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勇者の寝言 第12夜 「蓋」
苦痛だった。俺は、マトン・スクィーバー、悩みをもつ騎士だ。
頼りになる勇者と一緒に討伐に明け暮れていたが、
夜が来るのが楽しみ、いや苦痛だった。
「マトン、フタとって」
今日も勇者の寝言はまともだ。
「違うよ、それはフタじゃなくて、ブタ!」
えっ、何その流れ。
何やっているんだよ、夢の中の俺!
「しょうがないな、代わりにそれ使うよ」
代わりに使うのか?
それ以前に、代わりになるのか?
「できたよ、ブタの丸焼き」
何で、フタの代わりで使ったものがメインの食材になるんだ。
そもそも、なべで丸焼きはできるのか?
「おいしいね」
よかった、おしかったのか。
って、よくねぇよ。
なんで、途中料理が変わった。
「今度はブタの角煮でも、、、ムニュ」
今度は、もうブタのネタはいい。
「マトン、今日は調子よさそうだね」
「あぁ、ブタの角煮がおいしかったからな、
ただ、夢の中でだがな」
「えっ、マトン、ブタの角煮食べたの? いいなぁ~」
「今度、作ってやるよ。一緒に食べようぜ」
今日も1日頑張るぞ!




