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勇者の寝言 第26夜 「起こして」
俺の名前は、マトン・スクィーバー。
自由騎士だ。
騎士養成学校を卒業したものの、仕事がなく、勇者と悪霊・怪物退治をする日々を過ごしている。
勇者は過去を教えてくれないのだが、腕っ節は強く、俺がいなくても1人で悪霊を退治してしまう。
こんな勇者と一緒にいると、俺の経験値は上がっていく一方なのだが、1つだけ悩みがあった。
「マトン!」
今日も勇者の寝言は好調をキープしている。
「何で起こしてくれなかったの!?」
俺は、お前のお母さんか。
そもそも、夢で起きる夢を見るってどうなんだ。
「今日、8時から見たいアニメあったのに!」
小学生かお前は。
そんなに見たいなら自分で起きろ!
「もう。来週は頼むよ、、、ムニュ」
来週もかよ。
勘弁してくれよ。
朝日は今日も地球を照らしていた。
その輝きは俺にとっては、とてもまぶしすぎるものであった。
「マトン、目が据わっているよ」
「来週は、自分で起きろ!!!」
「ど、ど、どうしたの、マトン?」
「いや、すまん。子供のお前に言っても無駄だった」
「子供って言わないでよ!」
別部屋での睡眠をとれる日はまだまだ遠かった。




