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PTメンバー(義兄)

あのあと、サーラがお昼を取ってから戻ると、勝手に最下級スタミナポットを使いながら採掘してたらしく、アイテムボックスの中には結構な量の鉱石が入っていた。

それを使って鍛冶スキルを上げたのもいい思い出だ。


そう、初めて入ってから3ヶ月ほど経っている。こちらの世界では丁度半年経ったところだろう。

レベルも400オーバー片手剣スキルはカンストした。カンストした後の派生スキルである両手剣・双剣もほぼカンスト。弓も槍もほぼカンストし、今は、槍の派生で出た鎌をやっている。まるで死神だ。


最初は始まりの町にいたが、レベル的に上げるのがマゾい感じになってきたので、町を出、近くの王都を通り抜け、辺境に近いところにいる。

製作系もほぼカンストしてるおかげで、装備も武器も今作れる最高のものを持っている。


最近PTを組むようになった。PTというより、ペアだが、ヒューマンで年齢は30歳で、レベル389の男だ。

少しムサイ感じはあるが、きちんとすれば、いい男の部類に入るんだろう。


しかしなんだかペアと言うより、妹的な扱いをされている。


「サーラ、今日はストーンゴーレム行くぞ」


「えー、今日も?たまには違うの行こうよラルフ兄ぃ~」


「つか、ドロップしねぇんだよしょうがないだろ?」


そう、実はこの男好いた女がいて、その女にプロポーズする為の指輪を作ろうとしている。で、ストーンゴーレムのレアドロップのスターサファイアを狙っているのだが、なかなか出ないのだ。

この世界も好きな人に指輪を贈る習慣があるため、冒険者の場合はこうやってレアアイテムで指輪を作ることが多い。


「しょうがないなぁ…付き合うけど、ドロップしたら、ブラッドホーン狩りに付き合ってよね。」


ラルフの大きな手で頭を撫でられるのは嫌いじゃないが、こういうところが妹扱いなんだろうなとサーラは思う。


町を出たところでサーラは、最近ティムした騎獣扱いのウイングラビット(名前そのままの羽の生えた兎)を呼び出し、その背に乗る。

その横では、ワイルドベアに乗るラルフが見える。


「毎回思うけど、ムサイラルフ兄ぃに似合った騎獣よね。」


二人は並んでストーンゴーレムの生息地に向かう。


二人は出会ってから約3ヶ月、こちらの時間で過ぎている。

同じ黒髪、微妙に違うが似たような紫の目をしているためか、初めて会った時からなんとなく気が合い、同じPTを組むようになった。

ラルフは口は悪いが、細かいとこに良く気が付き、他のPTと組んでも気を配り、仲違いすることもなかった。

基本優しいのだ。だから女からすれば、自分を守ってくれる強く優しい戦士に見えるのではないだろうか?

本当によくモテる。

しかし、サーラとは兄妹のような関係で、きっと宿の部屋が空いてなくて、同じベッドに寝ることになっても男女の関係にはならないだろう。

逆に、その二人の関係が普通ではないと訝しく思う人もいなくはないのだが…


二人は今日もストーンゴーレムを狩る。

生息地に着いてから20は狩っているのだが、未だドロップは無いようだ。

因みにサーラはスターサファイアだけではなく、スタールビーなどもどんどんドロップしている。

多少後ろめたくは思っているが、最初に譲ろうとした時にラルフは『自分で狩ったものでなくては意味がない』と言い切ったので、黙っていることにしている。


「チックショー…なんで出ねぇんだ。いらんアイテムだらけになっちまったぞ」


悔しそうに言うラルフは、2Mはあるトゥーハンドソードを地面に刺し、深いため息を吐く。

焦りとかもあるのだろう。相手の女性にはまだ思いを告げてないのだ。つまりは一方的に思っているため、他の誰かに取られてしまったらと言う思いが焦りにつながっているのだろう。

因みに下位種であっても、レベル350超えたらアイテムボックスが使えるようになる為、魔獣を倒したら、重要なアイテムなんかは自動でアイテムボックスに入るようになる。ただ、上位種のアイテムボックスとは違い、許容量が決まっている。簡単に言えば同じアイテムが99個で一マス埋まるのだが、そのマスが30個しかないのだ。


「ま、焦んないでコレ貸してあげるから」


サーラはラルフに向かってペンダントを投げる。昨夜試しに創った100個の内の成功例の一つで、

ドロップ運を80%上げる神補正が付いているラッキーペンダントだ。

ペンダントを受け取ったラルフはペンダントとサーラを交互に見て、やがてギュッとペンダントを握り締めた。

ラルフは昨夜サーラが宿の部屋で、朝方まで何かをしていたのを知っていた。

これを作っていたのだとわかったのだ。


「おぅ。すまんな。お守り替りに付けとくか」


ことさら明るくしながら自分の首にかける。


「私の愛が詰まっているんだから、次はきっと上質なスターサファイアがでるわよ。」


サーラはにこりと微笑むと、つぎのターゲットに向かって行く。

ラルフもその後を付いて行きストーンゴーレムに突っ込んでいく。


更に10匹倒した辺りでラルフが叫ぶ


「出たーーーーー!!」

やっと出たらしく、喜びの雄叫びだ。


「おめでとう!」


これでやっとプロポーズできるだろう。

喜んでいるラルフを見て、サーラも同じように喜んでいた。


「サーラ。これを指輪にしてくれ」


ラルフはもとからサーラに頼む気でいた。アクセサリー職人としても腕は超一流だったからでもあるし、女性として女性が好む指輪を作れるのでは?と考えていたからでもある。

だが、一番はやはり、信用している人間に作ってもらいたかったということが一番大きいだろう。


サーラは快く材料を受け取り、


「任して!最高なの作ってあげるから」


言うやいなや、アクセサリー製作道具を取り出し、スキルを使い、魔力を織り交ぜて、石を凝縮して細めのリングに取り付ける。

上品かつ、可愛いリングに仕上げる。

もちろん効果も付随させてある。

物理防御と魔法防御30%アップ更におまけで、美容効果10%アップが付いている。

指に嵌めたらサイズは勝手に合うように自動調整がついているため、相手のサイズが分からなくても、ぴったりと合うようになっている。


「つか、この場で作るとは思わなかったぞ…相変わらず上位種ってのは常識から外れる存在だよなぁ」


「だって、私達は道具があってスキルレベルが高ければ、どこででも製作出来るようになってるからね。それに、ラルフ待ちきれないでしょ?念願のドロップなんだし。今日はもう帰ろうよ。んで、ちゃんと身だしなみ整えて告るんだよ?」


サーラの言葉にラルフは、アイアンクローか?って位の鷲掴み状態で頭を撫でる。


「よしっ、帰ろう!」


騎獣を呼び出し、飛び乗るラルフは、嬉しいのと照れくさいのとが混じり合って、何とも暴力的な愛情表現になっていたが、ここのところの塞ぎ込んだラルフとは違い、いつもの明るいラルフに戻ってくれていた。サーラはそれが嬉しく、同じく騎獣に飛び乗り楽しそうに街へ帰る。

相手の子が受け入れて切れることを願って…


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