神隠しの村2
ぱふっと畳の上に寝転がる。夕方には千穂の家に着き、五人はまず昼寝することを選んだ。
「疲れた?」
ひょいと未海が顔を出す。さらりと短い髪が揺れた。
「少し」
武尊が答える。未海は武尊の側に座り込む。
「楽しいことありました?」
「学校のグラウンドが広いのには驚いたかな」
「学校見て来たんですか?」
「そう。ちょっと興味があって」
「面白くなかったんじゃないですか?」
「暇つぶしにはなったかな」
「そうですか」
だったらいいんですけどと未海は笑った。
「懐かしかったー」
ごろりと寝返りを打ちながら千穂は笑った。
「小学校ってあんなに小さかったんだね」
「分かる」
啓太が千穂の言葉に頷いた。
「啓太は大きくなりすぎだもん」
未海がけたけたと笑った。啓太はむっとして返す。
「大は小を兼ねるぞ」
「それ、使い方違う」
樹がすかさず突っ込む。それに、良い兄弟だよなと武尊は懲りずに思う。こんなこと口にしたら樹が怒るに違いない。
「そう言えばさ」
武尊は思い出して口を開く。
「この村って行方不明者多いの?」
案の定、空気が固まる。しかし、聞いておいた方がいいと思ったのだ。うーんと皆唸る。
「貴ちゃんは死んじゃったし、お父さんも行方不明だけど」
千穂が小さな声で話す。
「それより昔のは分からない」
その言葉に四人は頷いた。壱華が上半身を起こす。
「いきなりどうしたの?」
その問いかけに武尊は逡巡した後言った。
「この村は行方不明者多いから気を付けろって言われた」
「町で?」
「そう」
樹の言葉に武尊は頷いた。五人は難しそうな顔をする。
「どんな人だった?」
千穂も興味がわいたのか体を起こした。武尊は自分に話しかけてきた少年の姿を思い出す。
「俺たちと年は同じくらいで、そう大きくはなかった。170ないくらいかな」
「他には?」
千穂がクッションを抱きしめて体を預ける。他の四人も興味があるようだ。
「56って書いてあるTシャツを着てたよ。あとキャップ被ってた」
「伊予君かな」
千穂の言葉に武尊は首を傾げた。
「これだけで分かるの?」
千穂の言葉に皆合点がいったのかああ~と声を上げた。
「貴輝と仲良かった奴だよ」
啓太も体を起こした。そのまま説明を付ける。
「この村もオープンってわけじゃないし、町の友達とか呼んだことなくて、そんな態度取ってれば悪い噂も流れるだろう?」
「まあ、そうかも」
武尊は言葉を濁した。
「でも伊予は気にしないで俺らとよく遊んでたんだよな。それが貴輝が死んでから俺らを避けるようになった」
ちなみに、数字が書いてある服ばっか着てるやつなんだと付け足す。武尊もそれでと頷く。
「そういや、ゲーセンにいたな」
声かけてなかったから忘れてた。と啓太はぼやく。
「武尊は、この村、嫌だ?」
千穂が心配そうに首を傾げて見つめてくる。武尊はその顔にふっと笑った。
「嫌じゃないよ」
「本当?」
「嘘ついてどうするの」
「そうだけど」
千穂はまだ納得できないようだったが、それ以上は問いかけてこなかった。
「みんなよくしてくれるし」
「お客様とか珍しいからな」
「みんなちょっと浮かれてるかもね」
啓太と樹は苦笑気味にそう言った。
「でも、洞穴には近寄っちゃだめよ」
壱華が人差し指立てる。それに、ああと四人は思い出したように声を上げる。
「あるって言ってたね」
「よく分からないけど、皆行っちゃだめって言われてるの」
「分かった。気を付ける」
そんな会話を交わした後、未海以外の五人は昼寝に入った。
「疲れてるな~」
畳の上で眠る姉と姉の友人たちを見ながら未海は笑った。




