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47話

「カイルさん、マスターは人生の伴侶と決めた相手を作った以上それは覆す訳には行かないって言ってたんですよ。カッコいいですよね、僕には真似できませんよ」


 ルッセルさんの過去についての表層部分を耳打ちしてくれた。

 ルッセルさんの、その心意気に対してエリクさんが言う通り俺もカッコいいと思う。

 ……人生の伴侶か、そう言えば考えた事も無かった。

 ルッカさんやルミリナさん達はその辺りどう考えているのか、ふと気になると言えば気になる所。

 とは言え、やっぱり女性が人生の伴侶に求めるのは地位やお金なのだろう。

 俺には無縁の話とも言えるが。


「さっ、みなさん、昔話はここまでにして闘神の斧を探しに向かいましょう」


 ルッセルさんの合図だ。

 俺は考え事を中断し、ルッセルさんが言う通り炎獄の谷の中に向け歩き出した。

 炎獄の谷の内部に進めば進む程、岩壁で燃え盛っている炎が少しずつ強くなっている様に見える。氷防壁アイスバリアのお陰でそれ等の熱気が遮断されているが、何の対抗策も無ければ1分と耐えられない様な気がする。

 遠くからは恐らく魔物達の声も聞こえて来る。

 こんな炎に囲まれた地域でも生息出来る魔物が居る事に少しだけ驚きもする。


「あら? 可愛いワンちゃんねぇ」


 などと考えながら歩いていると、不意にセフィアさんが立ち止まり指をさす。

 可愛いワンちゃんと言われれば真っ先にコボルドキング、その中でも仔コボルドの事を思い浮かべる。

 けれど、彼等がこんな炎に包まれた魔境で生息出来るとは思えない。


「あ、あんないぬっころよりも、ぼ、僕の方が可愛いですよ!」


 セフィアさんが指差した先を見たエリクさんがセフィアさんに対し抗議をする。

 セリカさんの手により犬になり切らされたエリクさんが可愛いかと言われればギリギリ可愛いに入れてやれなくも無いが、つまりはセフィアさんが指差した先には可愛くないに該当する犬の姿があったのだろう。

 俺もエリクさんに続いてセフィアさんが指差した先に視線を送る。

 ……。

 何が可愛いんだ!!!!!!!

 あれの何処がワンチャンなんだ!!!!

 と思わず俺が心の中で叫び声をあげた。

 それもそのはず。俺の目の前に映った、セフィアさん曰く可愛いワンちゃん。

 それは、全身を炎で身に纏い鋭い眼光で獲物であろう俺達を睨みつけている。


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