勇者の寝言 第2夜 「願い事」
筆者のブログでも掲載中となります。
俺の名前は、マトン・スクィーバー。
自由騎士だ。
騎士養成学校を卒業したものの、仕事がなく、勇者と悪霊・怪物退治をする日々を過ごしている。
勇者は過去を教えてくれないのだが、腕っ節は強く、俺がいなくても1人で悪霊を退治してしまう。
こんな勇者と一緒にいると、俺の経験値は上がっていく一方なのだが、1つだけ悩みがあった。
「えっ、本当ですか?」
今日も勇者の寝言は絶好調。
「何でも願い事をかなえてくれるんですか?」
俺も願い事をかなえてほしいことがいっぱいあるぞ。
俺に、それをかなえさせてくれ。
「本当に本当ですか」
念を押しすぎだ。
お前はどうしてそこまで慎重かよ。
「マトンの寝不足が治ります様に」
お前、俺のこと考えててくれたのか、いい奴だ。
ありがとうよ、って不眠の原因はお前だ。
「そうじゃないと、僕の負担が増えちゃうからね」
あぁ、昼間眠いさ。
だけど、お前の足手まといになった記憶はないぞ。
「この前もさぁ、、、ムニュ」
この前って何だ。
俺は何をした。
今日は、幕切れが中途半端だ.
気になってしょうがない。
でも、眠くなってきた。
おやすみ。
窓から朝日が差し込む。
俺は、それを見ながら呆然としていた。
「マトン、どうしたのその目、赤いよ?
泣いていたの?僕でよければ、相談に乗るよ」
あぁ、是非そうして欲しい、だが、お前に相談してもしょうがない。
経験値を稼いで、支給額が増えるのはいつのことやら。