り込む。

 アメリカ製スポーツカーをベースに魔改造を施した紫の悪魔だ。


 「雷同課長、一人で勝手に変身して出て行かないで下さい!」

 バイオレッドが乗り込んだライトニングの窓ガラスがスクリーンになる。

 映し出されたのは、警察内のオフィスとお団子頭の女性オペレーターだ。

 「若葉君、コードネームで呼んでくれ! 市の南側に怪人が出たんだろ?」

 オペレーターの若葉(わかば)嬢に訂正を求めつつ確認する。

 「課長の仕事は書類の決裁です! ヒーローなら書類仕事から逃げるな!」

 若葉は書類のタワーを指さして激怒していた。


 「ヒーローが現場に行かないでどうする! 書類は任せた!」

 バイオレッドは課長権限で通信を遮断した、彼は書類が嫌いだった。

 バイオレッドがキーを回しエンジンを入れる。

 シートベルトが自動で巻かれ、ギアをドライブに入る。

 アクセルを踏み、発進しようとした彼の前に数人の人物が立ち塞がった!


 「隊長! 止まって下さい!」

 「若葉ちゃんを怒らせないで!」

 「今ならまだ、ごめんなさいですみますよ!」

 赤青黄色の戦隊風のパワードスーツ、肩には稲妻のマーク。

 バイオレッドの部下であるサンダーガッツの隊員達だ。

 毎回バイオレッドの暴走に振り回され、若葉に怒られる三人。

 今回こそは、上司の暴走を止めたいと意気込み立ち塞がった。

 

 「お前達、俺を止められると思うな!」

 バイオレッドは容赦なくハンドルのスイッチを押す!

 

バンパーから銃身が飛び出し機銃掃射っ!

 「あぶね! 撃ってきやがった!」

 「酷い! 鬼!」

 「おい、避けたら駄目だろうが!」

 サンダーガッツの三人が反射的に横に跳び退いた事で隙ができる。

 その隙を逃さず、バイオレッドはアクセルベタ踏みで発進した!

 「……サンダーガッツの皆さん、戻って書類仕事をお願いしますね♪」

 サンダーガッツの三人のマスクに、若葉の声が染みわたった。


 爆音を上げ猛スピードで走り出すライトニング、だが行く手を阻むかのように

 格納庫の出口から隔壁が下りてきた。

 「壁は破られる為にある、正義を守る為には法も破る!」

 シフトレバーをHへと入れるとライトニングが人型に変形した!

 同時に運転席もパイロットの手足に連動するトレースシステムに変形する。


 ライオットバイオレッドと言う、暴徒鎮圧形態だがどちらかと言えば暴徒は

 バイオレッドの方だった。


 下りた隔壁を体当たりでぶち破り、警察署の外へ出て行くバイオレッド。

 翌日には『暴走刑事、暴れすぎ!』と新聞の一面をにぎわす事となる。

 敵にも味方にも無茶をするヒーロー、それが重装刑事バイオレッドだった。


 彼が何故警察をクビにならず、ヴィラン専用刑務所に収監されないのか?

 警察で監視しつつその戦闘能力を暴力装置として役立てた方がマシだから。

 強過ぎるヒーローは一般人では制御しきれず、社会がヒーローに合わせる形

 で現在の世の中は回っていた。

 

 ヒーローをペットにするのではなく、我々がヒーローのペットになるのだ。

 と言った総理は今もヒーローへのゴマすり野郎と叩かれている。


 こうした酷い理由でその存在を保っているバイオレッド、だが実際に

 ヴィランの撃破数では警察ヒーローとしてトップを保っていた。

 始末書の量も被害総額も市民からの苦情もトップなのは言うまでもなかった。


 一般人なら一発で免許がなくなり、交通刑務所行きな速度と危険運転で

 ライトニングが街の南へと疾走する。


 いつの間にか路上喫煙者だけでなく一般の通行人にもヨモギタバコを

 吸わせだした怪人ヨモギマンは、自分へ迫りくる存在を感じると逃げ出した。

 「何だあの車は? こっち来るなモギ~~~!」

 超人的速度で走り逃走するヨモギマン。


 だが、警察の破壊神に狙われたと知らぬ怪人ヨモギマンは逃げ切れる

 わけもなく郊外の採石場へ追いつめられていた。


 バイオレッドも、戦闘で市外に被害を出さないと言う配慮はできたらしい。

 「重装刑事バイオレッド!」

 車を降りてヨモギマンの前で名乗りを上げ、正拳突きのポーズを

 取るバイオレッド。

 

 突きだした拳は、怪人を打倒すると言うメッセージだ。

 ご丁寧にバイオレッドの愛車のライトニングから音楽が流れる。

 「路上喫煙と暴行、迷惑防止条例、ヴィラン撲滅法により断罪する!」

 刑事らしく罪状を述べるバイオレッド、警察手帳からバツ印の光線が

 発射されヨモギマンの胴体にバツ印の焦げ目が刻まれる。

 

 このバツ印は怪人への死刑執行の宣告、逃れられない死神の刻印。

 「モギ~~~~!」

 逃れられぬと悟ったヨモギマン、両手を突出し金色の粉末を放出する!

 粉末を避けずに受けてみたバイオレッドのスーツがバチバチと

 音を立てて放電しショートした!


 「ぐわっ! 何だこの粉っ!」

 ヨモギマンの対マシン用花粉によりショートしたスーツが再起動する。

 「俺の花粉は機械を壊すモギ~! ヨモギ振動波~!」

 今度は頭部の触角を振るわせて光線状の振動波を発射するヨモギマン。


 これは危険と判断したバイオレッドが側転で回避すると案の定

 先ほどまでいた場所の背後の石の山が砕け散った!

 「間抜けなナリの割にやるじゃねえか! こっちも行くぜ!」

 バイオレッドのスーツの脛から棒状の物体が射出され彼の手に握られる。

 握られた棒から刃が飛び出し刀となった。

 バイオレッドの剣に脅威を感じたヨモギマンが全身から草を生やして

 バイオレッドを絡め取ろうとする。


 だが、バイオレッドの剣の刀身が青く輝き迫り来る草を切り払った。

 「フォトンカットラスの切れ味は鋭いぜ!」

 これこそバイオレッドの必殺武器、フォトンカットラス。

 その光の刃は、あらゆる敵を断ち切る断罪の刃。


 再び放たれたヨモギマンの振動波を、カットラスの光刃が受け流し

 バイオレッドがカットラスを上段に構えてヨモギマンへと踏み込む。

 「バイオレッドスラッシュ!」

 技の名と共に振り下ろされた刃は、ヨモギマンを一刀の下に分断し

 葬り去った。

 

 「見た目の割にやる奴だったな、成仏しろよ」

 フォトンカットラスを収納し、ヨモギマンを弔うバイオレッド。

 ライトニングを遠隔操作し、ビーム砲でヨモギマンの遺体を焼き払う。

 

 このようにヒーローが現場で敵の遺体まで処分する為、怪人の遺体を

 サンプルとして持ち帰りされずパッチの秘密が守られているのだった。


 この後、警察署へ帰投したバイオレッドが署長の説教と書類地獄に落とされる。

 そしてまた、書類仕事から現場へ逃亡し敵と戦う事を繰り返すのであった。

 

 

 

 



 

 

 

 


 

 



 

 

 

 

 

バイオレッドがヨモギマンを撃破する一方、偽ヒーロー達も戦いを始める。

そして次回、ついに幸之助がジ・エンダーへと変身を遂げる!

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