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春の始まり

暇だったので書きました。

4か月前から話を考えていました。

最終的には、最初に考えていた話とは結構かけ離れていきました。主人公の名前だけは変わりませんでしたが……。

では、どうぞお楽しみください。

 世界には現在、化け物が存在している

 日本にも、幽霊や妖怪の類、さらには西洋の化け物までもが住んでいる。普段は人間に化けているので人間と区別がつかない。そして何故か、人間との間に信頼関係を築いている。

 数十年前までは共に恐れあっていたのにも関わらずだ。

 だが、それでも平穏を壊している者がいる。

 化け物や人間に関わらず悪行を行う者がいる。ここらに関しては、まったく変わっていないだろう。殺人のニュースも絶えず、強姦などのニュースも絶えない。生き物は何を学んできたのだろうか。

 山梨県。ここ最近、荒れてきた(とは云え、他の都道府県と比べると少しはマシなほうなのだが)日本の都道府県の一つだ。

 そんな山梨県で、大規模な火事が発生したと云う。

 警察では、放火魔の仕業に違いないと断定しているらしいが、一部、化け物の仕業では? と囁かれている。だが、確定的な証拠が存在しない。放火魔ごときでそのような火事を起こせるとは思えない。では、化け物の仕業か? 力を持っている者なら可能なのだ。で、あるのならば、化け物の可能性が高いだろう。なら、何故、警察は放火魔だと断定しているのだろうか。

 理由は、化け物を敵に回したくないからだ。

 現在、日本で確認されている大きな化け物は二十体以上だ。その中の一体が山梨に来ているのか。もし、その化け物が来ていたとして警察は対処できるのだろうか。答えは否だ。警察には太刀打ちする術がない。自衛隊などが持参している重火器なら、少しだけなら足掻けるだろう。しかし、それでも勝てはしないのだ。自衛隊ですら勝てない相手を敵に回すほど警察も馬鹿ではない。だから、適当に人間を選び、犯人に仕立てあげようとしているのかもしれない。だが、警察は偽装工作などをするのだろうか。

 警察は、再び火事が起きないように祈っていた。

 

「はぁっ……はぁっ!」

 一人の青年が深夜の中、闇雲に外を走っている。周りには誰もおらず、ただ、静寂としている夜の中に青年の足音が響いている。

「逃げるのはもう止めたらどうだい? 捕まったら一気に楽になるぜ」

「ふ、ふざけるな! 僕はまだ、死ぬわけにはいかないんだ!」

 誰もいなかったはずの空間に突如人影が現れる。その人影は、走っている少年の元へ、歩いて(・・・)いく。その影は、まるで、ぶれている(・・・・・)かのように見える。

「な、何なんだよお前は! どうして俺を追うんだ! さっき云った通り俺は人なんて殺してないぞ!」

「ダウト。アンタは嘘を吐いてるよ。や、何せ証拠を貰っているからね。俺も、証拠を貰ってなければアンタを殺そうとしないよ。あとアンタ、強姦もしてんだろ? やー、日本もなかなかどうして荒れてきたよな」

 人影が喋っている間に、青年は行き止まりの道へ入っていた。

「おぉ。なんというお約束展開。いや、楽できるからいいんだけどさ」

「はぁ……はぁ……」

 青年はもう疲れているからなのか、肩で大きく、荒く息をしていた。

「三人も強姦したらしいねぇ……。わお、屑、ここに極まらん。いやー、アンタなかなかの屑だぜ? 早く俺に殺されたほうがいいよ」

「ち、違う! あれはたまたま……」

「何? 認めてんのかい? お前、性欲が溜まったからって……人として欠けてんだろ」

「は、話を聞け!」

「話を聞けってさ、じゃあ何だい? 手前は、止めてください! とか云われて止めたか? 止めてねぇから最後までやったんだろう? はぁ、男も最近、廃れてきてるよなぁ……俺も云えた義理じゃないけどさ。あー二次元最高ー。大和撫子多いから最高ー」

 さっきまでの人影がようやく視認できるようになる。どうやらその人物は男のようだ。赤いスニーカーを履いており。そして、黒い、ルーズなジーンズを穿いている。黒いパーカーに桜の花びらの柄がついている。

 彼はフードを被っている。さらに、明かりが灯っていない場所にいるため、顔がよく見えない。

「もろともに我をも具して散りね花うき世をいとふ心ある身ぞ」

 パーカーを着た男がおもむろに口を開く。

「西行法師のうただ。散るのなら、いっそ一緒に私も連れて散ってしまえ、花よ。汚れたこの世を厭う心をもつ身であるぞ。っていう、うたでな。俺はこのうたに共感するんだよ。だってさ、今のこの世の中は腐ってるだろ? まぁ手前みたいのがたくさんいるからな。当然なんだけどさ」

 一息おき、そして男を睨みつける。

「嫌なんだよな。や、何が嫌ってお前みたいのが大和撫子の女の子を襲うのが嫌なんだよ。日本の価値ある文化だぜ? ……まぁ、冗談はさておき」

 言葉を云い終え、彼は姿を消す。そして、青年の後ろに現れる。青年の顔は、驚愕により歪んだ。どうやって彼は姿を消したのか? 彼は何処へ云ったのか? 考えを頭の中で張り巡らせる。

 その様子を惨めに思ったのか、彼はくすり、と笑う。そして男は静かに唇を動かし言葉を発する。

「バイバイ。犯罪者」

 言葉を発した途端、ごろり、と青年の頭が胴体から離れ落ちる。

「さ、証拠を消して、さっさと福田さんからお金貰うかな。そしてギャルゲーの続きをしよう。うん」

 こうして、春の夜が更けていく。





 春。それは、生命の息吹を感じさせる季節。花が咲き、動物たちは冬眠から目をさまし、活発に活動をし始める。

 そして、ある男も目を覚ます。

「ふぁー、……眠い……」

 目は完全に開いておらず、まだ、眠たそうな雰囲気を纏っている。

「えっと、今日は何だっけか?」

 今日は月曜日なので平日。

「平日ってことは……学校……、あぁ、そうだ」

 男は何かを思い出したかのように目を見開く。

「転入だっけか。ははぁ、憂鬱だな」

 そして男は、布団から出て、洗面台へ向かう。歯を磨き、顔を洗ったら、自室へ戻る。彼は、タンスの引き出しからボサボサなカツラを出し、それを被る。

「伊達メガネは……おぉ、ここだここだ」

 見つけた伊達メガネをかける。そして、ハンガーに掛けてある制服を手に取る。

「うんと、私立……麗歌学園ね。巷じゃ麗学って略されてるんだっけか」

 着替え終え、一息つくと、男は呆れたかのような口調で話し出す。

「普通に、麗歌でいいんじゃないの? まぁ、それは置いといて、西郷のおっさんに囲碁で負けさえしなけりゃこんな恰好させられずに済んだのにな……なんだよ、オタクみたいな恰好って。いや、オタクだけどさ。流石に酷いよ」

 男はカバンを持ち、玄関のほうへ向かう。

「まぁ、いいや。うん。めげずに頑張ろうかね」

 そして男、神先春人《かんざきはるひと》は、憂鬱そうな顔で扉を開け、玄関を出た。



 

 

 


 

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あと、感想待ってます。待ってます。待ってます。

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