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4/7

▼〖イベント〗


『太ったんじゃないか?体型の維持も出来ないのか。』

「そのアイテム……コルセットを着けたことによって、何をしなくても常に体力が減り続けるようになるわよ。」


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


『君はいつも暗い……それに、勉学しか出来ないんだね。』

「隙を見せてはいけないわ。

理不尽な要求にも微笑んで耐えなさい。」


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


『その振る舞い、王妃には向いていない。』

「今回の王子は真面目一辺倒のようね。」


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


『公爵家の恥さらしめ……!』

「あら、今度はエンディングを迎えるための必要能力値が足りなかったようだわ。」


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~







〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~


〖 GAME OVER 〗

~ピコン~












 外では既に朝日どころか夕日が落ちており、昨日の夜からずっとこの暗い部屋に閉じ込められたフィーロウは既に限界を迎えていた。


 〖攻略対象(おうじ)〗によって変わる必要ステータス、発生する多くのイベント、他の令嬢からの嫉妬(ヘイト)管理……頭が休まる暇は無く、更にどれだけイベント発生条件を覚え、レッスンをこなしていたとしても、王子の生活や操作する令嬢の体調等、運が大きく絡む要素で引っ掛かってクリア出来ない。


 ゲームがクリア出来る年まで進めるのに、テキストやイベントスキップを駆使しても約3時間程度かかるこのゲーム。やっと念願(ココ)までたどり着いても、最後は婚約者である王子に手酷く振られて裏切られてしまうのだ。


 フィーロウは今すぐにでもコントローラーを投げ出したくなっているが、背後で監視する両親、特に王妃の視線がそれを許さない。長い事フィーロウのプレイを見ているにも関わらず、2人とも一切の疲れを見せていないのが息子としては少し、いやかなり怖い。


 というか、国のトップ2人がこんな所で時間を潰していていいのだろうか。



「失礼致します、王妃様……。」

「何かしら。


……フィーロウ、私は少し席を外しますが

手を抜く事は許しませんよ。」


「はい……母上……。」



 従者の1人が部屋に入ってきて、王妃の耳元で何か囁いた。それを聞いた王妃は席を立ち、息子へ厳しい目を向けてカツカツと靴音を響かせて出ていった。


 自身に向けられていた圧が少し減り、気付かれないようにホッとしたフィーロウに、この場に残っていた国王が優しく声をかける。



「息子よ、そろそろ休んではどうかな。

この部屋から出られぬだけで、睡眠を取ったりする事は許されておる。」


「父上……。」


「ああ、ちなみにコレは“跡継ぎを見定める儀式”扱いになっておってな。国王夫妻が最後まで見届けねばならぬ門外不出の儀式、という事で、急を要する仕事以外は臣下達に任せておるから安心せい。」


「こ、このような理不尽な儀式が我が国の伝統だったのですか……。」


「うむ、ずっとな。」



 国王曰く、イセカイジンはオトゥムゲール王国に様々な恩恵をもたらした。故に、当時の国王や王子はイセカイジンを王族に取り込もうとしたらしい。それも、かの存在を最も怒らせる方法で。



「イセカイジンは人間、更に女性と同じような姿をしていたそうだ。だから当時の王子は、公爵令嬢と自らの婚約を一方的に破棄し、イセカイジンを新たな婚約者に据える、と夜会で大々的に宣言したのだ。


その結果、彼女は王と王子に対して、己にかけられていた翻訳魔法を無効化してしまう程に怒り狂ったらしい。」



 彼女がその際吐き捨てた異世界の言葉。それらをこの世界の人々は理解出来なかったが、その場に居合わせた神官の1人が理解出来ずとも、音として書き記した物が今の時代でも“神の怒りの詩”として神殿で保管されている。



「『フザケンジャネーヨメサキノヨクニトラワレテポットデノオンナコンヤクシャニスエヨウダナンテヤッパサンジゲンクソダワニジゲントニーテンゴジゲンシカカタネーワモジョナメンナ!』……懐かしい……儀式が終わった後、一言一句間違えずに唱えられる様になるまで、人払いされた神殿の大聖堂で叫ばされたなぁ。」


「このゲームを終わらせてもまだ儀式があるんですか!?」



 この国に知恵と富をもたらしたイセカイジンは、なんでも王と王子にこのオトメゲーム(ナンイドナイトメア)を精神が病むまでプレイさせた後、『自らを神として崇めるべからず』としてこの世界を去ったとされる。


 しかしイセカイジンの功績を忘れてはならないと、王妃と王子の元婚約者である公爵令嬢の手によって神殿でひっそり、英雄の1人としてイセカイジンに祈りが捧げられる事となった。故に、オトメゲーム攻略が終わったら儀式の仕上げとして、神殿にてイセカイジンの残した詩を叩き込まれるのである。



「そもそも、この儀式が行われるのはな。

次期国王である王子が、婚約者以外の女性に心を動かされた時なのだよ。心当たりはあろう?」





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