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第52話 勝負当日


それから数日後、ケインとの勝負の日がやってきた。


勝負内容が森のてっぺんの方にある洞窟の中のワイバーンの討伐をするということもあって、勝負開始の場所は森の入り口となった。


 そして、俺たちが森の入り口付近へと向かうと、すでにそこにはケインたち『竜王の炎』のメンバーと、見届け人として冒険者ギルドのレミさんがいた。


 今回は森の中での勝負ということもあって、以前のアリシャとケインの決闘のときのように見物客はいなかった。


「よぉ、ロイド。逃げずによく来たじゃねーか」


 すると、ケインは俺を見るなり、俺を見下すような笑みを向けてくる。


 そして、ケインの腕に自身の腕を絡ませているレナとエミが順々に口を開く。


「なんだ、遅いから逃げたんだと思った」


「怖気ずによく来ましたね。そこだけは褒めてあげましょう」


 ケインはレナとエミに援護をしてもらったからか、腕に胸を押し付けてもらったからか分からないが、ニヤッとした笑みを深める。


「……気持ち悪い、嫌な人」


「穢れ過ぎて、見るに堪えますね」


 そして、俺の両隣では、リリナとアリシャが主人公であるケインのことを冷たい目で見ている。


 その間に挟まれているのはこのアニメの悪役こと、俺ロイド。


 ……すっかり、立場も性格も変わっちまったな。


 俺はそんなことを考えながら、深くため息を漏らす。


「それでは、両パーティが揃ったので、今回の勝負について改めて説明しますね」


 レミさんは俺たちとロイドたちが頷くのを確認して、小さく咳ばらいをしてから言葉を続ける。


「今回の討伐対象は、洞窟に棲むワイバーンの討伐です。討伐の証として、ワイバーンの牙と爪の両方を持って帰って来てください。より早くその素材を持って冒険者ギルドに帰って来た方を、今回の勝負の勝利チームとします」


 レミさんがルール説明を終えると、ロイドはふんぞり返ってビシッと俺を指さす。


「負けた場合は、ロイドは俺のパーティで一生雑用係だ。拒否権はないからな」


 ケインがそう言うと、両隣にいるレナとエミ、少し後ろにいるザードが声を出して笑う。


 随分とリラックスしている雰囲気から、自分たちが負けるという未来をまるで想像していないらしい。


 俺はそんなロイドたちに合わせて、余裕な顔で笑う。


「おまえたちが負けたら、アリシャのことは諦めてもらうからな」


「はっ! そんなクソエルフ、もう興味はねーよ。今はおまえをどうこき使ってやるかしか興味はないからなぁ、ロイド!!」


 俺が余裕そうなのが気に入らないのか、ケインは眉間に皺を入れながら俺を強く睨む。


 よっし、これだけ言質が取れれば十分だろう。


 俺はそう考えて、レミさんに視線を向ける。


 すると、レミさんは頷いてからケインを見る。


「それでは、両者負けた際はその条件を飲むこと。見届け人として、私が両者の証人になることを誓います」


「言っておくが、今度クソみたいな采配したらお前もただじゃおかねーからな、クソギルド職員」


「クソみたいなって……中止を求めたのはケインさんじゃないですか」


 ケインはレミさんにそう言われても、取り巻きのレミたちと一緒にレミさんを睨む。


 どうやら、ケインは前のアリシャとの決闘のことをまだ根に持っているらしい。


 根に持つ何も勝手に周りの参加を煽って、本当に参加したら中止するように言ったケインもケインだとは思うのだが。


 まぁ、乱入した俺がどうこう言えることでもないのかもしれないが。


「なぁ、ロイド。今回の勝負は互いのパーティが干渉するのはしょうがないよな、同じ魔物を狙うんだからよ」


「ああ、そうだな。そこは何も問題ないだろ」


 俺がそう答えると、ケインはニヤニヤとご機嫌そうに笑う。


 ……もう少し表情を隠せばいいのにな。


 俺はそんなことを考えながら、リリナとアリシャをちらっと見る。


 すると、二人とも俺の言いたいことが伝わったのか、小さく頷く。


 ケインたちと勝負をするにあたって、俺たちは作戦を立てていた。


 さすがに、A級冒険者たちのパーティを相手にするというのに、何も考えずに挑むほど馬鹿ではない。


 作戦で重要なのは相手の動きを読むことだ。


 そして、今のケインがアニメのロイドのような性格であることから、ロイドが取るような行動を読めば、ケインの行動もある程度読めるということになる。


「それでは、準備はいいですか?」


 レミさんの言葉があって、俺たちは互いに少し距離を取る。


 お互いにあまり距離を取らないあたりからも、互いに同じことを考えているのだろう。


 どうやら、俺たちは少し似ている部分があるみたいだ。


 俺はそんなことを考えながら、ポーカーフェイスを決めていた。


「それでは、勝負開始です! え?」


 すると、レミさんの合図と共に、ケインたちが一斉に俺たちの方に体を向ける。


 突然の事態に間の抜けたような声を漏らすレミさんをそのままに、ケインは愉快そうに大きな笑い声を上げる。


「互いに干渉しても良いなら、いきなり潰し合っても何も問題はないよなぁ! ロイドぉぉ!!」


「……そうだな。何も問題はない」


 俺はケインたちが武器を構えるよりも早く、両手を地面につける。


「『黒霧』!」


「え、うおっ! なんだこれは!!」


 すると、勢いよく噴き出した黒い霧が俺たちの視界を遮った。


 数歩先は何も見えないという状況で、俺は素早くレミさんの手を引く。


「え、え?! な、なんですか? 何が起きてるんですか?!」


「勝負が始まっただけですよ。レミさん、危険なんで少しここから離れますよ」


 俺はそう言うと、レミさんとアリシャを両脇に抱える。


 リリナの姿が見えないことから察するに、すでにスタンバイ済みということだろう。


 俺はさっきケインが浮かべていた以上に、にやっと悪役のような笑みを浮かべる。


 ……さぁ、勝負開始だ。


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