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第37話 リリナの成長


「それで、なんで急にリリナはあんなに強くなったんだ?」


 コウモリの魔物を倒してから、俺は気になっていたことをリリナに聞いてみることにした。


 すると、リリナは得意げな顔で胸を張る。


「ロイドさまを想う愛の力で覚醒しました!」


「えーと」


 ふふんっとドヤ顔を浮かべているあたり、冗談を言っている訳ではないようだ。


 とりあえず、リリナが耳をピコピコと動かして撫でて欲しそうにしていたので、俺は優しくリリナの頭を撫でてあげた。


すると、リリナはにへらっと緩んだ笑みを浮かべる。


「にへへっ♪」


「えーと、その愛のおかげっていうことについて、もっと詳しく教えてもらってもいいかな?」


「あ、ロイドさま疑ってます? 本当なんですよ! このままじゃロイドさまが死んじゃう、助けなくちゃと思ったら一気に色んなスキルが使えるようになったんです!」


「いやいや、さすがにそんなことは……いや、ありえるのか?」


 俺は可愛らしく見上げてくるリリナを見ながら、ふとそんな言葉を漏らす。


 アニメに主人公補正があるように、ヒロイン補正というような物もある気がする。


 もしも、リリナが俺のことを本気で主人公だと思い込んでいるのなら、主人公のためにヒロインが覚醒するという展開もありえなくはないのか?


 まぁ、実際のところは、俺はただの悪役ではあるんだけどな。


 でも、実際にこうしてリリナが覚醒したところを見ると、リリナの言い分は正しいのかもしれない。


「ちなみに、どんなスキルを覚えたんだ?」


 俺が訪ねると、リリナは思い出すように人差し指を顎に置く。


「えっと、『気配感知』と『弱点地点』と『鋭刃』ってスキルです。あれだけ真っ暗な中でも魔物の位置と弱点が分かりました。あと、短剣がいつも以上に斬れました」


「なるほど。だから、リリナはあの魔物に一撃を与えられたってことか」


 俺はリリナの話を聞いて、感心する声を漏らしながら頷く。


 おそらく、『気配感知』というので魔物の気配を、『弱点地点』で魔物の弱点を感知して、『鋭刃』で刃物を鋭くさせて一撃を与えたのか。


 もしかしたら、敏感な鼻と耳を極限まで集中させることで、『気配感知』というスキルが使えるようになったのかもしれない。


 俺の危機を前にして、獣人の本能が極限まで高められたのかもしれないな。


 他の二つのスキルについては、暗殺者としての戦い方が板についてきたから使えるようになったのだろうか?


 正直、そこまで詳しくは分からないな。


「魔物が動けないくらいのダメージを与えたのも、『弱点地点』ってスキルのおかげなのか?」


「いえ、それはこれを使いました」


 俺が聞くと、リリナはポケットの中から容器に入った液体を俺に見せる。


 初めて見る液体を前に、俺は首を傾げる。


「これは?」


「毒です」


「へー……ん? ど、毒?!」


 俺は思いもしなかった言葉に驚き、目を見開く。


 すると、リリナは自分が褒めてもらっていると思ったのか、銀色の尻尾をブンブンと動かす。


「薬の知識はあるので、色々と混ぜて毒を作ってみたんです! 私、凄いですか?」


「す、凄いな。これは想定していなかった」


 俺はリリナがちゃぷちゃぷと動かす毒を見て、しばらくの間固まってしまった。


 ……アニメでリリナが毒を使うシーンなんてなかったよな?


 確かに、リリナは秘薬である『ポーションハーブ』を飲み薬にできるわけだから、薬に関する知識はあるのか。


でも、まさかヒロインが知らない所で毒を調合してるとは思いもしなかった。


「あれ? なんか新しいスキルを覚えたみたいです。……『毒刃』?」


 それから、リリナはきょとんとした顔でそんなことを言っていた。


 どうやら、俺の知らない所でもリリナはどんどんと成長しているみたいだ。


……なんだか、本物の暗殺者染みてきたな。


 俺はリリナの成長を前に、思わずそんなことを考えてしまうのだった。


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