28話 ビュラビヨント男爵(1)
エステタ王国の男爵領ビュラビヨント男爵領地の都市ビュヨブラン。エステタ王国の首都から馬車で一日で着くほど王都に近い都市だが、その規模や佇まいは小さな田舎の屋敷のようで、暗い灰色の苔むした石壁と、その上を巡回する分厚い金属の鎧を着た兵士たちの姿を見れば、都市というより王都の周囲を守るために築かれた小さな要塞と言っても差し支えない様子だった。
そんな都市を見下ろす小さな丘の上に、ビュラビヨント男爵の小さな城があった。高くない城壁、主塔も平凡な装飾の石像で飾られており、堀もない小さな城だ。それでも中庭には、馬を好む男爵の影響か、数頭の馬がいる大きな馬小屋と馬車が停められた広い空間があった。
世間では男爵を宝探し男爵様と呼んでいた。彼がそんな異名を得たのには、さほど複雑な事情があるわけではなかった。20年前、都市や村を転々とし、時には道端の焚き火で暖を取りながら眠る生活を送っていた男爵は、冒険者だった。偶然と偶然が重なり手に入れた宝石が、さらに別の偶然と出会い奇跡を起こし、その宝石は今のリカス9世国王の指に嵌められ、若い冒険者にビュラビヨントという姓とともに、王都から近い小さな都市ビュヨブランの領主にしてくれたのだ。
領地を賜ったその日から、男爵の生活は昔の冒険者時代とは比べ物にならないほど変わった。脂ののった肉を毎食食べられ、背中や腰が痛くなるまで眠ってもよく、懐の銀貨や銅貨をいじくり回しながらあと何杯飲めるかを計算せずに酒を飲むこともできる。そうして貴族の生活を送ること20年、男爵の姿は変わっていた。
長い年月が過ぎ、顔には皺が刻まれたが、頰骨はふっくらと張り、つやのある赤らんだ頰とともに生気ある顔立ちだった。白髪交じりの髭は形を整えられており、特に口髭は両頰に向かって突き上がるような滑稽な形をしていた。息苦しい小さな都市に留まるより、馬に乗って都市の周辺をあちこち回るのを好んだせいか、太ってはいなかった。しかし、冒険者時代の固い筋肉は失われ、鎧を着ていた肩は細くなり、時折羽織る重い布地のマントさえ辛く感じる体になっていた。
そうして長い時間を過ごし、冒険者より男爵としての生活に慣れた後も、さらに長い歳月が流れたある日だった。遅い午後に起きた男爵が、ハーブや他の香辛料をまぶした子羊の料理と、蜂蜜を加えて甘くした酒を一緒に食べて一日を始めようとした時、使用人の一人が男爵に近づき、今日会いたいという人がいると伝えてきた。上がってくるげっぷを手で覆い、「一体誰が俺を……」と使用人に尋ねたが、使用人も初めて見る人だと言った。ただ、「男爵様なら私の言葉の意味がおわかりでしょう。ベラヒルの目を売りに来た商人だとお伝えください」と言った後、今まで城のホールで座って待っていると、使用人が言った。
さっき食べた羊肉料理の油が付いてつやつや光る髭の先をいじりながら話を聞いていた男爵は、目を大きく見開いて首を回し、使用人に聞き返した。
「ベラヒルの目!? 今ベラヒルの目と言ったか? 確かにベラヒルの目と言ったんだな?」
「はい! 男爵様。確かに私の耳で聞いたところでは、ベラヒルの目と聞こえましたのですが……」
「まだ待っていると言ったか? 今すぐ会うぞ。早く入るよう言え!」
その後、男爵の催促に追われるように部屋を出た使用人が、会いたいと言った商人とともに戻ってきたのは、他の使用人が持ってきた食後の茶がほどよく冷めた後だった。使用人の案内に従ってその後ろを歩いてくる、ぼろぼろのフードとマントを羽織った老人が、男爵のいる部屋に入ってきた。
フードの下には白い髭が垂れた角張った顎の老人の顔が見え、羽織ったマントには埃と汚れがびっしりだった。使用人の後ろを従いながら、両手は恭しく組み合わせており、ゆっくりとした歩みで足音を立てぬよう慎重に歩いていた。
使用人の案内に従って男爵が座っている長い食卓の向かいに老人が座ると、男爵は手にしていた茶碗を置き、老人に尋ねた。
「俺に売りたいと言った品物がベラヒルの目だと言ったか?」
「はい、男爵様、ベラヒルの目でございます。」
ベラヒル。有名な冒険者であり学者であるアンドゥル・ナバザールの著作にも出てくる幻の小さな竜。青い鱗に淡いピンクの模様が特徴で、極めて見つかりにくく、記録された歴史でもわずか十二回の発見例しかなく、そのうち八回はすでに死んだ骨を発見したケースだった。この小さな青い竜が有名な理由は、その頭に付いた八つの目にある。
自身の鱗の色に似た青い地に黄金色の瞳は、動きとその目に映る光によって橙色を示し、小さな太陽のように明るい黄色の光を放つこともあった。そしてこの竜が幻の竜と呼ばれるもう一つの理由は、まさに死と同時にその目が硬くなり透明に変わり、小さな宝石のように目の姿が変わるからだ。
死によってその美しさが完成する生き物と言えるほど、世界のどんな宝石にも負けない美しい輝きを放つベラヒルの目は、大陸の誰もが羨む宝石だった。
「あの……ベラヒルを直接捕らえたのか?」
男爵がフードに隠された老人の顔を詳しく見ようと体を前に傾けながら言った。
「いいえ。死んだ屍体とその頭蓋骨の骨の中にあった目だけを持ってまいりました。」
「運が良かったな。頭蓋骨の中にはベラヒルの目がいくつ入っていたんだ?」
「一番小さな目らしい二つの目でございます。他の目を探そうと周囲を探しましたが、無駄骨でした。」
「見せてくれ。自分の目でベラヒルの目を見たい。」
男爵の言葉に老人が席から立ち上がり、男爵の横へゆっくり歩いてきた。そして懐から掌に乗る小さな袋を取り出し、男爵に手渡した。男爵は近くで待機していた使用人に手袋と柔らかい布を敷いた盆を持ってこさせ、袋の中身をその上に置いた。
「ふむ……本当にそうだな……。20年ぶりか……。いや、それ以上か……」
透明な青い宝石の中に小さな太陽が閉じ込められたようなベラヒルの目二つが、盆の上の白い布の上でその魅惑的な光を放っていた。見る者を魅了する橙色の太陽。男爵はそうしてしばらく、自分の親指と人差し指でつまみ上げた小さな宝石を眺め、冒険者だった過去の自分を思い浮かべた。そしてすぐに持ち上げていたベラヒルの目を置き、老人に言った。
「望む値段はあるのか?」
若い頃なら値下げを試みたり、そうでなければ何か余分に得ようと相手と微妙な神経戦を繰り広げただろうが、他の貴族たちとは違い贅沢をほとんどしたことがないため、倉庫には多くの財貨が積まれていたおかげで、短い時間で老人との話を終えた男爵は、老人に数年分の領地税に相当する金を渡し、一対のベラヒルの目の所有者になることができた。
ベラヒルの目。この一対の宝石のような小さな竜の目には、宝石の美しさとは別の魅力があるようだった。20余年贅沢を知らなかった男爵が巨額を支払って買ったという噂は、領地の他の人々にも伝わった。
たまに一回の食事で羊を三、四頭屠ってさまざまな羊肉料理を食べるのに使う金以外、大きな金を費やしたことのない男爵だった。服や城内を飾る家具や絵画、時折使う馬車さえ、使用人たちに「適度に貴族の地位と威厳に害にならない程度で」という命令で買い揃えられたものだった。
ベラヒルの目を手に入れた後の男爵の生活には小さな変化が生じた。日常と言えば日常の、遅い朝に起きて狩りに出かけたり、時折城内をうろついて食事の食べ過ぎでむかむかする腹を落ち着かせたり、そんな他の貴族の日常と変わらない一日を送った後、日が沈み遅い夕方を迎えると、自分の部屋に入ってベラヒルの目を眺めるのが、繰り返される日常の終わりに加わった。
そうしてある日は少し明るい部屋を望んだのか、男爵が使用人たちを呼び、部屋を照らす灯りをさらに持ってこさせ、それ以降は毎晩、より明るくなった部屋で—暗い影一つなく隅々まで光で満ちたその部屋の中で—一対の小さな宝石を手にして眠気が来るまであちこち光に当てて鑑賞した後、眠りについた。
そうして普段より多くの灯りを部屋に置いて使ったり、普段より遅く起きたりするのを除けば、それほど大きな日常の変化が生じたわけでもない小さな変化が加わった日々を送っていたある日だった。
午後にはベラヒルの目を入れるために王都の工房に注文した小さな箱が男爵に届いた。箱を受け取った男爵は、一方の手に箱、もう一方の手に灯り油の入った壺を持って、普段より早く自分の部屋に向かった。
男爵が箱を開け、その中の柔らかい白い布の上に置かれたベラヒルの目を眺める。
『実に美しい宝石だ。何度見ても飽きないこの姿……』
ドレイクの骨を削って小さな真珠で飾った箱も、王都の有名な工房で作られた一つの芸術品に近い作品だったが、その中に置かれたベラヒルの目に目と心を奪われた男爵にとっては、ただ大切な自分の宝を守ってくれる頑丈な箱にしか見えなかった。
さらに時間が過ぎ、日が沈み城外の森からはフクロウたちの鳴き声が聞こえる頃になってようやく、数個の灯りとその後ろに掛けられた柔らかな真鍮板の鏡の光の後ろを離れ、男爵は席から立ち上がり、こわばっていた背中と腰を伸ばした後、寝室の隅に置かれた酒瓶の並ぶ飾り棚へ歩いて行き、酒杯にたっぷり酒を注いで再び席に座った。
ゆっくりと酒杯を口に運び一口酒を飲み込んだ後、閉じた箱を高く持ち上げてあちこち回して見ていた男爵の表情が険しくなった。眉をひそめ、細めた目で箱をさらに顔の近くに引き寄せた。
「なんだ……この黒い汚れは? 気に障るな……」
箱の側面に小さな黒い点のような汚れがあった。急いで指でこすって拭き取ろうとしたが、小さな汚れは箱の表面ではなく、素材であるドレイクの骨に元々あった汚れのようにも見えた。
『明日使用人をやって、この汚れについて工房に尋ねさせてみなければ。』
男爵が明日使用人たちに下す命令を考え、大きく息を吸い込んで深いため息をつき、椅子に体を預けた。
せっかく大切な宝石を保管するために注文した品物に汚れとは。何日も期待に胸を膨らませていたのに失望した男爵が、もう一度ため息をついて椅子から体を起こした瞬間だった。
羊肉…料理…羊肉…羊肉···




