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8話


―冒険者ギルド前―


「よぉ! カイル! 卒業式以来だな!」


 冒険者ギルドの前には既にデビッドが待っており、俺の姿を見付けると嬉しそうに手を振り駆け寄って来た。


「ああ、デビッド! 久しぶり!」


 俺も笑顔を見せ手を振り返す。

 久々の再会を果たした俺とデビッドは今日まであった事を互いに話し合った。


「くくく……カイル君、素敵なお嬢さんをほっておくのはよろしくありませんね……」

 

 突然近くの樹が揺れたかと思うと、中から黒装束を身に纏ったルッド君がクルリと鮮やかな回転を見せながら俺の近くへ飛び降りた。

 彼はレンジャー学部を卒業しているのだが、レンジャーの中でも異国のニンジャとやらに興味を持っているらしくその道を歩んでいる。


「ルッド君、俺がギルドを探していた以来だね!」

「フフフ……そうですね、今の話を聞く限りいヴァイス・リッターで上手く行っている様で何より……。 フフ……僕はルッドと申します、今はつまらないモノしかありませんが今後お見知りおきを……」

 

 ルッド君は、指をパチンと鳴らし何処からともなく一輪のバラを取り出し、スッとルミリナさんに手渡した。


「え? え? は、はいー、その、私はルミリナって言います、ふつつかものですがよろしくお願いします」

 

 ルッド君からバラを受け取ったルミリナさんはペコリと一礼をする。


「あ、ルッド、てめー、一人だけ抜け駆けなんてずりいぞ! 俺はデビッドってんだ、前衛だったら俺に任せてくれ!」


 今度はデビッドがツカツカツカと音を立てルミリナさんに近付き自己紹介をする。

 エリクさん程でないにしろ、彼もまた無類の女好きであるが故ルミリナさんにアピールをしたのだろう。

 残念ながら、エリクさんと同じく連戦連敗であるが、エリクさんの様にドMな趣味は持ち合わせていないのは救いだろう。


「は、はい、私プリーストで皆さまのお役に立てるか分かりませんがよろしくお願いします」


 デビッドの勢いに気負いしながらもルミリナさんは丁寧なお辞儀を見せる。

 デビッド達への第一印象は可憐で可愛い少女と映るだろう。


「ねぇ、カイル君? 可憐で可愛いプリーストはデビッド君かルッド君にあげましょうよね? 君は興味無いって言ってたもんね?」

 

 ここで、俺よりも先にギルドハウスを出ていたハズのルッカさんがやって来たかと思うと、何故だか右手に魔力を集め出す。


「ぎゃーーーーー! お前、不意打ちで電撃魔法を俺にぶつけるんじゃねぇ!!!!」


 あろう事か、その電撃魔法『雷撃ライトニングボルト』を集めた左手を俺の身体に押し付ける。

 間違い無く全力ではないが、ルッカさんが帯びている電撃は俺の身体に伝わりびりびりとしたしびれの感覚を全身に残していった。


「あら? カイル? どうしたの? 急にうずくまっちゃって、道に落ちてるお菓子でも拾って食べちゃった? 全く、お菓子が食べたいなら私に言ってくれれば作るんだけどねー」


 などと供述するルッカさん。確かにルッカさんが作るお菓子は美味しいんだけど、せめて俺に危害を加えないでほしい。


「ククク……相変わらず仲の宜しい事で、僕は紳士的なお付き合い以上ルミリナ氏には興味がありません故、デビッド君に譲りますよ、フフフ……」

「何ッ! それは本当か? こんな可愛い娘から手を引いてくれるのか! じゃあ、俺が遠慮無く」


 ルミリナさんを自分だけが狙えると分かったデビッドが意気揚々と彼女に近付こうとするが、

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