78話 カヴナク (2)
「悪はどうやって生まれると思う? 私たちみたいな悪魔じゃなくて、人間たちの内に隠されたその闇のことさ。誰も教えてくれなくてもね。お前たちの中に潜むその『悪』は・・・一体どこから始まったんだろうな?」
「......」
グラベルは小さな微笑みを口元に浮かべ、首を傾げて答える代わりにした。
「不幸な環境かな? 偶然? 神の意志? 私たち悪魔を誘惑者と呼んで、私たちのせいばかりにする奴らもいるよな。」
少し言葉を止めた後、口内の無数の歯を見せながら微笑みと共に、カヴナクが自分の質問に対する答えを述べた。
「でもその中で一番大きな理由は、お前たち自身が私たち悪魔を探しに来るからさ。とても生々しい例として、今この料理を作った私の料理人に出会った話を一つしてあげるよ。簡単にね。くどくど思い出を並べ立てるわけじゃないから~ キヒヒヒ。」
カヴナクが口を長く裂いて引きつった笑い声と共に言った。そして興奮した身振りで、食卓の上にある赤い果実と肉の欠片を一緒に爪の先で摘んで食べた。
「グラベル、お前も今私の姿を見てわかると思うけど、私は食べるのが好きなんだ。だけど数年前、この優秀な私だけの料理人に出会うまでは、私はただ貪欲に腹を満たす獣と変わらない、そんなとても野蛮な悪魔だったよ・・・」
カヴナクの口が忙しい。話しながら口内で食べ物を噛み、食卓の上に置かれた食べ物の皿を皿ごと口に当てて飲み込んだ。
「だから私はその子に、私が与えられる全てを与えると言ったよ。それほど美味い料理を作れる子だったからね。価値があったさ。だから金貨が欲しいなら部屋一つを金貨でいっぱいに満たして、その中で泳げるようにしてあげるとも言ったし。誰かの死を望むなら今すぐその首を切って足元に置いてあげるともね。」
カヴナクは依然として忙しい手で食卓の上の皿を行き来し、自分の大きな口に向かって皿の上の料理を運び続けた。
「でも私がどんな返事を聞いたかわかる? キシシシ。」
カヴナクが過去の記憶を思い浮かべて笑みを浮かべ、グラベルの反応を窺った。冷たく自分を見つめる眼差し、目の前に悪魔を前にした人間の目つきにしては全く動揺のない冷徹な表情だった。
「力? 復讐? 金貨? そんなものは要らないと言ったよ。ただ人を殺して、その内臓と肉を一番美味い形に料理して出す喜びがあれば、それ以上望むものはないってさ? ん? ん? わかった? 何の意味かわかるよね?」
「そうですね。」
頭をあちこちに傾け、両目を大きく見開いたカヴナクの身振りが、グラベルに自分の話に一言でも反応してくれと要求すると、グラベルは仕方なく短い相槌を打って答え、カヴナクとの会話を続けていった。
「どう? 美しい話だろ? 料理を楽しむ人間と食べるのを楽しむ悪魔。この出会いがどれほど素晴らしいか。キヒヒヒヒッ!」
詩を吟じるようにゆっくりとした口調で、言葉をゆっくりと伸ばして柔らかく吐き出した後、けたたましく笑うカヴナクの笑い声が部屋に満ちた。そしてその笑い声に混じって、自分の膝まで叩きながら笑うカヴナクの腕が擦れて床に落ちた金属製の杯が、ガラガラと鳴って音を立てていた。
「話はよく聞きました。」
「そうだろ? いい話だったろ? もっと聞かせてと言われてもできないよ~ 今はもう食べる料理がないからね。食事の時間はもう終わりさ~。」
カヴナクが長く細い舌で自分の歯と唇を舐めながら、グラベルに言った。
「ではもう話すことは残っていないので・・・。あなたを消しますよ。カヴナク。」
グラベルが食卓の上に置いた鞘を掴み、席から立ち上がりながら言った。そしてその言葉を聞いたカヴナクが、食べ物でべとべとになった自分の長い爪を、食卓の上に置かれた丸まった大きな布切れで拭きながら、グラベルが自分に向かって伝えた言葉の真意が信じられないというように首を傾げた。そしてゆっくり自分の指先を見ていた視線をグラベルに移しながら言った。
「ふうむ、まずは人間と言ったけど・・・いいよ。お前たち人間ってさ、本当に欠点だらけだよな。その数多い欠点の中から一つ挙げるなら・・・そうだ、今日はその中でも私が一番軽蔑するのを一つ教えてあげるよ。」
「聞かせてください。」
グラベルがゆっくり鞘に入ったソード・オブ・イースト・エンドを抜きながら言った。
「有限の命のくせに、無駄に命を捨てるよな。お前たち人間とは違って、私たち悪魔の寿命は永遠さ。でもその分、『私が存在しなくなったらどうしよう?』という自分の終末に対する不安は、グラベルお前が想像もできないほど大きいんだよ。」
カヴナクがグラベルを見つめ、体を起こした。椅子に座っていたため曲がっていた膝が伸びると、カヴナクの頭が部屋の高い天井に向かって上がった。
「クフ・・・だからさ・・・さっき何て言ったんだっけ?」
太い胴体に、食べ物をたくさん食べて腹がぽっこり突き出ていて、それに似合わない細かった腕と脚がグラベルに向かって歩みを進めるたび、筋張って太くなり、肩と腕からは瘤のような丸く固まった肉の塊が盛り上がっていた。
「よくも! 分際もわきまえず! このカヴナクに!」
カヴナクが歩みを進めるたび、木の床がギシギシと音を立てて歩みに合わせて壊れた。
「私がお前を消してやる! グラベル! いや、殺して料理にして、ゆっくり味わってやるよ! クアアアック!」
グラベルに向かって伸ばしたカヴナクの手のひらの端、鉤爪のように曲がった五本の鋭い爪がグラベルに向かっていた。
-クワァァァン-
部屋中にあちこち壁に向かって飛び散り、乱れて散らばる壊れた椅子の木片がカヴナクの眼前に見えた。
「シヒヒヒ。よく避けるなグラベル、そうだよ。このくらいじゃなきゃ、そんな戯言を口から出せる資格がないよな!」
カヴナクが叩きつけた場所にグラベルの姿はなかった。粉々になった椅子の欠片と、へこんだ木の床だけが、カヴナクの手のひらが通った跡にあった。
「なかなか速いな! グラベェル!」
いつの間にかカヴナクの巨大化した手の甲には、長く裂けた傷から黒いべとべとした血が流れていた。
「なかなかいい剣だな? ヒヒヒヒ、傷を、私の手に傷を付けたよ! フヒヒヒ。」
手の甲の傷を舌で舐めながら、カヴナクが部屋の一方の壁面に立っているグラベルに言った。
「ええ、私が一番大事にしている剣です。」
『この剣が・・・沼の幽霊と呼ばれたユーツ・シラスの剣か?』
グラベルが手に持った自分の剣を見た。手を守るガードもなく、直線的に刃が長く伸びた無骨な形の剣だった。
鉄を叩いて作ったような濃い黒色の刃が、陽炎のように揺らめき、冷たい氷から噴き出るような真っ白な煙を立ち上らせていた。
ユーツ・シラス。ソード・オブ・イースト・エンドの主である皇帝センを長らく苦しめてきた大陸の最も隅に位置する深い沼の土地を支配していたリダス族を率いていた指導者の名前だ。
皇帝の軍隊が六つの王国を征服し、七王国の中で最も最後に残った沼の民族が住む土地を征服するために進軍してくると、最も先に神聖な沼に足を踏み入れた侵略者の軍隊を迎えたのはユーツの軍隊だった。
沼のあちこちに散らばって生活する50余りの部族、族長たちを説得し取り入れて沼の王となったユーツが、侵略者に立ち向かうために集めた軍隊、石投げ兵と毒矢、そして木槍が全ての軍隊だったが、皇帝の軍隊を苦しめるには十分だった。
毒虫と毒蛇、そして沼の猛獣たちが、見知らぬ土地に留まる異邦人たちを絶え間なく苦しめた。虫の群れは皮膚に張り付いて血を吸い、毒蛇は泥の中を滑るように這い回って油断した兵士の脛を噛みついた。真夜中には闇の中で響く猛獣の咆哮が兵士たちの眠りを奪った。しかも層々立ち上る濃い霧は厚く地面を覆い、互いの顔さえまともに見分けられないようにし、鋭い視力を誇っていた侵略者たちの目を無力化した。
そうして長い時間霧の海を行き来しながら皇帝の兵士たちを攻撃し苦しめてきた沼地の軍団を率いるユーツにも危機が訪れた。
内部の反乱。沼の外の華やかな世界に魅了された族長たちが裏切り、金と宝石に自分を売り渡した族長たちがユーツに背を向けた。
皇帝センの策略。霧で自分の目を覆うユーツに対抗して、沼の外、燦爛たる文明の眩しさと輝く黄金で相手の目をくらました。
そうして自分たちの領土を守ろうと集まったユーツの軍隊は、無駄に裏切りという毒薬を飲み込んで、ゆっくりと崩れ落ちた。
窮地に追い込まれたユーツ。終わりの見える未来に向かって飛んでいく運命という矢の方向をねじるために、最後の手段としてユーツは持っている全てを捧げ、自分の肉体を白濁した霧の塊に姿を変えて皇帝を暗殺しようとしたが、これさえも失敗し、一振りの粗く研がれた黒い刀一本を残して世からその痕跡を消したという。
だから彼に付いた異名が沼の幽霊ユーツ。沼の守護者であり、最後には霧の暗殺者となって皇帝の首を狙った彼の最後の姿を見た皇帝センは、しばらく悪夢を見て、明け方に目を覚まし、眠りを妨げられたという。
そんなユーツの剣がグラベルの手に握られ、カヴナクに向かってその先を向けていた。
「グラベ~ル。この狭い部屋の中でどれだけ長く逃げて避けられるかな~あ。キヒヒヒヒッヒ。」
奇怪に耳を刺す笑い声と共に、カヴナクがグラベルに向かって頭の上に高く掲げた両腕を振り下ろした。
少し上がった口角が見える微笑みを浮かべたグラベルが、目の前の視界を全て覆い隠すほど巨大化したカヴナクの両手をただ見つめるだけで、何の行動も起こさなかった。
-クワァァン-
再び響く轟音。木の床と家の壁面まで穴が開くほどの大きな跡を残したカヴナクの攻撃。直前の状況と大きく変わらなかったが、今回の攻撃ではカヴナクが自分に向かって余裕の微笑みを送るグラベルの姿を、目を大きく見開いて見たという違いがあった。
「確かに爪の先が奴の額に突き刺さるのを見たはずなのに・・・」
目では見たが、手先には伝わらない奇妙な感覚だった。カヴナクがその妙に気分の悪い感覚を振り払おうとするように両手を振って払い、グラベルの姿を探した。
「ん? いつからこんなに霧が部屋に満ちてるんだ? 壁の穴から入ってきたのか?」
いつの間にか部屋に濃く立ち込めた霧を、カヴナクが顔をしかめて見つめた。
壁の穴とその隣の小さく壊れた窓の外が真っ白だ。
次第に濃くなる部屋の中、食卓の下の全てのものが濃い霧に覆われて見えなくなった。
「ただこんな小細工をするために俺に挑んできたのか、グラベル!」
怒りが込み上げたカヴナクが叫んだ。そして長い食卓を片手で持ち上げ、壁に向かって投げつけた。続いて霧に覆われて見えない床に落ちて割れる皿たちの音が賑やかに響き、壁に向かって飛んで壊れた食卓も大きな音を立てて床の霧の中へ消えた。
「私の剣を試すには部屋が狭すぎますね。外で続けましょう。」
グラベルの声が聞こえた。近いところからか遠くからか、区別がつかない声だった。
グラベルの声に反応してカヴナクが殺気満々の眼球を素早く転がし、彼の姿を探そうとした。
「そこにいたか!」
自分の全てを捧げて皇帝を暗殺しようとしたユーツ・シラスについては、いつか番外編として語りたい物語が山ほどあります。その時を楽しみにしていただきつつ、今後の本編の展開もどうぞご期待ください




