帰艦
敵を、振り切っての帰艦は、大いに、歓迎された。
お祭り騒ぎに、巻き込まれるのは、最後の帰還者の、義務の様なものだ。
そして、眠るように、その騒ぎも終わる。
ガンダムに、乗って、コックピットの、狭苦しい場所に、入って行く。
そこに有る、メモリーデバイスを、取り出す。
結果は、当たりだった。
見えてる部分は、普通だったが、引き抜いてみれば、別物だった。
特別な、高級品。
場違いにも、はなはだしい。
デバイスを、艦長に、提出する。
艦長は、嫌そうな顔して、答える。
「機密ロックに、しまっておけ。私に、触らせるな」
陰謀には、関わり合いに成りたく無いらしい。
「つくづく、君は、厄介者だな」
「私も、そう思います。本当に、来訪者て、言う者は、厄介ですね。船乗りの、格言にも、納得です」
交換する、デバイスを、受け取り、ついでに、ファイバースコープを、盗み出した。後で返しておけば、問題ない。普通では、見えない場所を、覗き見る。
「当たりだ」
物を隠すなら、一番、古い方法で。
これを、書いた人は、それを、実践したらしい。
装甲の裏側に、座標が、刻まれていた。
「艦長」
「なんだ」
私の声を聞いて、不機嫌に成る艦長。
「こんな座標が、出てきました」
それを聞いて、艦長は、うなだれた。
「次に、何か、やらかしたら、独房に、入ってもらうぞ」
そう言った。
「それも、良いかもしれませんね」
我ながら、・・・・我ながらだな。
艦長は、その事を、司令部に、伝達した。
自分は、関係ないアピールだったのかもしれない。
でも、結果は、指定座標の、確認だった。
ちょうど良かったとも言えるぐらいのタイミングで、当該座標に、到着した。
責任者は、私。
私と話したと言う理由で、整備員が一人。
適当に、選ばれた、護衛が二人。
監視役と言う事で、階級が、一つ上の、士官が同行した。
目的地には、古びた気象衛星が、漂っていた。
不自然に、大きい。
それを見て、艦長が、眉をひそめたのは、容易に、想像できる。
ハッチを、開く。エアロックなんて、高級品は、付いてない。
中には、キーロックされた扉が、一つ。
調べた結果、士官の階級認証で、開く事が分かった。
無駄に、長い廊下を、曲がりながら進むと、扉が、また一つ。
今度は、ボタン一つで、開閉できるやつだった。
少し、廊下が有って、その先に、金塊が、並べてあった。
浮かれ気味に、みんなが近づく。
個人規模なら、買えない物が無い程度の金塊だった。
私も、中に入る。
内側からしか見えない、壁に、装飾が、施されていた。
それは、やっぱり扉に成っていた。
良くあるトラップだ。
必要の無い者なら、誰も気づかないだろう。
「何してるんですか」
整備員が、私に気づいて、問いかけて来る。
「これだよ」
扉の中には、一つのメモリーが、置かれていた。
「何ですか、これ」
「さあね。手に取って、調べてみれば」
「あなたが、やってください」
嫌われたみたいだね。
メモリーを、手に取る。
「持ってて」
メモリーを、放り投げる。
そして、扉の、中を、もう一度、見る。
不自然に、大きい。
メモリーが、置かれていた場所も、何か変だった。
私自身のメモリが、言語化するよりも、早く行動に出た。
一番奥の壁を、手で、押してみたのだ。
指先に、カチリと言う感覚が、伝わってくる。
奥の壁、全体が、一つのスイッチに、成っていた。
床が、せり上がり、本物の、お宝が、出て来る。
メモリーデバイスだ。
その表面には、ガンダムと、はっきりと書かれていた。
それに加えて、複数の、外部デバイスが、複雑に、接続されていた。
カスタムされすぎ、普通の、スロットには、射しこめないだろう。
そして、私は、困った顔をしていた。
これは、独房、入りかもしれないな。