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暇つぶしは危険な夜の始まり

と言うわけでカウンタまで来たわけだが、またしても誰も居なかった。本当にがらんとしていて本当に冒険者が来ないことを感じさせる光景だ。まぁ、居ようが居まいが俺には関係無いかと気を取り直し依頼書の張られた掲示板を良く眺める。


やはり先程見た通り採取系の依頼ばかりだ。どちらかといえば討伐系の方が楽なのだが、今の時間を考えるとサクッとできる近場の仕事が良いだろう。なんたって暇つぶしだしな。これが討伐系になるとある程度範囲が決まっているとはいえ相手が生ものだけに移動するからなぁ。


無駄に遭遇するまでうろうろしなきゃならないし、今4時を廻った所で日没まで最短で2時間しかないわけだ。今の時期なら7時過ぎまで明るいが帰って来る事も考慮しなきゃならんし、なんだかここまで考えると面倒になってくるから不思議だ。でも、暇だしこんな何も無い村じゃ遊ぶことも出来ない。なんだか変な所で八方塞がりだね。


ぐだぐだ考えていても大して時間が経つ訳でもなしさっさと決めて出た方が賢明な様だ。何の気なしに目に留まった依頼書を手に取るそこには、


依頼書


治療に使う薬草を取ってきて欲しい。


エリアデ草5枚2束、ホウソイの種子5個


報酬 銀貨2枚半銀貨1枚


依頼者 アウリアス


と書かれていた。


確かエデリア草は魔法薬でも使われる薬草の1種で、この辺りでは一般的に使われる薬草だ。森の方ではごく普通に生えているから簡単に手に入りそうだ。ホウソイの方は咲いている花のすぐ下の茎に丸っこい種子の塊を作る。その種子を煎じて粉にすると鎮痛効果のある薬になるんだったか、痛み止めとしてこちらも一般的のようだ。今だその類の物にお世話になった事は無いが。


取り敢えずこれで良いだろう。確かこの村の東に森があったはずだし散歩がてら行って見ようか。そうと決まればおばさんを呼んで手続きして貰わなければと呼んでみる。またも大声で呼ぶとおばさんはすぐ出てきたので、手に持つ依頼書を見せ手続きをお願いする。


「おや?どうしたんだい?それは・・もしかして依頼を受けてくれるのかい。そいつは良かった。この村に居る冒険者だけじゃさっぱり捗らないからね、助かるよ」


「あれ?冒険者居るんですか?」


「あぁ、ここの村に冒険者は来ないけど、冒険者が住んでいるのさ。まぁ、駆け出しだけどね」


「なるほど。では、これをお願いします」


おばさんに依頼書を手渡して確認してもらう。おばさんはひとつ頷くとカードをというので渡すと端末に差込んで返してくれた。


「もしかして、これから行くのかい?あまり遅くならないようにね」


おれは頷くと部屋に戻って準備をする。散歩がてらだしバックは要らないよな。取り敢えず大剣とナイフ、あと採取した物を入れる小袋位だな。5分ほどで準備を終え、部屋を出て鍵を掛けてギルドを出る、もちろん鍵は預けたが。


硬く踏み固められた地面から視線を上げ空を仰ぎ見る。まだ青々しい空が広がっているがあと2時間程で大地を赤く染めるだろう。それを過ぎれば真の闇が待っている。この世界には電気は無い、辺りを照らす電燈も無ければ、猥雑なネオンの光も無い。在るとすればランプや篝火位だ、都市に行けば他にも有るのかも知れないが。


思考をしている間に村の外れまで来てしまった。そのまま、東の森に向かって細い道を歩き出す。緩やかなRを描くその道は小麦の麦穂がたなびく右側と青々とした草原が広がる左側に別れ、時折吹く風に戯れるような音がサラサラと耳朶を打った。


ゆっくりと歩いて半時程だろうか目の前には鬱蒼とは言わないまでもそこそこの規模の森に着いていた。村から続いた小道はそのまま森の中に消えて見えなくなっていて、このまま森を抜けられるのかは判らないがある程度は人が入った形跡が見て取れた。それにしてもこの世界の木々は大きい物が多い。本来なら樹齢1000年程に見える大木はこの大きさになるまで20年から30年程でこの大きさになるのだから驚きだ。


この前木を切り出す手伝いの依頼を受けた時に(きこり)から聞いた時は本当に驚いたものだ。一向に信じない俺を樵は笑ってよく見ておけと木を切り倒し切り株を見せてくれた。直径が俺の身長以上もある切り株の年輪は24本つまり24年でここまで大きくなったと言う事になる。その様子に目を丸くしている俺に樵は木々は魔素を身体の中に取り入れてより大きくなるんだと教えてくれた。だから、魔素の少ない場所では木々は弱り衰えやがて枯れると。


それを聞いた時ある意味、魔素と生き物との共生によって成り立っているんだなと思ったりしたが今はその事はどうでもいいな。ゆっくりと森の中に続く小道を歩きながら足元を目を皿の様にして目的である薬草を探す。あの薬草達は基本的に木陰で育つことが多いから木の周辺を念入りに探していたんだがどうにも見つからない。ホウソイの茎だけ残った物は見つかっていたが森の入口辺りは取りつくしたのだろうか、もう少し奥に行かなくてはならなそうだ。


奥に続く小道を薬草を探しながら歩く。少しづつだがちらほらと薬草があるようになってきた。それを摘みながら進むと森の中央付近まで来てしまった様で、空は葉に隠されて薄暗くなっている。漸く薬草を取り終えて子袋に潰れないようにそっと入れた。そこで、なにやら騒がしい音が聞こえてくる。そちらの方に顔を向けると僅かに音が意味ある声として聞こえてきた。


これは、おばさんが言っていた駆け出しの冒険者かなと思いちょっと様子でも見に行こうかと音のする方へ、忍び足で近づく。なぜ忍び足で近づくかというと駆け出し冒険者はある意味警戒心が強い、特に戦闘中なら尚更だ。ベテランならよっぽど余裕が無い限りある程度の範囲に近づくと気配に気づき確認するが、初心者はいきなり攻撃したりする者も居たりするらしい。


いきなり攻撃は勘弁して欲しいからな。特に俺は気配を消したり出来ないし、しかもこの森は強い魔物も出ないから初心者ですら楽勝と言われている所だ。そんな所では冒険者のレベルもたかが知れていると言う物だが、ある意味俺も冒険者の期間だけ見れば駆け出しだしな、そんな訳で様子を見たいのであった。って、俺は誰に説明してるんだろう?。


気を取り直し、そのまま音のする方にゆっくりと歩くと次第に音は怒轟に変わっている事に気づいた。魔物の唸り声が複数聞こえてくる。おかしい、こんなに響くような唸り声を挙げる魔物はこの辺に居ただろうか、確か、この辺りに出る魔物は鹿や猪、そして兎や鼠などに似た魔物だけだったはず。まぁ、似ているだけでかなり大きいかったりするのだが。基本的には習性や生態は変わらないといっていいのだ。


やっと、見える位置に付くと其処には大型の牛に似た魔物に取り囲まれた、少年と少女の冒険者が居た。


少し短いですね。精進します。次回は戦闘かと思われます。多分・・・

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