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勇者スレイヤー 勇者絶対殺すマン  作者: ランタン丸
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エンマと転生



注がれた紅茶の香りがテーブルの周りを漂っている。

ハイリは、紅茶を味わいながら神アポクリフの話に耳を傾ける。


設定(ルール)はね、その世界に送られたあらゆる魂に刻まれているのさ。そして、魂が次元を超えて別の世界に送られる時には前の世界の設定(ルール)は、新しい世界のものに上書きされるんだ。そうしないとね、新しい世界で、その者はその世界の設定(ルール)に縛られなくなる」


「魂は別の世界に行くこともあるのですか??」


「そうだよ。あらゆる生物は、死んだら、その死んだ世界での実績や本人の希望なんかをもとにして魂が別の世界に送られるんだ。そして新たな世界で新たな生を全うするんだよ。まあ、死んでから魂が送られるまでの時間は世界によってまちまちだけどね。これを転生と呼ぶんだよ。転生前だったら蘇生魔法等で蘇生は可能さ。でも転生がなされると、完全な蘇生はできないんだ」


死んだ者の魂は転生して世界を巡る。この事実を知ったハイリは思案を巡らせ、手にもっていたティーカップをテーブルに置く。


「転生ですか・・・、転生は必ず行われるんですか?絶対に??」


「ああ、そうだよ。死んだら新しい世界を巡るんだ。創造神が新たに世界を創ると同時に新たな魂を創る場合は例外だけどね。あと、魔法等の蘇生方法がある世界では転生までにけっこう待たされるから、君も死んだ時は覚悟しときなよ!!」


「そうですか・・・、あの、、つかぬ事をお聞きしますが勇者たちに殺された魔王様や魔族の人々は無事に転生できたのでしょうか?」


「ああ、彼らの魂なら今頃、エンマのところでそれぞれ次に送られる世界が決まって、次元を越えるための準備として魂にに刻み込まれた設定(ルール)上書きしてるはずさ」


「エンマとは?」


「エンマってのは、関所にいる役人みたいなもんさ。魂の次に行く世界を決めて、設定(ルール)を上書きすることを生業としているんだ。創造神の部下という意味では、私たち神の同僚ってところかな!」


「神の同僚ですか、まあ死んだ魔族や魔王様が無事転生できるようでよかったです。出来れば転生先で健やかに過ごしてほしいですね」


ハイリは柔らかい表情をつくり、死んだ魔族たちの今後の安寧を願う言葉を口にする。

そんなハイリを見て、神アポクリフは微笑むとすぐに真面目な顔に戻り、ハイリに自称勇者たちの情報を告げるのだった。


「さて、自称勇者たちについてだけど、はじめの方に話した通り彼らは死体をベースに造られた人造人間(ホムンクルス)だ。おそらくだけど、それを造ったアポ教の教皇は、前の世界(前世)設定(ルール)が上書きされていない異端者だ」


「魂に設定(ルール)が上書されていないなんてことはあるんですか?」


「それがね、あるんだよ。ごく稀ね。さっきも言った通りエンマが魂を上書きをするんだけど、手違いやエンマの目を盗んで勝手に転生した場合には設定(ルール)が上書きされないんだよ」


「エンマ様というのは、アポクリフ様たち神の同僚なんですよね?そんな神に近い高位の存在のお方が手違いを起こしたりするのですか?ましてや、そんなお方の目を盗むなど不可能に思えるのですが?」


ハイリに指摘に神アポクリフは、苦笑いを浮かべながら答えた。



「君に指摘ももっともだね。ただね、私たち神も万能じゃないんだよ!時には失敗したりもするんだ。それに、エンマはね、1人で平均100個の世界を管轄してるんだ。100個分の世界の魂を管理することは、そりゃあもう大変なのさ。忙しさ故にたまに失敗をしたりもするんだよ。エンマの目を盗むのは極めて困難だけど、不可能ではないんだ」


「神様も失敗するんですね。意外です」


「はははっ、君たちが勝手に神を崇高な存在に祭り上げているだけさ。私なんて創造神に雇われてこの世界の主神をしてるに過ぎないんだよ。ほとんどの世界の主神は雇われ店長的な立場なのさ」


「はあぁ、雇われ店長ですか。そう言われるとなんかを身近な親しみがわきますね!」


「そうだろ、そうだろ。おっと!!話が逸れたね!話をもとに戻すけど、アポ教の教皇は魂への設定(ルール)上書きがされていない状態でこの世界に転生した。このような者を私たち神は『異端者』と呼ぶ。異端者は世界の設定(ルール)に縛られることはないから彼らはこの世界にない技術や法則を用いて世界の秩序を乱すんだ。困ったもんさ」


「アポ教ってアポクリフ様を信仰する宗教ですよね?そのトップの教皇が異端者っておかしな話ですね」


「本当に皮肉な話さ!それでね、最初にも言ったけど、お願いがあるんだ。正式な勇者として君が自称勇者と教皇を始末してくれないかい?」


一通りの事情の説明を終えた神アポクリフは、再度ハイリに勇者になるようにお願いをした。


「始末とはどうすればいいのですか?」


「早い話が殺してほしいんだ。魂だけの状態にして再び、異端者を魂に設定(ルール)が上書きできる状態にしてほしいんだ。それに自称勇者たちはこの世界の秩序を乱すからこの世界にとっては害でしかないんだ。だから殺してほしいんだ!!」


神アポクリフの要望を聞き、ハイリは困惑する。


「俺は人造人間(ホムンクルス)の勇者に敗北したんですよ?俺に勇者が務まるとは思えません!」


ハイリは自称勇者と戦い敗北した。その圧倒的実力を実際に体感し、さらに神アポクリフによりその正体が異端者に作られし人造人間(ホムンクルス)と聞かされた今ではハイリは自称勇者たちに勝てるようには思えなかった。

しかし、そんなハイリの思いを払拭するように神アポクリフは笑ってハイリを説得する。


「ふふ、何を心配してるんだい?正式な勇者には神の力の一部分を与えられるんだよ?モモタロウとの戦いの時みたいに一方的にやられるようなことはないさ」


「俺は強くなれますか?」


「ああ、なれるよ!だけど、モモタロウをはじめとする自称勇者たちはこの世界の秩序から外れた存在だ。この世界の設定(ルール)に縛られる私の力がどこまで自称勇者(ホムンクルス)たちに通用するかまではわからないね。でも、今よりは格段に強くなれるよ!!」


「わかりました。でも最後に一つだけ教えてください。どうして俺を勇者に指名しようと思ったんですか?魔王様が俺を推薦したということは聞きました。でも俺よりも強い魔族や人間族は他にもいるはずです。それにもかかわらず、なぜ俺を勇者に指名しようと思ったのか教えてください」


現状、異端者とその者に造られし自称勇者(ホムンクルス)たちは、勇者となり神の力の一部を得たとしてもその力がどこまで通用するのかは未知数だ。ならば、少しでも実力があり、強い者を勇者に指名した方が神アポクリフの願いは達成されやすいはずだ。

ハイリ自身、自分よりも魔法や剣術に秀でた魔族や人間族を知っている。

その者たちを指名せずに、自分を指名するのはなぜか?ハイリは不思議に思わずにいられなかった。


「ああ、そのことかい?それはね、3つの理由から君を指名することにしたんだよ」


「3つの理由ですか??」


「そうさ、それはね・・・・・・」


ハイリは神アポクリフから3つの理由を聞く。

そして、その3つ目の理由を聞いた時、ハイリは教皇に激怒する。そして神アポクリフの指名を受けることを決心するのだった。



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