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7話-スクレッグ (2)

到着する前にトロルをどう対処するかを考え終えなければならない。


「いや、万一私の魔法に興味を示しても、派手すぎる魔法じゃなければ、東側の王国の魔法だと言い訳すればいいんだから、適度な魔法なら使ってもいいかもね。」


それでも自分に弁明(べんめい)したり言い訳したりする機会さえ与えずに、噂だけを広める場合も考えなければならない。冒険者たちはいつもおしゃべりだからだ。いつでも酒場やギルドで笑いながら、自分の冒険談を語るのが好きだ。また、そんな冒険談を聞いた冒険者は、自分をその状況に置き換えて想像し、学び、備える。それが冒険者たちだけの情報交換の手段だ。

「1レベルの回復魔法くらいなら大丈夫だろう。以前、他のキャスターが似たような呪文を使うのを見たことがあるし。攻撃はやはり剣を使わなきゃ。」


腰に差した長い長剣を触りながら、これまでイリスから隙間時間に学んだ剣を試してみることに決めた。


ソード・オブ・イースト・エンド、長さ145cm、刀身は105cm、柄の長さは40cmの長い長剣だ。柄は龍の皮で巻かれ、その端には龍の形を飾り、青色の紐を垂らして装飾した。過去のグランドワールドオンラインでのブール大陸東側の七王国を統一した人間の王が、滅ぼした六王国の王の剣先を溶かして作った名剣というのがゲームの世界観での設定だった。その後、統一王国南側の冬の離宮に滞在するために移動中だった王からナーガの女王が奪い取ったという記録された石板を、ゲームでグラベルは見たことがあった。


グランドワールドオンライン時代、グラベルが最も欲しかった伝説の剣。極悪な入手難易度と、頻繁に変わるナーガ女王の位置のため、プレイヤーたちの間では持ちたくても持てない幻の剣として有名だった剣だ。


およそ1年以上の時間を、ただ一本の剣のために費やした。剣の能力、外見、設定など、ソード・オブ・イースト・エンドに関連するすべてを覚えるほど執着した。


自分のキャラクターにその剣を装備するという執念と、サーバーに一本、唯一の一本だけ実装されるという制作会社の発表にさらに焦り、眠らずにナーガ女王を追っていた記憶が思い浮かんだ。


古いグランドワールドオンラインでの記憶を思い浮かべながら森を抜けると、明るい松明の光が見えた。


「助けが必要そうですね!」


片手を口元に当てて、グラベルは戦闘中の冒険者たちに叫んだ。


「おお! こんなところで同業者か! 助けが今まさに必要だよ、この怪物は火に弱いから、油瓶があればそれを使って武器に火をつけてくれ!」


ルードが突然現れたグラベルの姿を見て微笑みながら言った。


グラベルが最初に近づいたのは、傷が重そうに見えたレインホルドだった。近づいたグラベルが手を伸ばして魔法を唱えた。


「キュラ・ヴルヌス(Cura Vulnus)・・・。もう大丈夫ですよ。」


グラベルの手から小さな光の球が、レインホルドの裂けた鎧の隙間の傷の中に染み込んだ。回復魔法が効果を発揮したのを確認した後、グラベルは腰に差した剣鞘からソード・オブ・イースト・エンドを抜いて手に持った。そしてベルトの袋にあった油瓶の蓋を開けて剣に流した。隣にいたレインホルドがグラベルに松明がないのを察知して、自分の火打ち石で火をつけてくれた。


「治療はありがとう。私たちには火属性付与魔法の呪文書は高すぎてね。プロイクトンに帰ったら、その剣の修理費用は私が払うよ。」


頭の一側がへこんだ兜の中から活気を取り戻したレインホルドの声が兜の中で響いて聞こえた。


『じゃあ、今度はイリスが教えてくれた剣術を使ってみようか。』


グラベルは火がついた剣の先を地面に向かって下げて持ち、スクレッグに近づく。


新しく現れた敵が近くに近づくと、スクレッグは近づいてくるグラベルに向かって爪を立てた腕を伸ばして攻撃する。太く鋭い五本の爪がグラベルに届こうとした瞬間、地面に向いていたグラベルの剣がいつの間にか小さな円を描いて回転し、スクレッグの手の甲を叩き下ろした。


イリスが教えてくれた剣の16種類の動作のうち、剣の回転力を加えて叩き下ろす動作だった。


グラベルの剣がスクレッグの手の甲を斬り落とし、指3本がねばねばした血とともに地面に落ちた。指を失った痛みに驚いたスクレッグが急いで手を後ろに引き、他の手で血が出ている指が切れた部分を覆った。


「回復魔法に剣まで上手く扱うなんて、実力あるな、同業者!」


指が切れた痛みに叫ぶスクレッグの姿と対比して、励まされたルードの明るい声が聞こえた。


『魔法を使わなくてもいいかも? あのトロルみたいなモンスターが意外と弱いのか?』


それともソード・オブ・イースト・エンドの性能が思ったより優れているのか? それとも、グランドワールドオンラインでキャスター系のクラスだったにもかかわらず、レベルが上がるごとに少しずつ上昇した力と敏捷性のステータスの影響がこの異世界でも適用されているのかもしれない。剣を振るう時、驚くほど軽く、体動きは前よりずっと滑らかで速く反応した。グラベルは一瞬行動を止めて、そんな変化の原因を噛みしめ、その間ルードとレインホルドはスクレッグの脚と腕を同時に斬り落とした。


斬られた傷から出た血と火がついた油が混ざり、煤煙(ばいえん)と肉が焼ける不快な臭いが周囲に広がった。しかしスクレッグも経験したことのない別の痛みを与える原因が火だと気づき、手で火がついた傷を覆って火を消した。


「こいつ、外見とは違って賢い奴だな? 体についた火を優先的に消してるよ!」


息を整えながらレインホルドが周囲の仲間とグラベルに言った。


「じゃあ、消す隙を与えちゃいけないですね!」


ヴァリードのメイスが自分から目を離したスクレッグの肩に命中した。肩に感じる鈍い痛みにスクレッグが反射的に体を回して腕を振り回した。予想外の怪物の速い反撃にヴァリードが速い速度で飛ばされ、地面にぶつかった後、転がって倒れた。


痛みに満ちた息を吐く音とともに飛ばされたヴァリードが一瞬気絶したように動かず、すぐにゆっくりよろめきながら体を起こしてメイスを持ち、戦う姿勢を整えた。


「ヴァリード? 大丈夫か? かなり重い音がしたぞ?」


「もう気絶したら困るよ。」


「ふは! まだまだです! 呪文を使えるマナはないけど、レインホルドさんよりは使えるですよ!」


重い雰囲気を換気しようとするようにルードの冗談混じりの言葉にヴァリードが答えた。


「くはは。全部聞こえてるぞ、ヴァリード!」


ルード、レインホルド、ヴァリードの三人が再び心を奮い立たせてスクレッグとの戦闘を続けようとした時、グラベルはスクレッグと距離を保って対峙中だった。しかしそれも束の間、何か策が浮かんだようにグラベルはスクレッグの正面からゆっくり動きながら近づいた。


「(このままじゃ戦闘が長引くわ。)毒を使います。そうしたらおそらく再生はできないはずです。」


周囲の人々にそう言った後、持っているソード・オブ・イースト・エンドを剣鞘に再び収めた。


『ナシュラム(Nashram)。復讐者の剣。』


ソード・オブ・イースト・エンドの能力の一つであるナシュラムの剣。過去の砂の王国ヌサの王だったナシュラム。過去、彼が王位に就く過程で数多くの人々や臣下、さらには兄弟たちまで殺した。自分が恨みを抱いていた対象をすべて殺して王位に就いたため、復讐者という称号を得た。だから彼は自分に似たサソリを王家の象徴とする紋章(もんしょう)に選んだ。


頭と胴体が自分の背を踏む足に踏みつぶされても、尾の先の毒針(どくばり)で相手を攻撃するサソリの姿をナシュラムは好きだったという。


彼の最期も、王座の部屋に押し寄せる敵たちに向かって、普段いつも自分の傍に置いて剣に塗っていた毒を飲み、突進してくる敵たちに毒が混ざった自分の血を撒き散らしながら戦ったという。ナシュラムの血に触れた人の肉は腐り、血が逆流し、流れる傷の血は止まらずにさらに激しく噴き出した。


ナシュラムの最後も、彼が愛したサソリの王座に座って自分の剣を自分に刺し入れて、その終わりを迎えたという。


グラベルがナシュラムの名前を呼んで抜いた剣は、本来のソード・オブ・イースト・エンドの外見とは変わっていた。長く直線に伸びた剣身の長剣ではなく、緩やかに曲がり、剣刃を抉った血溝(ちこう)には数多くのサソリの紋章が刻まれたセイバーだった。ナシュラムの力が宿っており、濃い黒い気配が混ざった紫色と濃い緑色の気配が揺らめき、剣の周囲を包んでいた。


「私が攻撃を誘導します。他の皆さんはその時の隙を狙って攻撃してください。」


「わかった!」 「はい!」 「そうだな!」


ルード、レインホルド、ヴァリードがグラベルに答えた後、グラベルの反対側とスクレッグの横に位置を取った。周囲に散らばる敵たちを大きな眼球をあちこち転がして見ていたスクレッグが攻撃するために動く。四つん這いの姿勢で左腕と両脚で体を支え、右側のルードに向かって腕を長く伸ばして振り回した。


かろうじてスクレッグの攻撃をルードが避けると、再び対象を変えて地面を薙ぐ(なぐ)ように腕を振り回して正面のグラベルを攻撃した。


『ポルス(Pols)の動作はこうだったかな・・・。』


心の中でイリスが教えてくれた動作を繰り返し、自分に向かって来ていたスクレッグの手のひらを避けて空中に跳び上がり、叩き下ろした。そして再び続く下から上への斬り上げ。わずか二回の攻撃で長い腕がスクレッグの体から切れて地面に落ちる。


腕を失ったスクレッグの悲鳴(ひめい)咆哮(ほうこう)が聞こえる。切れた腕があった肩を掴んで体をくねらせ、地面を転がっていたスクレッグに冒険者たちの攻撃が続いた。


「うはは! 本当だよ、毒が効果ある。他の傷からも血が止まらない!」


傷の痛みが止まらずに続くため、スクレッグがあちこち無差別に周囲を攻撃し始めた。しかし暴れながら動きが激しくなるほど、ナシュラムの毒は全身を伝って広がる。腕と脚を巻いた糸が肉を抉りながら痛みを与えるように、ゆっくり締めつけながら体の中で鋭いナシュラムの刃が踊り回るような痛みが全身を包む。


爪を立てて突き、腕を振り回し、足で蹴り、首を長く伸ばして歯で噛みつこうとする。スクレッグの攻撃が続いた。しかし全身に広がったナシュラムの毒がスクレッグの動きを遅くし、目の血管が破れて血が流れ、叫ぶスクレッグの悲鳴には泡の音が混ざった。次第にナシュラムがもたらす遅い死がスクレッグに近づいていた。


「ふうう。ようやく終わりが見えてきたな。」


「はい。でもまだ油断しないでください。」


再び冒険者たちとグラベルの攻撃が続く直前、喉から絞り出すような微かで小さな悲鳴を最後にスクレッグが倒れた。


「ふうう。今回は危なかったよ・・・。本当に危なかった。」


レインホルドがへこんだ兜を脱ぎ捨て、足が抜けたように地面に座り込んだ。


「安物のランプ油でつけた火じゃダメだったよ。」


「そうだよ。この人がいなかったら負けてたのは私たちだったよ。冒険者さん! 名前を教えてください!」


レインホルドが倒れているスクレッグを眺めた後、グラベルに向かって頭を振りながら言った。


「レインホルド~。まず自分から名前を名乗って相手に聞けよ。」


「あ! これは失礼を。僕はレインホルドです。この人はルード。そしてあそこの毛むくじゃらはヴァリード。」


レインホルドが指先を移しながら仲間を紹介した。


「グラベルです。 プロイクトンに帰る途中、明かりが見えたので来ました。」


「おかげで助かったよ、グラベルさん。でもさっきの剣、姿が変わったみたいだけど? 魔法剣? それともグラベルさんの魔法?」


ルードがグラベルの剣鞘の前にしゃがみ込んで顔を近づけ、グラベルの手に握られたナシュラムの剣を体現したソード・オブ・イースト・エンドをじっと見ながら言った。


「はい。家宝として受け継いだ剣です。外見が変わったのは私の魔法です。」


「へえ! やっぱり僕の鋭い目はいつも正しいな。」


「スクレッグにその集中力を発揮してたらよかったのに。」


適当に言い訳したグラベルの言葉に興味を失ったルードが再び立ち上がり、倒れたスクレッグに向かって歩いた。


「討伐の証は何だったっけ? 爪? 牙?」


「両方です。」


「じゃあ、早く終わらせて帰ろう。うう・・・。臭い・・・。こいつ少し洗って歩けよ・・・。」


そうして一行はスクレッグの爪と牙を得て、プロイクトンに帰ることができた。プロイクトンに帰った後、ルード、ヴァリード、レインホルド、そしてグラベル四人は街の酒場で無事生還と依頼完了を祝う酒の席を持った。


遅い時間にもかかわらず、プロイクトンの酒場は冒険者たちでいっぱいだった。皆がそれぞれの冒険から帰って喜びを満喫し、酒杯と話を交わしながら一日の終わりを一緒に過ごす。

レベルアップ! パパパパ バンパ パンパバン

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