突入
翌深夜。木曽福島城の城門に突如人だかりが。
「掛かれ!」
の号令と共に城門に何かが激突。
(何事?)
と騒然となる間もなく城門は破壊され、直後。数多の武装した兵士が城内に。抵抗する事もままならず、身を隠す福島城内。そんな者共には目もくれず。武装集団が一目散に目指した先。それは……木曽義昌の後継者。岩松丸の寝床。彼を確保するや
「抵抗するな!したらどうなるか……わかっているであろうな!」
と城内を恫喝する一団。その頭目の名は……森長可。
「森様。何故このような仕打ちを!」
大塚次右衛門:家老か?
「はい!」
大塚次右衛門:こちらの質問に正直に答えていただきたい。もしいい加減な返答をしようものなら……。
福島城内の騒ぎを聞きつけた木曽義昌は武装を解き、急ぎ福島城へ。
木曽義昌:森殿!これは如何なる狼藉でありますか!?
大塚次右衛門:深志城で不穏な情報に接した。木曽様が我らに亡き者にしようと画策している事を。
木曽義昌:斯様な流言に乗ってしまったのでありますか!?
大塚次右衛門:用心に越した事はありません。故にこちらに入る日を偽る事にした。この事についてはお詫び申し上げます。ただ……不穏な情報は……間違ってはませんでしたね?
林為忠:木曽様の家老が全て話した。
木曽義昌:……。
大塚次右衛門:木曽様。殿は木曽様と戦う事を望んではいません。我らの願いは1つしかありません。
木曽義昌:……と言われますと?
大塚次右衛門:我らの願い。それは……。
無事、金山に戻る事。
大塚次右衛門:それだけであります。我らが無事金山に戻る事が出来さえすれば、木曽様の策略を表沙汰にする事はありません。
木曽義昌:……本当の事でありますか?
大塚次右衛門:はい。ただそのための手助けをしていただきたいと考えています。
木曽義昌:木曽谷を通過する際の安全は担保致します。
大塚次右衛門:それだけでは不十分であります。
木曽義昌:と言われますと?
大塚次右衛門:金山のある美濃の地は、長年織田と武田がいくさを繰り広げていた場所。今は平穏を保っていますが、美濃の方々の中には我らの事を快く思っていない者が存在する事を我らは承知しています。彼らが我らの行く手を阻む恐れがある事。木曽様もお気付きの事と思われます。
木曽義昌:(……っく!)
大塚次右衛門:木曽様は美濃にも顔を利くと承っています。そこでお願いがあります。
木曽義昌が先頭に立って、美濃の国衆の説得していただく事は可能でしょうか?