勇者の寝言 第1夜 「初体験」
筆者のブログでも掲載中となります。
俺の名前は、マトン・スクィーバー。
自由騎士だ。
騎士養成学校を卒業したものの、仕事がなく、勇者と悪霊・怪物退治をする日々を過ごしている。
勇者は過去を教えてくれないのだが、腕っ節は強く、俺がいなくても1人で悪霊を退治してしまう。
こんな勇者と一緒にいると、俺の経験値は上がっていく一方なのだが、1つだけ悩みがあった。
「うーん、マトン、そんな所さわらないでよ」
俺の悩み、それは、勇者の寝言が大きい声なので、気になって寝不足になっていたことだ。
「僕には、まだ早いよ」
お前の年齢で初体験だったら、ちょっと遅すぎるぞ。
「うにゃ、恥ずかしがらないで」
おい、立場が逆転してないか?
俺が、お前を襲っているのか?
「恥ずかしいよ」
いったい何だ。
一人二役か?
「マトン、柔らかいね」
お前は、俺のどこをさわっているんだ。
それも、そう表現すると羊の肉がやわらかいともとれるぞ。
「明日もよろしくね、、、ムニュ」
明日は勘弁してくれ。
俺を寝かせろ!
部屋が静かになる。
安堵感からか急に眠気が襲う。
おやすみ。
朝の光がまぶしすぎる。
目を開けるのに一苦労だ。
「マトン、どうしたのその顔?」
「あぁ、ちょっと寝不足でな」
「あんまり根つめて頑張んないでよ。
マトンあっての僕らのパーティなんだからね」
その俺を追い詰めているのはどこの誰だい?
早く、経験値を稼いで、こいつと別部屋に泊まりたい。