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百年ぼっち魔女は、弟子に永遠を迫られている  作者: 勿夏七


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8/14

8青年と王女

 アヴィゲイルは、自分と護衛騎士たちが、一瞬にして見知らぬ店の前に立っていることに目を瞬かせた。

 複数人を同時にテレポートさせることは、並大抵のことではない。普通は、足元に魔法陣を書くものだとアヴィゲイルは聞かされていたからだ。

 それなのに、あの魔女は、いとも簡単にそれをやってのけた。


「あの魔女の魔力量は底なしですの……?」


 あの魔女が本気を出せばきっと自分など塵も同然だとアヴィゲイルは身震いをする。

 

 回りくどいことをせずとも、あの魔女なら何もかも自分の思い通りにできるだろう。

 面倒な行動を起こす女が一人いたとしても、忘却呪文や魅了など、いとも簡単に対処できてしまうはずだ。

 

 なのに、なぜわざわざ薬の調合をやらせたり、魅了は解呪すればいいなどと助言をしたのだろうか。

 本当にあの魔女の言う通り、お義母様の話が全部嘘だったら――自身の態度を改める必要があるだろうとアヴィゲイルは冷静に考えた。


「まず、カルロ様をここにお呼びしなければならないわね」

「魔女に呼ばれて来た」

「きゃあ!」


 手紙を出そうかと考えていたアヴィゲイルの目の前にはカルロ。

 突然現れたカルロに思わず悲鳴をあげたアヴィゲイルだったが、その様子を心配することもなく、カルロは店を確認してさっさと入っていく。

 慌ててカルロの隣へと寄って行き、一度喉を整えた後に淑女らしく落ち着いた声色で話しかける。


「カルロ様、お早い到着ですわね」

「魔女に疑惑をかけられているんだ。それを放置する方がおかしいだろう」

 

 そんなふうに思われるのが不快だと言うように、カルロは顔をしかめた。

 一度たりとも魔女が悪いと思っていない様子に、本当に魅了がかけられていないのだろうかとアヴィゲイルは疑問だった。

 だが、ここで呪いの有無がわかれば、魔女を敵視すべきかわかる。

 アヴィゲイルは自分ことのようにドキドキしながら、呪いの状況を確認されているカルロを見守っていた――


 

「呪われた形跡すらありませんね」

「当たり前だ。魔女はそんな面倒なことしないからな」

「あんなにも魔女への執着が強いのに……?」

「これが事実だ」


 恥ずかしがることもなくカルロはそう言った。


「ところで君は魅了について、どのくらい知っているんだ?」

「呪いをかけたい相手に聞こえるように呪文を唱えると聞いたことがありますわ」

「確かに間違いではないが……。相手に聞こえるよう呪文を唱え、愛を囁く必要がある。それも数回では済まない。時間をかけて何度も繰り返す必要がある」


 相手に気が無ければそれだけ時間がかかる。だが、0%の人間でさえも虜にできる呪いではある。

 ※この呪文は基本眠っている相手にかける呪いである。

 

「そんなに手間がかかりますの!?」


 何を聞かされても、これ以上驚くことはないだろうと思っていたアヴィゲイル。だが、魅了魔法の面倒さに思わず大きな声が出た。

 だが、カルロは気にする様子もなく頷いた。

 

「ああ。……それと、魅了の薬は希少な薬草を使うから魔女は使うのを渋る」


 だから魅了を使うことなどしない。そうカルロは断言。

 

 自分がもし魅了をかけたい相手がいても、挫折してしまいそうだ。

 魅了の薬に使う薬草は、五十年に一度咲くか咲かないか、程度に希少の花だと知ったアヴィゲイルは言葉を失った。

 簡単に作れるものだとずっと思っていたからだ。

 

 アヴィゲイルは魔女の性格を把握しているわけではないが、対応する際の気だるさを目の当たりにしている。

 面倒な相手にさえ呪いをかけず、あの対応だったこともあり、そこまでやる気を出すことなどないだろうと感じた。


 カルロは考え込んでいるアヴィゲイルへ気にせず話しかける。


「君、あの女に自白剤を飲ませるつもりなんだろう? 俺も一緒に行こう」

「え? いいのです?」

「いいも何も、俺もあいつが本性を現すところは見ておきたいからな」


 "俺も"の時にアヴィゲイルではなくアヴィゲイルの肩の方を見たカルロ。

 アヴィゲイルは気づいていないが、肩には小さな蜘蛛が張り付いている。アタナシアが付けた蜘蛛だと気づいているカルロは、アタナシアに聞かせるように言ったのだ。


「俺が手紙を出しておいた。明日の十三時。この店に来てくれ」


 レストランまでの道筋が書かれた紙を手渡した後、カルロはすぐにその場から姿を消した。


「よ、用意周到がすぎるのではなくて……?」


 置いていかれたアヴィゲイルは、慣れない道を護衛騎士と共に歩き、なんとか自身の屋敷まで帰ったのだった。

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