表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

どこかで、なにかがないている

作者: マーク
掲載日:2026/01/30

鯨の鳴き声のような、そんな音が聞こえた気がした。




『楽しいことよりもさ、悲しいことや嫌なことみたいな、マイナスなことの方ばっかり考えちゃうよね』


『…ちゃんと考えてみれば、どちらかといえば楽しいことの方が多かった気がする』


『ね』


『なんでそうなっちゃうんだろ』


『…うーん。分かんない』


『あー。あれかも、この先に期待しないためなのかも』


『ん?どゆこと?』


『そのさ、プラスの記憶も、マイナスの記憶も、どっちも同じように残るならさ、今よりもしんどくなっちゃうじゃん』


『あー…ね』


『最初から期待しなければさ、傷が浅く済むし、それが外れたら嬉しいし』


『…自分勝手だね、私たち』


『ね。勝手に、自分に不幸なことばかり起きたと思ってる。楽しいことも嬉しいことも、たくさんあったはずなのに。…自分を守るために、それを思い出さないようにしてる』


『あのさ、突然、昔の恥ずかしい思い出が出てくることあるじゃん』


『うっ、シヌ』


『あれさ、思い出し笑いよりもよくあるよね』


『今恥ずかしくて死にそう』


『私も、自分で言っててバカなこと言っちゃったと思った』


『…こういうの、誰にでもあるよね』


『そうだね』


『…あ。楽しいこと思い出すとさ、今と比較しちゃって、寂しくなったり、辛くなることがあるかも』


『…あー』


『ほら、恥ずかしい記憶とかはさ、もうあんなことにはならないようにしようって思うじゃん』


『うん』


『楽しいことっていうのは、思い出しても、あんまりいいことないのかも』


『かもね』













『…あのさ。聞こえた?さっきの声』


『聞こえた』


『どうして鳴いてるんだろ』


『分かんない。私たちが考えることじゃないよ』


『そうかも』


『楽しかった記憶はさ』


『うん』


『なんのために思い出すんだろ』


『さぁ?』


『……まぁ、今が不幸だからとかなのかな』


『理由なんてないのかも』


『こうやって考えても、私自身の体、脳のことなんてなにも知らないしね』




鯨のような声が、消えた。


消えたように感じた。


過去にやった失敗を思い出して、うっ、てなることあるよね。

まじで死にてぇ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ