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勇者の寝言 第32夜 「盾と蓋」
南下俺の名前は、マトン・スクィーバー。
自由騎士だ。
騎士養成学校を卒業したものの、仕事がなく、勇者と悪霊・怪物退治をする日々を過ごしている。
勇者は過去を教えてくれないのだが、腕っ節は強く、俺がいなくても1人で悪霊を退治してしまう。
こんな勇者と一緒にいると、俺の経験値は上がっていく一方なのだが、1つだけ悩みがあった。
「マトン」
今日も勇者の寝言に悩まされる。
「フタとって」
何か前にも同じような夢があったよな?
「マトン、違うよ、それは盾!」
また、夢の中の俺は何をやっているんだよ。
「もう、しょうがないな、代用するよ」
代用するな。
血とか、埃とかが付いているだろ!
「あーとけちゃったよ、、、ムニュ」
俺の盾どうするんだよ!
今日は曇天だ。
朝日は差し込んでこない。
しかし、その明るさは俺には十分すぎた。
「マトン、どうしたの盾なんかとりだして?」
「お前には貸さんぞ」
「えっ、僕、盾なんか使ってないし」
俺は、こいつを信用しないぞ。




