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一冊目の一頁
俺がこの帳面を記す理由を一ページめの最初に書いて置く。まず無いと思うが初心を忘れた時の為だ。
俺がこれを書くのは辰砂があれこれ色々やり過ぎて、絶対覚えてない事とかがいっぱい出てくると確信しているからだ。
辰砂は習った事や気になった事や色んな事をメモ帳に書き殴っているけれど、それを見返す事が殆どない。書き損だ。むしろメモ帳が書かれ損だ。
いずれ辰砂が困る時がやってくるに違いない。
その時の為に、俺は粛々と記録を続けるのだ。
迷った時には一ページ目を読み返せばいい。
これは俺による俺の為だけの資料集だ。
忌憚なく書くべしだ、俺。




