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百年ぼっち魔女は、弟子に永遠を迫られている  作者: 勿夏七


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11/14

11謝罪する王女

 静まり返った部屋で、カルロは校長に深く頭を下げた。


「ありがとうございました」

「とんでもない。……申し訳ないんだが、アヴィゲイル様の様子を見に行ってもらえないだろうか?」


 一瞬面倒臭そうな表情を見せたカルロだが、「わかりました」と言ってすぐに部屋を出ていく。

 カルロが部屋を出ると、すぐに外に待機していたアヴィゲイルの護衛騎士に連れられ、少し離れた部屋へと案内された。

 部屋に入れば、堪えるよう静かに泣いているアヴィゲイルがいた。


「君がそこまで傷つくとまでは思っていなかった」

「カルロ様……これは、すぐに人を信じてしまったわたくしへの罰なのでしょうね」

「魔女のことはすぐには信じなかったのにね」

「……っ」


 カルロの発言にアヴィゲイルは涙が引っ込み、護衛騎士は「今それを言うか?」とツッコミを入れたくて堪らなかった。

 だが、なんとか言葉にせず唾と一緒に飲み込んだ。


「本当に、魔女のことが好きなのですね。……そうだわ。魔女様に謝りたいのですが、よろしくて?」

「いいだろう。すぐに行くか?」

「少しお待ちくださいませ。化粧直しをさせてください」


 アヴィゲイルは涙をハンカチで丁寧に拭いた後、魔法で化粧を一瞬で整えた。

 鏡で見栄えを確認した後、深呼吸。

 行く前に護衛騎士にレストランへ残っている人々に伝言を頼んだ。


「では行きましょう」


 アヴィゲイルは魔女に何を言われるか恐怖しながらも、カルロに案内を頼んだのだった――


 

「二人ともお疲れ様」

 

 外にテーブルと椅子を置き、ゆったりと待っていたアタナシア。

 周りにいた小動物たちは、アヴィゲイルが来たことで森へと一目散に消えて行った。

 

 瞬間移動でやってきたカルロとアヴィゲイルに、アタナシアは椅子に座るよう促し、ハーブティーで労う。

 まるで来ることをわかっていたかのような対応に、アヴィゲイルは驚く。


「なぜわたくし達が来ることを知って……」

「私が監視用に蜘蛛を一匹つけていたからさ」


 アタナシアは指に留まっている小さな蜘蛛を見つめ、微笑んだ。


「蜘蛛はいいぞ。害虫を食べるし、何より可愛いからな」


 微笑ましそうにするアタナシアに、アヴィゲイルは信じられないような目で見つめた。

 正直、自分に蜘蛛がくっついていたこと自体が信じられない。ぞわぞわとした感覚がアヴィゲイルを襲ったが、今気にしていることはそれじゃない。そう首を横に振り小さく深呼吸をし、質問をした。

 

「すべて蜘蛛によって、筒抜けだったということですの?」

「そうだ」


 アヴィゲイルは恥ずかしくなって顔を赤くしたり青くしたり。だが、カルロもアタナシアも気にしない。

 ハーブティーを飲んでゆったりとしている。

 

 アヴィゲイルは二人のマイペースさに奇妙な心地となり、咳払いをする。


「魔女様、無礼な態度をとったこと謝罪いたします。申し訳ございませんでした」

「ああ、君は騙されやすい性格だからな。気にしなくていい」

「え、えぇ……?」


 咄嗟にカルロを見たが、カルロは無表情のまま頷いた。

「アタナシアが許すなら俺も別に構わない」


 あまりにもあっさりと許されたアヴィゲイルは拍子抜け。

「心も顔も綺麗で、才能もあるだなんて……天は二物を与えずと聞きますが、嘘ですわね」


 アヴィゲイルは手を合わせて、目を輝かせた。

 アタナシアはアヴィゲイルの発言に目を瞬かせ、自信の頬を触った。

 

「さらっと顔を褒められたな」

「君はずっと綺麗だぞ」

「カルロまでいきなりなんだ。外で美人をたくさん見ているはずなのに」

 

 二人のペースに流され、アヴィゲイルは先ほどまで泣いていたのが嘘のように心が晴れやかになった。

 環境も人間も、今のアヴィゲイルにはとても心地がよく感じ始めた。


「魔女様」

「どうした? おかわりか?」


 ハーブティーの入っているポットを宙に浮かせたがアヴィゲイルは首を振り、意を決して椅子から立ち上がる。何事かとカルロもアタナシアも目を丸くした。

 アヴィゲイルは勢いよく頭を下げ、両手をアタナシアへと突き出した。


「わたくしを、弟子にしてください!」

「嫌だ」

「ダメだ」


 アタナシアとカルロに迷いなく同時に断られてしまったアヴィゲイル。

 魔力量も才能もあると思っていることもあり、何故断られてしまったのかわからない。

 だが、アヴィゲイルはこれまで騙されていたことを思い出し、恐る恐るアタナシアに質問した。


「どうしてですの? もしかして、わたくしが騙されやすく役立たずだからですの……?」

「悲観するな。ただ、面倒だから取るつもりがないだけだ」


 バッサリと言い放ったアタナシアにカルロは、言われて当然とでも言うように小さく頷く。

 アヴィゲイルは静かに着席をしてハーブティーを飲む。


「……では、カルロ様の弟子に――」

「俺は三人に教えている最中だからこれ以上はいらない」


 ショックを受けたアヴィゲイルだが、何を言っても無駄だろうと小さく息を吐いた。


「ほんと、マイペースですこと」


 ショックは受けたものの、この二人だからだろうか。アヴィゲイルは言うほど落胆することはなかった。

 アヴィゲイルは二人を指差し言った。


「勝手にここに来て、勝手に学ばせていただきますからね!」

「勝手に学ぶならまあ……だが、あまり頻繁に来るなよ。相手が面倒だから」


 呆れた表情を浮かべたアタナシアだったが、どことなく嬉しそうに笑ったのだった。

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