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第8話 レベルアップの上限

「ふうっ、初日にしちゃ上出来だな」


 俺は倒した魔物の素材を売って、冒険者ギルドで少し早い夕食を食べていた。


 ただご飯を食べているだけでは暇だったので、俺はご飯を食べながらぼぅっと自分のステータスを表示させて眺めていた。


「上限、ねぇ」


 俺はスティールで魔物から奪った『風爪(魔)』というスキルを見ながら、そんな言葉を漏らしていた。


 スキルがレベルアップした後、俺は小型の狼のような魔物を探して、もっと『風爪(魔)』のスキルのレベルを上げようとした。


 しかし、ようやく見つけた魔物を倒して『スティール』を浴びせたとき、ステータスを表示する画面には、思ってもいなかった文字が表示された。



『スキル重複によりスキルを統合×。理由 レベルアップ上限のため。 スキル:爪風(魔)』



 どうやら、スキルはレベルアップできる回数というのに上限があるらしい。


 スキルによってレベルアップできる回数が違うのか、レベルの上限を迎えたスキルは進化などすることができたりするのか。


 そこらへんはまだまだ分からないことばかりだ。


 そこら辺はゆっくり解明していくとしよう。


「……それにしても、ただ飯を食べてるだけでこんなに注目を集めるのか」


 俺が先程からずっとこちらを見ている冒険者をちらっと見ると、俺と目が合った冒険者は慌てるように視線を逸らす。


 また別の冒険者をちらっと見ると、俺を見ていたはずのその冒険者も誤魔化すように視線を逸らした。


 一番目立たない端の席に座っているのに、なんでこんなに視線を集めるんだろう。


 そんな事を考えながら、俺はひと際賑やかな卓の方に視線を向ける。


 ……まぁ、あれだけ騒いでいるところに、俺がいないのが不思議なんだろうな。


 俺の視線の先には、昨日まで俺が所属していたパーティである『竜王の炎』のメンバーたちがいた。


「良い飲みっぷりだ、ケイン! さすが今日のMVP!!」


 ザードは大きなグラスを呷って、酒を流し込みながら大声で笑っている。


 そして、ケインの両隣にはやけに距離が近いレナとエミの姿があった。


「ケイン強すぎー。今日とか凄いかっこよかったんだけど」


「ケインさんのおかげで今日も勝てましたね。凄い頼りになります、ケインさんっ」


 ……キャバクラかな?


 そう思ってしまうくらい、体を寄せているレナとエミ。


「はははっ、そうかな? かっこよかった?」


 そして、ケインはと言うと満更でもなさそうな顔で酒を楽しそうに飲んでいた。


 他の席の客たちを見てみると、ケインがパーティの中心にいるような光景を見て、驚き過ぎて固まってしまっているようだった。


 どうやら、俺以上にケインの方が視線を集めているみたいだ。


 それにしても、随分と楽しそうに飲んでいるな。


 ……そういえば、リーダー就任のパーティーをやるとか言ってたっけ?


 俺はそんな事を考えながら、少しだけ感慨深げに笑みを浮かべる。


 ケインの奴、追放されるはずだったパーティであんなに居場所を見つけるとはな。


 随分とはしゃいでいるようにみえるけど、たまにはああいうのも必要だろう。


 ケインは今まで抑圧されていて分、今日くらいは楽しんでもいいはずだ。


 そんな事を考えて、俺はパーティメンバーに気づかれないうちに、お勘定を済ませて冒険者ギルドを後にした。


 辺に巻き込まれてざまぁされても面倒だしな、


 俺はぐっと伸びを一つしてから、ゆっくりと街を歩き出す、


「どこか安い宿でも探さないとなぁ」


 昨日まで泊まっていた宿はやけに設備が整っていたが、無駄に値段が高い宿だった。


 今後はソロで活動することになるわけだし、クエストをどれだけ受けられるか分からない。


 そうなると、極力安い宿に泊まって出費を少なくしないとな。


 それこそ、アニメの序盤の方でケインたちが泊っていたような寂れた宿にでも泊まらないと――ん?


「そういえば、ケインがパーティを追放されなかったら、本来ケインと旅をするはずだったヒロインたちはどうなるんだ?」


 俺はふとそんなことを考えてしまった。


 そして、主人公とヒロインたちの出会いを思い出す中で、俺は最悪の展開を想像してしまうのだった。



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