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86話 放浪騎士 (4)

心地よい風が吹いてくる。暗い森を照らす炎の揺らめきと、火の粉が飛び散る音。冷えきった地面の匂い、そして森の中から聞こえてくる木の葉たちのささやくようなざわめきが響いている。


昨日と同じように焚き火のそばに集まって座る面々と、ドロコが一人。


レーベンの物語が、再び始まる。


酒の(さかな)にする燻製ウサギの肉を、リブが木の欠片で作った平らなまな板の上に載せ、手に持った小さなナイフで丁寧に切り分けながら、周りのみんなに配っている。


「タイム、ローズマリー、塩、それに私の秘伝(ひでん)の味付け——干した玉ねぎ粉と黒胡桃(くろくるみ)の実の粉で味付けしたウサギ肉ですよ。どうぞ召し上がれ。」


自信たっぷりの笑顔でリブが肉の一片を差し出すと、レーベンはそれを口元へ運んだ。リブは彼が一口かじるのをじっと待ち、味の感想を聞きたくてうずうずしている。


「おおお! 腕がいいな! これは本当にうまいぞ。ヴェス・ディナスに帰ったら店を開くことを勧めたくなる味だ。」


レーベンが一口かじった肉をじっくり味わった後、大きな感嘆の声とともにリブへ()しみない賛辞を送った。


「美味しいだる、リブ。」


レーベンの褒め言葉に続いて、ニアの声がリブに向かう。続いてグラベルとイリス、そしてディアラの感謝と称賛の言葉が、次々に飛んでくる。燻製ウサギの肉を切り分けていたリブの手が、ますます軽やかになった。


「市場で二十羽も買っておいたんです。たくさんありますから、遠慮なく食べてくださいね。」


柔らかな笑顔でリブが焚き火の周りに座るみんなに声をかけた。


「フハハ。今日はまた楽しい夜になりそうだな。」


レーベンが大声で笑いながら、うまい酒と料理が揃った席にいる喜びを全身で表した。


「昨日は寝てしまって騎士様の話を聞けなかったって、ニアのやつが朝からリブにせっついてたんだってさ。だから今日一日、道を歩きながら、ニルズという兵士が野営地に戻ってくるまでの話をずっと聞かせてもらえたよ。でもその後の話がもっと気になるって、今この時間まで騎士様のお話を待ってたんだって。違うか、ニア?」


「べ……別に? そんなに待ちきれないってわけじゃないだる。」


ニアが口の端をちょっと(とが)らせながら、ケインに向かって手を振って言った。


「ハハ! お前は本当に嘘が下手だな、ニア。」


「フハハ。つまらない話にそんなに興味を持ってくれてありがとう。期待が大きいなら、昨日以上にみんなが満足できる話をしないとな……ふむ。せめてこのウサギ肉の価値分は返さないと!」


レーベンが豪快に笑いながら言った。片手にはリブが切って渡してくれたウサギの太もも肉の端を握り、もう片手には木の小さな杯を持っている。


彼は杯の中身を一気に飲み干すと、焚き火の周りに座ってウサギ肉を味わっている面々をゆっくりと見回した。そして歯がよく見える笑みを浮かべ、静かな声で、ニルズという兵士が野営地に戻ってきたあの夜の話を語り始めた。


「あの夜は、私がこれまで泊まったどの野営地よりも騒がしかった。止める間もなく、ニルズは他の兵士たちにストリゴイの話をし始めた。すぐに野営地にいた兵士たちがざわつきだし、少し時間が経って偵察から戻ってきた他の兵士たちにまでストリゴイという怪物の名前が伝わると、もう手がつけられなくなった。」


「失礼ですが、質問してもよろしいでしょうか?」


レーベンが頷くのを待って、焚き火から少し離れた木にもたれかかり、静かに話を聞いていたグラベルが口を開いた。


「ストリゴイというのは、そんなに恐ろしい怪物なのですか?」


「ふむ……正直に言うと、私も詳しくは知らん。代わりに、あの夜、山の野営地で兵士たちが私に教えてくれた話をそのままお伝えしよう。」


レーベンがグラベルの方へ姿勢を正しながら話を続けた。


「チェッカの外れで牛を二頭飼っているダッグという兵士が教えてくれた話だが、黒い雲が空を覆った暗い夜明けにストリゴイと出会ったことがあるそうだ……四つん這いで影の中に隠れ、黒い影のような怪物が、力尽きた牛をくわえて、ダッグを警戒しながら低く(うな)る声を上げていた。ほんの短い間、ほんの少しの時間だけストリゴイと向き合ったと言っていたよ。」


レーベンは焚き火の中の薪をくべながら、言葉を少し止めた。火花の爆ぜる音だけが周囲を満たす中、彼の視線が一瞬、炎の向こうの闇へと向かった。


「ダッグは、その怪物と出会った瞬間、自分が育てていた二頭のうちの一頭——ベッシーをくわえているのが、以前森から戻ってきた狩人たちが自慢げに語っていたストリゴイの噂そのものだと悟ったそうだ。あの時のぞっとする記憶を、今でもはっきり思い出せる、と私に説明してくれたよ。」


「それにダッグ以外にも、何人かの狩人たちが次々に駆け寄ってきて、自分の村では八人の木こりがストリゴイに襲われて、血痕(けっこん)肉片(にくへん)だけを森に残して消えたと言ったり、キノコを採りに行ったいとこがストリゴイに食べられたという兵士もいた。」


「だから……少なくともレンシロアの人々にとって、ストリゴイという名前はゴブリンやスクレグ、トロルなどより、ずっと恐ろしい存在であることは間違いないと思う。答えが長すぎたかな? フハハ」


長い返事を終えたレーベンが、片方の口角を上げて言葉を締めた。


「いいえ。十分な答えでした。ありがとうございます。」


「ハハハ。礼を言われるほどのことじゃない。それでは、野営地で日が沈んだ後の話を続けよう。」


「はい。お願いします。私もニアと同じくらい、騎士さんのお話が楽しみで待っていました。」


相変わらず丁寧な口調ながら、少し親しみが感じられる言葉を添えてグラベルがレーベンに言った。


「こほん! では再開しようか〜? それにしても話術があまり上手くないので、ここに座っている皆さんに話を聞かせている間は、いつもの酒場の吟遊詩人(ぎんゆうしじん)のように洗練された巧みな語りではなく、ただ城や町や村や要塞を渡り歩きながら主を探す放浪騎士(ほうろうきし)冒険譚(ぼうけんたん)を聞く席だと思ってくれ。」


「一日で自信を失ってしまったのですか、騎士様?」


「そんなんじゃないさ。こほんこほん! 練習が……もう少し練習が必要なだけだ。」


喉を鳴らして咳払いをしたレーベンが、再び語り始めた。


「あの日の午後は、恐怖に駆られた兵士たちの愚痴を聞くだけであっという間に過ぎた。ストリゴイが出没する山の中で夜を迎えてはならない、一刻も早く山を下りよう、というのが彼らの共通の叫びだった……その中で勇気のあった兵士は、『俺たちは人数が多いし、丈夫な槍もあるから大丈夫だ』と言っていた者もいたが……誰だったかはもうよく覚えていないな。」


「それでどうなったのですか?」


「どうしたと思う?」


レーベンがリブの問いに聞き返した。


「うーん……でも兵士たちの言う通りに山を下りたわけではなさそうですね……」


「フフフ、それは当然だ。いくら放浪騎士でも、魔物の脅威の前で逃げ出すわけにはいかないからな。」


「とにかく兵士たちを落ち着かせて、ストリゴイを退治しに野営地の外へ兵士たちを率いて出向かれた……のでしょうか?」


自信なさげに言葉が尻すぼみになるリブの声が言った。


「そうだ。意外と兵士たちは簡単に落ち着かせることができた。心に勇気を灯す演説でも、じゃらじゃら鳴る金貨を握らせたわけでもない。では何だったか、わざわざ聞き返さずに答えを教えてやろう。」


言葉を少し止めたレーベンが、自分の手に持った酒杯をもう片方の手の指先で指し示した。


「まさにこいつを兵士たちに分けてやったのさ。千言の言葉より胸を熱くしてくれるし、すぐには使えない冷たい金貨や銀貨より、たとえ後で懐が寂しくなろうとも腹を温めて心の闇を払ってくれるのがこいつだ……適量なら戦場でこれほど効果的なやつはいないぞ。」


指先で杯の外側を何度か軽く叩いた後、杯を口元へ運ぼうとしたが、もう空になっていることに気づいたレーベンが杯を下ろしながら続けた。


「だから兵士たちを落ち着かせたというのはリブ、お前の読み通りだ。でもあの夜、私とチェッカの兵士たちはストリゴイを探しには出なかった。日が沈みかけていたし、山のどこかにいる魔物を探しに行く勇気を吹き込んでくれるほどの酒を馬車に積んでこなかったからだ。」


「うーん……そうでしたか。日が沈んだ後の山は、道に詳しい狩人にとっても危険ですものね。」


リブが頷きながら言った。


「とにかくそうして兵士たちは、山のどこかにいる魔物への恐怖を吹き飛ばし、ニルズは再び弓を握り、ダッグは再び槍を手に取れるようになった。そして意外と早く、その武器を使うことになった。」


レーベンがあの夜の記憶を呼び起こすように、焚き火の火の粉が暗い夜空へ舞い上がる様子を頭を上げて眺めた。


「そうして夜は更け、ざわついていた野営地の空気もようやく落ち着きを取り戻し、唯一の不満は鎧の隙間を縫って入ってくる冷たい風の寒さだけだった。雪も降っていない早い冬だったのに、あの時はひどく寒かった気がする。」


「山は夏でも寒さを感じますからね。特に夜は、火で温めた石を何個も(ふところ)に入れても体が震えるほどですよ。」


リブとレーベンの間に位置する焚き火に近づいたケインが、静かに酒の入った木樽を下ろしながら、遠くに座って目を閉じているディアラの様子をちらりと窺った。そしてそっと、小さなきしむ音を立てながら木樽の栓を開け、空の杯を持ったリブとレーベンの二人に、静かに酒を注いでくれた。


「ふん! だから私は兵士たちに言ったんだ。山のどこかにいるかもしれない怪物への心配は、飛んでこない矢を防ぐために盾を構えるようなものだと。」


「ほう。理にかなっていますね。」


「まあ、そんなわけで幸い兵士たちは、再び雇われた夜の野営地にふさわしい、風のない日の湖面のような平穏(へいおん)な状態に戻った。どうだ? さっきの文句は吟遊詩人っぽかっただろう?」


少し答えを待っていたレーベンが、返事をためらっているリブとケインの様子を見て、再び話を続けた。


「ふんふん。兵士たちに分けた酒をもう少し残しておけばよかった……と後悔しながら、次の日に何をすべきか考え、地図を広げた。もしかしたら答えのない問題を抱えながらだ。そして……その頃……」


「ストリゴイが現れただる!!」


「わ……わあっ! ニア~!」


突然のニアの大声に驚いて体を縮め、座っていた場所から後ろに倒れそうになったリブが、驚いた胸を押さえながらニアに叫んだ。


「しーしーしー。リブは臆病者だる。」


「ハハハ! 愉快なドロコだな。まさにニアの言う通りだ。」


レーベンが大きく笑いながらニアに言った。そしてすぐに表情を変え、再びあの日の話を続けた。


「あの夜は黒い雲が月明かりさえも隠し、野営地は闇ばかりだった……そしてその闇の中から現れたのは、ここにいるドロコの友が言った通り、ストリゴイだった。


闇の中でも赤く輝く不気味な目、押し潰したような平たい鼻、そして毛の生えたしわくちゃの大きな耳まで……」


レーベンが眉をひそめた。少し考え込むように目を閉じてから、ゆっくりと開いた。そして低い声で再び言葉を紡いだ。


「大きさは人間よりずっと大きく、それだけ力も強かった。怪物は瞬く間に野営地の真ん中へ飛び込み、兵士一人の首を掴んでへし折り、力なくぐったりした兵士を抱えたまま、再び野営地の外の闇の中へ消えた。おそらく……名前は……ああ、思い出した。ロンドだった。チェッカの城壁の外で|木桶《きおけを作る仕事をしていたと言っていたな……」


「残念ながらその夜、怪物の手によって命を落とした。そう、ロンドは死んだ。生きているなどとは思わなかった。目の前で首が折れるのを見たし、怪物が姿を消した闇の中で肉が引き裂かれ、骨が砕かれる音が聞こえていたからな。」


あの時の記憶が蘇ったのか、レーベンが苦い表情を浮かべて酒杯を空にした。」

焚き火の温もりと、忍び寄る怪物の影。静かな夜が壊れていく緊張感を楽しんでいただければ幸いです

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