45話
「御託は良いから早くしてくれると有難いんだけどねー」
セフィアさんの言う通り、砂漠の比ではない熱が既に身体をむしばんでいるせいで正直な所立ってるのもつらくなって来た。
ルッセルさんとアリアさんの様子が気になってチラっと見ると、二人共平然な顔をしている。
「良いじゃないですか、僕だって少し位カッコ付けたい時はありますよ、ルッセルさんもアリアさんも熱耐性装備を完備してる訳ですし」
エリクさんが珍しく拗ねながらも、氷防壁を完成させみんなに掛けると、みんなの身体をの周りが薄青色の膜が包み込まれる。
氷防壁に包まれると今まで感じていた熱気が嘘の様に感じられなくなり、それどころか僅かにひんやりとする心地の良い温度へと変わった。
やっぱり何だかんだ言ってもエリクさんは凄いと思う。
「それもそうねぇ? アリアちゃんなんて美人を目の前にしたら誰だってカッコの一つ位つけたくなるわね」
セフィアさんが、俺に視線を送って来た。
その視線の意味が分からず首を傾げると、呆れながらセフィアさんが小さく溜息をついた。
「そういうモンなのですか?」
「やっぱりアイドルは考える事が違うのねぇ」
セフィアさんは何処か面白おかしく言っている。。
「アイドル? 俺が? ルッセルさんの間違いじゃなくって?」
俺がアイドルだなんて何の冗談を。よく言っている人居るんだけど。
アイドルと言うのはもっと容姿端麗で、例えばルッセルさんみたいな人を言うと思うんだけど。
「この流れでマスターの名前がでてくるのは不思議ね」
「そうですか? ルッセルさんは年齢がダメでしたか? 俺には十分若く見えますけど」
「ははは、カイルさん。お世辞が上手いですね。残念ながら私はアイドルとは無縁ですよ」
あれ? セフィアさんとアリアさんがルッセルさんを見つめ出したぞ? こんな美女の視線を独占出来るなんて、ほら、やっぱり俺の思った通りじゃね?
「無縁は無いと思います」
「はぁ、謙虚って奴かしら? 確かに自信満々にずけずけ言うのもどうかと思うけど、そう言えばマスターも異性関係で浮いた話は全くなかったわね」
やっぱり、アリアさんもセフィアさんもルッセルさんがアイドルである事を完全に否定していない。




