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8 信ずる物に光あれ

 糸幹人は糸で家や迷宮を作れると言っていたが、それは本当なのだろうか。

 そして、その家や迷宮にはどれだけの防御面が備わっているのだろうか。

 少し、気になってきた。


 本質を探ると言ったのは僕の方だ、水仙を連れて早速行こう。


 「リロルちゃん、今から君の家に行かせてもらっても良いかな?」


 「良いよ〜好きに入ってね〜」


 軽いなぁおい⋯

 まぁこの子、多分僕の洗脳オーラみたいなのに洗脳されてるから、一定時間恐怖とか感じないんだろうね。(好きなのは本心みたいです)


 鍵⋯?鍵かぁ、また全力で出すしかなさそうだね。


 「私に任せて!フッ!」


 か、鍵が生成された!


 「だ、大丈夫か水仙!魔力切れか、今から回復薬用意するからちょっと待っててな!」


 「あ、ありがとう。」


 無理はさせちゃいけないなこりゃ。

 少し魔力を使っただけで体力が削られるなんて、神々はほんと意地悪なことをするもんだねぇ⋯

 こいつは一つ、ぎゃふんと言わせてやらにゃ、僕の気が収まらない!


 「取り敢えず、扉は開いたみたいだから、担いで行くぞ!落とされるなよっ!」


 「わかってるわ!」


 中は、病院の待合室のような生暖かい光だな。

 それになんだか不気味だ、蜘蛛の糸があるし⋯

 蜘蛛にも侵食されかけてたのか?可哀想に⋯

 

 「⋯?あっ、気を付けて!矢が飛んでくるわ!」


 「や、矢!?セキュリティーがまじもんで物騒でもっと怖いんだけど!」


 ほっ、こんなもんか⋯

 数は、4本。

 あんな鋭利な矢にしては、放たれる屋の数が少ないぞ?

 どんなものでも割合とバランスってのは重要だな。


 暫く歩くと、家庭のスペースみたいなのがあった。


 「写真立て、家族旅行でも行ったのかな。そんな時にエルフの大族に襲われたのか⋯絶対に根城を掴んでとっ捕まえてやる、悪人エルフ!」


 これは、輸入食?

 そっか、まだ幼いから⋯

 でも、数百年経って僕達の料理を食べれるようになったのは、一つの成長と言える。

 ということは、リロルちゃんも糸幹人も長生きってわけか!

 でも、それは呪いみたいなものでもあるよな。

 くっ、調べても調べても悲しい過去しか出てこない⋯


 「これは、縫いぐるみだ!でも、触っちゃいけなさそうだから、触らないでおこう⋯」


 「触って良いよ〜」


 「ふぇ!?びっくりした~ってか触っていいの!?どんだけ寛容なんだ、君は⋯」


 「現界?でいう宇宙?ぐらいだよ〜」


 「広すぎじゃないそれ?ってか、宇宙って言葉の意味分かってないでしょ⋯」


 触ってみると、フカフカでふわふわ⋯

 触り心地抜群だ、これがあったから約百年も耐えられたのかな?


 「水仙も少し触ってみなよ!糸で作られてるから、触り心地も抱き心地もいいぞ〜!」


 「う、うん。わかった。というか、もう担いでもらわなくても大丈夫よ」


 「了解。よっと、おっけ!」


 「(な、なんか今の楽しかったわね⋯)」


 「あんまり触らないでね、触っていいってことを聞いてくれて私が許可したのは、颯太だけなんだからね。」


 「あんまりそういう事言うな、水仙は神だけど、感情はあるし外見も人間なんだからな!」


 「は〜い」


 全然わかってないなこの子⋯

 その小悪魔的感情が他の人に迷惑をかけまくるものだとしたら、いずれ治さなきゃだな。


 「懐かしい⋯触り心地も抱き心地も良い⋯羨ましい。」


 「ギルドに似たようなの売ってたから、今度買ってあげるよ!」


 「ほんと!?ありがとう⋯!」


 「私のも買って〜」


 「わかったよ〜たくさん買ってあげるからね♪」


 「ありがと〜!嬉しいなぁ〜」


 いやぁ、めちゃくちゃ可愛いなぁ⋯

 その可愛さに見とれて、つい色んな物買ってあげたくなっちゃうよ〜!


 「次行くわよ次⋯」


 「はいはい、嫉妬深くて可愛いなぁ水仙も♪」


 「ありがと!」


 可愛い二人に囲まれても、僕は満足しない。

 僕が満足するのは、二人と末永く冒険することと、

 友達を大事にするという、母親から託されたミッションを遂行した瞬間⋯

 その2つだけだ。

 それには男女は関係ないし、年齢もまぁ関係ない!

 気分次第で、見捨てることだってあるけども⋯

 それはまぁ、敵の話だから!


 次に向かったのは、どデカく固そうな鋼鉄の扉。

 魔法でなんとか、こじ開けられそうか?


 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(ry」


 ひ、開いた⋯

 なんとか水仙の力を借りずに、魔法の力で開けた⋯

 でも、こんなのが何個もあるって、どんだけ頑丈なんだこの家⋯


 あ、衣類だ。

 ってか、本当に夏服しかないんだな⋯

 中が暖かいとかなのかな⋯

 いや、なんとなくって言ってたわ。

 すっかり忘れてた。


 「またあるわよ、鋼鉄の扉。」


 「ま、まじか⋯頑張ろう。」


 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(ry」


 「む、無理しないでね!」


 「いやぁ、これぐらい平気平気⋯」


 こ、これは⋯護衛用の武器だよね⋯?

 物騒な意味合いで置かれてないよね⋯?

 親が物騒なこと企んでたとか、そういうのじゃないよね!?


 「そういうのだよ」


 かハッ!?心をまた読まれた⋯

 しかも絶望が崩れる瞬間は、あっという間だった⋯

 なんの葛藤もなしにサラッと言っちゃうもん、この子本当に怖い。


 「どんな事があったの⋯?」


 「エルフの襲来。」


 そっか、大族のエルフは脅威だから⋯

 というか、全般的にエルフは脅威なのか。


 「家が燃やされて、家族も死んじゃって。本来ならここは血まみれで死体だらけなんだけど、二人が家に来るから片付けないとと思って、透明化モードを付けた」


 僕が見ない間に一人でそんな辛いことを⋯

 というか、死体踏んでない!?僕、大丈夫!?


 「大丈夫、さっき消滅させたから。」


 「さらっと怖いこと言うのやめて〜!というか心めっちゃ読むね君!」


 「癖だから」


 「癖なんかい!」


 

 この先、何故か魔力が充満してるような気配が感じられるんだけど⋯

 なにか危ないものが潜んでたりとかするのかな。

 先に進むのはやめておこう。


 「⋯進んで良いよ。」


 え?


 「進んで良いよ、颯太も水仙も」


 「な、なんで!」


 「私も知りたいの、言ったことなかったから。触れたことがなかったから。」


 「そ、それでも⋯!」


 「気を付けて、ここ⋯かなり魔力数値が高くて、入るだけで死ぬ可能性がある。」


 「なんで水仙も行く気満々なんだよ!流石にここは引こう、彼女のためだ!」


 「行かないのが彼女のためだって言いたいの!?」


 「⋯!」


 「私はリロルのことを思って言ってるのよ、リロルもこの先を知りたいって言ってるし。颯太がいかないなら、私一人で行くわ。ここで進まなきゃ女が廃るもの!」


 「そ、そんな⋯」


 行かなければならないのか⋯?

 リロルちゃんの希望一つのために、リロルちゃんが犠牲になるというのに⋯

 大体どうして急に出会ってこんなことになるんだ、もっと平和に合わせてくれたって良いじゃないか!

 こんなに会話する回数が少ない別れ道なんて、僕は見たくない⋯

 見たくない、見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない⋯


 「ど、どうしたの⋯颯太!」


 見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない見たくない


 「まずいなこりゃ、颯太は今⋯リロルの為に命をかけて暴走してる⋯これが自身のスキルだとしたら、それを捨てないといつか颯太は⋯死ぬ」


 「⋯!?そ、そんなこと⋯許されていいの?私だって会話した回数は少ないわよ!まだまだ話し足りないぐらい、話したいわよ!!なのにここで颯太が死ぬのは、おかしいじゃない⋯!止める、絶対に止める⋯!!」


 「お嬢ちゃん!何突っ込もうとしてるんだ!触れるな!止めようとするな!!お前が死んじま⋯!!」


 「止めないで⋯!私だって女という一人の人間なんだもの⋯神の血を引いてたってなんだって、人間なのよ!!私は人間としてここで死ぬ、颯太を守るために⋯!それが出来たら本望よ。」


 「くっ、どうしたら良い⋯?」


 「おい兄弟!こんな時に自我の暴走か?らしくねぇぞ!!今、お前さんの女、水仙が命をかけようとしてんだ!まだ出会って数日しか経ってない水仙を、お前の彼女を⋯ここで死なせて良いのか!!」


 「おい、そんなこと言ったらもっと暴走すんだろ!今の言葉を撤廃しろ!!」


 「違うぜ兄弟、こうやってデケェ声で語りかけることで⋯障害を乗り越えられることだってあると思うんだよ、俺ァな⋯」


 「そんなことってあり得るのかよ、奇跡だぞ!そんなこと言って叶ったら!!」


 「その軌跡を俺達で起こすんだよ!!さっきまでの俺達は、嘆くことでしか自分をコントロールできなかった、でも⋯今の俺達はきっと、声一つで颯太を変えることができるはずなんだよ!」


 「だが、」


 「だがじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!こんな時にへこたれてどうする!?根性気合精神論脳筋⋯人間にはその一つ一つが心に備わってるはずだろ!?違ぇのかあぁん!?」


 「ち、違わねぇ⋯」


 「なら、さっきみてぇに兄弟のすべてを颯太にぶつけてみろ!!俺達兄弟に出来ることは、それしかねぇ!!!!やるしかねぇんだ!!!!!!」


 「お、おし⋯俺もやるぞぉぉぉおおお!!!!おい颯太!お前、そんな程度でへこたれてて大丈夫なのかぁ!?さっき俺達は、お前のせいでへこたれそうになった⋯でも、可愛い可愛い弟に背中押されてよぉ⋯元気が湧いてきたんだ!お前だってよぉ、女一つの言葉で救われることぐらいあんだろ⋯何度も何度もあんだろ?なら、俺達に背中押されて、ぐっと前を向け!!俺達は男だが、やるときゃやる男だ!!お前の飯食って疲れも吹き飛んださ、ありがとな!!だから今度は俺達が、お前を元気付ける番だぁぁぁ!!!!!!」


 み、皆⋯くっ、クソぉっ、何やってたんだ僕は⋯

 何を考えてたんだ僕は⋯

 目の前がすっかり見えていなかった⋯

 皆の声に耳を傾けていられなかった⋯

 僕は弱い、けど⋯皆がいるから弱くない!!


 「チッ、失敗か⋯必殺目眩ましをかけようと思っていたが、やはり無理か⋯私も年じゃのぉ⋯」


 こういう時こそ、涙を流す⋯

 僕はメンタルがまだまだ打たれ弱い、自分自身じゃ何も救えていない。

 けど、仲間を持つことに無駄はなくて、仲間に守ってもらうことも、弱いことじゃない⋯

 やっとそれに気付いたよ、僕は進む。

 その先の未来へ。

 何が怖かろうと、僕は進む。

 正しい道へ⋯!!


 その時、僕の頬からひらりひらりとひらめいた涙一粒が、地面に落ち⋯


 「お、あ⋯私は、ただ⋯見てるだけ⋯?颯太が死ぬのを、見てるだけ⋯?」


 「お、おい!リロルから光が⋯!直視できねぇ光が!」


 「間違いねぇ、あれが自分の心を呪い無しで解ける一つの颯太特有スキル、『オモイノチカラ』だ!」


 「他のやつにも付与されるのか?」


 「勿論!颯太の思いが強ければ強いほど、その力は偉大となる!まさに、掟破りの伝説を形造る地味だけど世界最高最強のスキルだ!」


 「今行くから、待っててね。颯太!!」


 つづく

中盤編第二話は、遂にリロルが覚醒する⋯!

そのスキルで老害野郎でさえもぶっ倒す!!

最高最強の展開が今ここに―!

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