小満
高校2年生の井野嶽桜は、天文部にいた。
日食があった今日、その後片付けを、同じ部活の澤井陽菜と島永宗谷としていた。
「そういえば、今日って小満だったね」
「そうそう。今日から双子座になるんだ」
島永が桜に言った。
「小満って、どんな日なの?」
島永の恋人の澤井が、島永に聞いた。
「『万物盈満すれば草木枝葉繁る』頃だっていう時期の日なんだ。この頃から、様々な植物が成長をし始めるって言うことだね」
「そんな日なんだ」
澤井がつぶやく。
「だいたい、冬至から12分の5年後になる日を指してもいるんだ」
「へぇー」
3人は、そんな話をしながら、片付けをするために、機材を持って、天文部の部室へと戻った。