表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/49

懸念

 ただ?


高坂昌元:(奴らが入って来る恐れがある……。)


 奴らとは?


高坂昌元:(ここ川中島は武田信玄公が進出し、父昌信に管理を任せた地。元来は別の者共が統治していた場所。協力していただけた方々も多いのではあるがその一方、武田と対立し敗れ。当地を追われた者も存在する。その中には越後の上杉を頼った者も居る。以後奴らが先兵となり、上杉と武田は幾度となく戦って来た。尤もその時の当事者は皆他界している。ただ……。)


 その息子達が越後に居る。


高坂昌元:(奴らにとって川中島周辺は父祖伝来の土地であり、武田が入ってから30年。決して短い期間では無いが、奴らと所縁のある人物が居ても不思議な事では無い。加えてその武田も今は無い。織田が入ってまだ3ヶ月。芋川、島津の例を見てもわかるように川中島に入った森様への忠誠心は無いに等しい。この私もその一人である事は否定しない。加えてこの事は本人確認しているわけでは無いが……。)


 出浦盛清も同様。


高坂昌元:(昌幸に何か入れ知恵されたと考える方が自然。恐らく私の挙兵も既に伝わっている事であろう。そしていづれ……。)


 高坂昌元が森長可に忠誠を誓った事も伝わる事になるであろう。


高坂昌元:(話を戻そうか。越後には今、信玄公に追われた有力者の子供が2人居る。1人は高梨頼親。上杉の家臣として長年飯山城を治め、頼親の父政頼はその南の中野を本拠地に構えていた。もし芋川と島津。そして高梨の3名が入って来たら……。)


 川中島北部は全て奴らの物となる。


高坂昌元:(そして最も懸念しなければならないのが……。)


 村上義清の息子。


高坂昌元:(村上義清は信濃東部から北部一帯に影響力を行使し、亡き信玄公も攻略に苦労した人物。彼の用兵が今の上杉にも採用されたと聞く。その息子が今、上杉(山浦)家の一員になっている。恐らく上杉がここ川中島に入って来た時、景勝は彼に任せる事になる。川中島の統治並びに信濃国内における更なる権益拡大を目論んで。そうなった時……。)


 私はここ川中島に留まる事が出来るのだろうか?


高坂昌元:(村上にとって武田は許されざる敵であり、川中島を押さえていた私の父昌信についても同様。上杉が川中島に入ると言う事は、私が織田を見限った事を意味する事になる。織田に戻る事も出来ない。私に残された道は村上の息子に干されるか、割の合わない仕事を押し付けられるか。もしくは命を奪われるか……。到底受け入れる事は出来ない。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ