勇者の寝言 第6夜 「ばなな」
俺の名前は、マトン・スクィーバー。
自由騎士だ。
騎士養成学校を卒業したものの、仕事がなく、勇者と悪霊・怪物退治をする日々を過ごしている。
勇者は過去を教えてくれないのだが、腕っ節は強く、俺がいなくても1人で悪霊を退治してしまう。
こんな勇者と一緒にいると、俺の経験値は上がっていく一方なのだが、1つだけ悩みがあった。
「うーん、マトン」
勇者の寝言は、今日も好調だ。
「違うよ、そこは僕の大事なところ」
おい、俺は、何をお前にしているんだ。
怪しすぎるぞ。
「マトン、違うよ、それは、バナナ」
いったい、俺たちはお前の夢で何をしているんだ。
大事なところだったり、バナナだったり。
「僕とバナナ、どっちが大事なの」
何だ、その選択肢?
比較対象がおかしいぞ。
「ひどい、バナナが大事なんて」
そりゃそうだろ、お前のよりは、バナナの方が大事だぞ。
当たり前だ。
「ひどい、実家に帰らせて、、、むにゅ」
そこまでショックだったのか。
まぁ、いいかどうでも。
朝の光は、俺を優しく包んでくれる。
「マトン、今日は調子よさそうだね」
「そうさ、気にならずに寝れなかったからな」
「よかった、最近、不眠だったから、気になっていたんだよ」
気にしてくれるんだったら、お前の寝言どうにかしてくれ。
でも、寝言はしょうがないよな。
俺は、ため息しかでなかった。
あぁ、早く支給額上げて、別部屋にしないな。