俺が飛ばされるまで
俺の名前は、加賀美 結城(21)ごく普通の一般人だった。
だったと言うのも、まさかの異世界へ飛ばされてしまったからなのだが。
ちなみに、俺の容姿は中の中ぐらい(少したれ目が気になる、身長は175センチとやたらと平均的だ。
趣味は機械いじり(車やパソコン)と小説を読む事(かなりの雑食で最近のブームは異世界トリップ物。やっぱ冒険は男のロマンだよね
その日、いつものどうりに仕事を終えた俺は、仕事場のすぐ近くのスーパーへ買い物に来ていた。
明日が非番日の為いつもより多めの食料と酒(そんなに飲めない為少量だが・・)を買い込み、車に乗り込む。
この車は高校卒業と同時に就職した俺に、祖母ちゃんが買ってくれたシルバーの軽自動車で、
中古で車検付き20万と言う激安車(まさかの高年式)という年数が経っていないにも係わらずそこら中、故障だらけの愛車だ。
ヒーター点ければ10回に1回はエンストするし、坂道では凄まじく回転を上げないと(5000prm位)登らない。
でも、せっかく年金暮らしの祖母ちゃんに買ってもらったのだからと騙し騙し乗っていたんだ。
そんなオンボロ車で家へと向かう途中、交差点の先頭で赤信号になり止まって待つ。信号が青になったため走り出そうとアクセルを踏み込んだ瞬間にエンスト。
一瞬焦るがいつもの事なので、瞬時にクラッチを踏み込みアクセルを煽りつつ、セルを回す。
キュルキュルとセルが廻りブォンっとエンジンが掛かりクラッチを放すとやっと走り出した。
後ろを待たせては居なかったかとバックミラーを確認してみたが、さすが田舎(ドが付くほど)1台も並んでなんか居なかった。すぐに前方へと視線を戻そうとした時、そこで異変に気づいた。
信号無視で横から迫るトラックを。
とっさにハンドルを左に切るが間に合いそうに無い事は誰の目にも明らかだったろう。
大きな質量同士がぶつかる大音響が鼓膜に響き、右からの衝撃にエアバックが開く。胸と顔を強打し振り返しでバックレストに後頭部を打つ、意識の糸はそこで途切れた。
その現場を見た主婦は、軽自動車の運転手は死んだと直感で判ったらしい。軽自動車はトラックにぶつけられ電柱との間にはさまれて運転席どころかほぼすべてに渡って潰れ原型を留めなかった。その軽自動車は幅が1m50cmほどあったのが、90cmほどになったのだからよほどこの衝突のエネルギーが凄まじいことを物語っていた。
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何もない空間、いや・・光しかない空間と言ったほうが近いだろう。光と言っても強い光ではなく、淡く儚い灯り。何処からとも無く照らされた光は光源が確認できない不思議な光だった。
「面倒なことになったのう・・・」
白い布をまっとった老人が呟く
「ごめんなさい。お父様」
闇を纏った少女は顔を俯けて泣きそうな声で謝罪の言葉を紡ぐ
「なってしまったものはしょうがないじゃろう。それより、これからの事じゃ」
まさしくその通りだった。老人と少女の前には一人の少年が淡い光に包まれて1メートル程の空中に横たわっていた。事故に合った筈の彼は何の欠損も無くきれいなままだった。
「下界に戻すことは出来ないのですか?」
少女が尋ねる。そんなことは出来ないのは重々承知していたが、それでも一縷の望みを掛けて。
「判っておろう、此処に連れて来た時点で魂の変容が始まっておる。このまま進まば人ではない何かになってしまうじゃろう。このまま返せば、今の文明が崩壊しかねん」
老人は厳しい顔でそう言いきった。少女は其れでも、と食い下がる。
「マーヤ文明はそれで崩壊したのじゃ、忘れたか」
「・・・・・・」
沈黙がその場を支配し重い雰囲気が沈殿する。
暫らくして不意に老人が口を開いた。
「方法はある。転生させるか、あるいは・・・・・・」
だが、転生させるにもこのままでは無理なことはわかっている。転生させるとしたら、我々の介在の名残を消す為に悠久の時が必要だろう。
それでは、この青年があまりにも可哀想であるし、事の発端はこちらにあるのだ。だからこそ、対応に困るのじゃが
「他に何か方法が?」
「ヤーベェの世界へ飛んで貰う。奴のところならば、今までに頼まれて何人も送っておるからの。こんなケースは始めてじゃが」
それならば何とかなるじゃろうと、少女の方へ微笑みを見せる。
少女が安堵するように胸を撫で下ろしたのを見届けると、老人は少し上を向いてそこに居ない誰かへと語りかけはじめた。
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いくつ時が経ったのだろうか、老人はここに居ぬ誰かにすまぬと話し会話を閉じた。
彼は、少女の方へ向き直ると話はついたと満足げに微笑んだ。
さてと、さっそく行って貰おうと老人は右手を挙げると、10メートルは在ろうかという巨大な白く聳える門を目の前に出現させる。その、荘厳な門は細やかな装飾が施されており、見る者を圧倒する雰囲気を醸し出す。
ギギギッと門が開き始め、扉が完全に開くとその先は眩い光で満ち溢れていた。そこへ青年は吸い込まれる様に消えていった。そして青年が消えると、門は閉まり跡形も無く消えさった。その場がまた、静寂に包まれる。
「結城よ、そなたの新しき人生に幸多からん事を・・・・・・」
その場に残った老人が何かの所作か左手を胸に手を当てて、右手の指先でなにかを描き呟く。
「結城さんごめんなさい・・・・・」
闇を纏った少女は、すまなそうに呟いた。
2話目も焼き直したものです。そんなに変わってないのです。しかも短くなってしまった、だか、後悔はしてない(キリ
ここから先は書下ろしです。明日には投稿できるかも?
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