浮気の目撃 ──600字小説シリーズ
学校で突然、頭痛に襲われた俺は急いで保健室へと向かった。
「失礼します、一年三組◯◯です。ちょっと頭が…………」
「うわ~、翔太クンのおっきい♡」
「亜美こそ、こんなデカイ胸しやがって何カップだよ」
「えへへ、Hカップだよぉ♡」
…………どうやら俺は頭痛の苦しみから、大切な事を二つ忘れてしまっていたらしい。
・一つ、今日は職員研修で保健室には先生が居ない事。
・二つ、俺は『こういった事』に遭遇しやすい体質な事。
「「……………」」
「…………お邪魔しましたー」
今まで、俺は気づかれる前に立ち去って何も見なかった事にしてきた。だから、俺にとってもこんな事は初めてだ!
………早くこの場から去りたい。
「ちょっと、待ってくれ! 頼む玲果には内緒にしてくれないかっ。彼女の事もちゃんと愛してるんだ」
………いや、玲果って誰だよ!
すごく、めんどくさいな。
「いや、玲果とか知らないですし、浮気の事も誰にも言うつもり有りませんから」
「ホッ、よかった~。じゃあ、行ってイイよ」
「分かりました、失礼させて貰います。 ………とっかえひっかえも程々にするように、あんまりヤリ過ぎると妊娠しますよ」
無駄だと思うけれども……一応忠告はしておく。
「取っ替え引っ替えって大袈裟だなぁ。 ………俺は玲果と亜美の二人だけだぞ!」
「あの子もう行っちゃったし、…………そんな事より続きシよっか!」
いやぁ、しかし驚いたなぁ高校生で不倫してるなんて。しかも、彼で六股目だ。全くとんだビッチが居たもんだ………………