おわり
「どうしたんだい、鈴ちゃん?」
「…、分からないけど何か駄目な気が…」
うつ向き加減に鈴が言う。
「…、そう」
そう言う新城に目を遣る鈴。
Σ(´□`;)
「お、おじちゃん…」
鈴の目に入ったのは、悲しげだが何処か怖い表情の新城だった。
「……」
小声で何か言う新城。
「な、何、おじちゃん?」
「……」
恐る恐る近づく鈴。
「…、食い辛い…」
ブツブツ言う新城。
「えっ?」
更に近づく鈴。
「ソバ食い辛いんだよ、何だよこの入れ物…」
「…?」
「何で、こんな入れ物で食わせるんだ、ここのソバ…」
「……?」
突如、クワッと目を見開く新城。
「ソバ食い辛いだろー!!」
ビクッとして、鈴も叫ぶ。「おじちゃんが変、元々変だけど!」
ガチャ!
隣の部屋から北川が飛び込む。
「いけない、落ちちゃう!明、これを!」
すかさず何かの紙を渡す北川。
「食い辛い………、う、う、うーん、ふー」
落ち着きを取り戻す新城。
呆気に取られながら、鈴が言う。
「一体何が…」
「ふー、北川さん僕はまさか…」
「危なかったー、明。まじ面に落ちるところだったわ。」
「…、まじ面?」
鈴が聞く。
「ええ、そう。調教が思うようにいかなかったのね。だからまじ面に」
「まじ面って…」
「ある種の発作、かな?過去の苦い思い出で一杯になって、最後には」
「最後には?」
「常識の範囲でしか、思考しなくなるの」
「…?それって何が問題なの?」
「普通じゃ、何も変わらないことが多いのよ。鈴ちゃんにはまだ分からないかも知れないけど」
北川が続ける。
「平然と嘘付く奴や過ちを認めない奴エトセトラエトセトラ。そんなのがまかり通る方が良いかな、鈴ちゃん」
「ううん」
首を振りながら言う鈴。
微笑みながら、北川が言う。
「ね!だから新城明は変じゃなきゃ困るの!」
「北川さん、中々良い台詞でまとめあげましたが、新城明の心髄はそんな簡単では有りませんよ。」
「何よ、ソバつゆの入った徳利に入れてソバ食べようとしたくせに!」
「ぶはぁ!…見事な一撃です、北川さん!」
「あ、明」
「この明、天に帰るのに人の手は借りぬ!」
「何故、ほくと?」
つっこむ鈴。
「クリちゃん、クリちゃん♪」
茜は相変わらすのようだ。
「さあ明、この弁護どうする!?」
「決まってるでしょう。恥部を晒させるのは法廷で!」
読んで頂き、有難うございました。
また何か書いてみたいです。