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プロローグ 異常な世界

  目の前は、地獄絵図だった。


  好戦的なアイツは、真っ先に業火に焼かれた。

  高飛車なクラスの女王は、頭を地面に叩きつけられた。

  ラブラブだったカップルは、仲良く肉塊と化した。


  ぴちゃ。


  俊足の野球部員は、脚を両断され冷たくなった。

  体格の良い剣道部長は、脳天に刀を生やして動かなくなった。

  スイマーの女子は、激しい流水に飲まれて溺死した。


  ぴちゃ。ぴちゃ。


  ここは俺たちの教室。先ほどまで和気あいあいとしていた、ごく普通の中学校。


  みんなに慕われたクラスの母ちゃんは、友達の盾となって諸共銃殺された。

  完璧超人のカリスマは、操られたクラスメイトに後ろから斬り殺された。

  操られた平和主義者も、用済みとばかりに首を捩じ切られた。


  ぴちゃ。ぴちゃ。ぴちゃ。


  異形の仮面は現れた。教室をつつむ闇とともに。

  どこからともなく取り出す武器や魔法じみた攻撃で、レパートリーに富んだ惨殺を楽しむ。


  隣の席の子は、居眠りがそのまま永眠となった。

  親友たちは仮面の不意を突こうと、動いた直後に頭が爆ぜた。

  幼馴染の女の子は、俺を庇って腰から下が消失した。


  ぴちゃ。ぴちゃ。ぴちゃ。ぴちゃ。


  黒板は血と臓物で俺の行く末を講義しているようだ。


  ぴちゃ。ぴちゃ。ぴちゃ。ぴちゃ。


  ……ぴた。


  目の前には、地獄絵図。

  そこに笑う異形の仮面。俺を見下ろし笑う仮面。


「最期に、言い残すことはあるかな?」


「……お前は絶対許さねえ」


「それは楽しみ」


  程なくして、視界が360度回転した。

  血塗られた教室の全体像が視覚情報として入ってくる。


  そして奇妙なことにゆっくりと、下降していく。

  異形の仮面と、首の無い学生服の身体。


  頭部に衝撃が走って、視界が暗転し始める。


  ところで仮面の声は、何処かで聞き覚えのあるような……。

  そんなことを最期に思って、俺の意識は急激に闇に飲まれていく。


  どうしてこんなことになったのか。


  今までの思い出が、凄まじい速さでフラッシュバックしてはそのまま過ぎ去っていく。楽しい思い出も、辛い思い出も、トラウマなったあの大震災も、すべてあっという間に奈落へと落ちていく。


  そして最後に思い起こされるのは、いつもの平和な日常。

  みんなが笑って過ごした、なんてことない、けれど俺の掛け替えのない平凡な中学校生活。


  それもスルリと俺の意識からは遠ざかって。



  やがて俺の世界は完全に無へと帰した。





  かくして、伊達西中学3年2組の生徒40人は全て死亡した。

 

  それはまた狂気のゲームの火蓋が切って落とされたことを意味していた。

予告版です。11/17編集。

第1話は11/29の22:00に投稿予定です。

そこからあらすじの内容に入るまで三日に一度22:00更新を予定しております。(更新ペースの変更の可能性有り)

またこんなあらすじとプロローグだけの作品をブクマして下さった方、本当にありがとうございます。

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